俺は超越者(オーバーロード)だった件   作:コヘヘ
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『魔王建国宣言』直後、ラナーの私室での会話


閑話 『化け物』では『魔王』には勝てない

王国騒動後、どうなったのか確認のお茶会を開いた。

 

 

ラナーが俺の側室になるとか言い出した。

 

 

正直どうなっているのかわからない。

 

 

 

ラナーが『魔王』を言い負かして、王国を守り、『伝説の剣』を渡される。

 

『英雄』となったラナーが王国を実質支配し、『クライム』と結ばれる。

 

 

『クライム』と結ばれるため、貴族にする理由付けとしてクライムを『英雄』にする。

 

 

具体的には、六腕のサキュロントを捕縛させる等して八本指の秘密を暴く。

 

被害が出る前に多くの民衆を救う。

 

 

貴族にしても、結婚しても問題ない評判を作る。

 

 

 

これが当初の筋書きのはずだった。ラナーも同意したはずだった。

 

 

 

ところが、ラナーは俺に嫁ぐことになったそうだ。

 

 

ラナーが王国の真の支配者に仕立て上げるのを手伝ったのは俺だ。

 

出会う者全てに好き勝手罵詈雑言吐くは、

 

ついでだからと不要な貴族を粛清し出すわで、面倒この上なかったが。

 

 

本当にラナーを『英雄』にして良いかかなり迷ったくらいだ。

 

 

だからこそ、周りから強制されるわけがないのは知っている。

 

 

常に細心の注意と緊急性を伴う日常の大半はラナーだったのだから。

 

 

ラナーには、今回の事件の解決で二つの報酬が与えられたそうだ。

 

 

一つ目は、辺境の城と領土。ラナー曰くそこはクライムと傀儡の貴族に管理させるらしい。

 

 

二つ目は、魔王国と王国のエ・ランテル合同統治。ラナー曰く「微笑ましい花嫁道具」

 

 

ラナーが統治する形にはなっているが、実権はほぼ全て俺の物だった。

 

三か国の貿易拠点をナザリックが支配できる。

 

 

当初計画していた魔王国を含めた四か国の貿易拠点計画は儚く消えたが、

 

ナザリックのメリットの方が大きい。大きすぎる。

 

 

『原作』の大虐殺等ない状況での穏便な統治。

 

ラナーとの会話中、こっそりメッセージでエ・ランテルの様子を確認した。

 

同じくメッセージで先んじて知ったエ・ランテルの者達の反応もほぼ良好なものしかないそうだ。

 

 

『魔王』が『英雄』と共に『世界』を守るという話を、

 

エ・ランテルの住民は全員知っているから。

 

 

さらには『黄金の姫』の合同統治。

 

エ・ランテルの民衆はまだ真実のラナーを知らない。

 

 

歓迎ムード一色だと断言できる。

 

 

 

俺に、ナザリックにメリットしかない。

 

ラナーが表向きとはいえ嫁になるという苦痛を除けば。

 

この場合、クライムとは内縁の夫になると思われる。

 

 

 

しかし、何故名実ともにクライムと結ばれる道を選ばないのか

 

 

 

せっかく筋道を用意したのにと俺は、ラナーに聞いてみた。

 

「ここまでやっても理解できないなんて…」

 

ラナーは本当に珍しく落ち込んでいた。

 

これまでの付き合いから、本気で落ち込んでいるのがわかる。

 

何故だ?

 

 

慌てる俺を見てラナーは、

 

「ああ、もう良いです!わかりました!

 

 今回の件はあなたにメリットしかないのですから、

 

 例の『村娘』に与えたという腕輪を寄越しなさい!

 

 今後、さらに行動で示すから、それで察しなさい!!」

 

そう一方的に怒られて今回のお茶会は終わった。

 

エンリと同じ『時飛ばしの腕輪』を渡したら、分捕られて追い出された。

 

 

俺が何か悪かったのはわかったが…何をどう謝るべきなのかがわからない。

 

 

今度、ナザリックの九階層「ロイヤルスイート」に招待してケーキ等を用意して持て成そう。

 

ラナーの好みはこれまでのやり取りから全てわかっている。

 

渡した腕輪は体力回復するだけのアイテムだし、もっと他に何か渡すべきだろう。

 

ラナーが好んで身に着けていたものから条件に当て嵌まるものを頭の中で検索する。

 

 

決まった。これなら、きっと喜んで貰えるはずだ。

 

 

そこで将来の件を、『クライム』の件を相談すべきだろう。

 

ラナーのことは一先ず置いて置き、俺は次のことを考え始めた。

 








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