「独占」ITに厳しい目=EUのグーグル制裁金

 【シリコンバレー時事】デジタル市場での米IT大手の独占的な地位に厳しい視線が注がれている。欧州連合(EU)欧州委員会は18日、米グーグルに対し、EU競争法(独占禁止法)違反で過去最高となる約5700億円の制裁金を科した。グーグルは不服を申し立てる方針で、肥大化するIT企業と規制当局のせめぎ合いは続く。

 「支配的な会社には特別な責任がある」。欧州委が是正を求めたのは、グーグルが携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」に、自社の検索エンジンと閲覧ソフトを事前搭載するよう端末メーカーに要求したことなど。スマホ搭載から今年で10年となるアンドロイドは、今やスマホOSの8割を超えるシェアを握り、他社にOSを供給しない米アップルを除けば対抗軸は存在しない。

 グーグルはアンドロイドを無償提供し、自社サービスの利用を促すことでインターネット広告収入につなげる戦略を取っており、欧州委の判断は「事業モデルを否定するもの」(ピチャイ最高経営責任者)と反発。命令に従えば、スマホ上の競合サービスに付け入る隙を与えることになる。

 パソコン用OS市場を「ウィンドウズ」で席巻した米マイクロソフトもかつて閲覧ソフトなどの抱き合わせ販売を当局から問題視された。その後、モバイル革命に乗り遅れて、IT業界盟主の座を明け渡した。今回の決定が直ちにグーグルの業績に響くとの見方は少ないが、経営に中長期的な影響を与える可能性はある。

 一方、世界の規制当局はデジタル経済の「勝者総取り」の構図に警戒感を強める。グローバルに活動するIT企業に対する課税やデータ収集規制の強化に動くなど徐々に包囲網を狭めている。 


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