Photographer: SeongJoon Cho

夏枯れなしか、中国人民元の急落が市場を不意打ち-他市場に波及

  • アジア通貨の大半や銅、商品も19日は値下がり
  • 1ドル=7元までの元一段安を見込む声も-みずほ銀やノムラから

中国人民元が1年ぶり安値に下落して市場が混乱したことで、通常なら比較的静かな北半球の夏にトレーダーが警戒を促されている。

  本土市場の人民元は19日、0.9%値下がりし、終値ベースで2015年以来の下落率を記録。ドル高の下、大半のアジア通貨も下げた。銅は1年ぶりに6000ドルを下回り、他の工業用金属の価格や鉱業株も下落。新興国通貨の指標は4月のピークからの下落率が6.7%に悪化した。

  中央銀行である中国人民銀行は元安を気にしていないように見受けられ、投資家は不意を突かれた。同行は19日、元の中心レートを昨年8月以降で初めて、1ドル=6.7元台に設定。くすぶり続ける米中貿易摩擦は元を一段安にする動機を中国側に与えかねず、市場のボラティリティーは続きそうだ。

  みずほ銀行でヘッジファンドセールス責任者を務めるニール・ジョーンズ氏は元に対するドルの「上限が引き上げられたかもしれず、市場は犠牲を迫られた」と語り、1ドル=7元まで元安が進めば懸念材料だと指摘。「夏枯れには向かっていないようだ」と述べた。

  元安は既に、トランプ米大統領の怒りを買っているようだ。大統領はCNBCとのインタビューで、元は「石のように落ちている」と語り、米国は不利な立場に置かれていると述べた。

  みずほ銀のみならず、ノムラ・インターナショナルのストラテジストらも元が1ドル=7元に下落する可能性を引き上げた。ここまで安くなれば、08年以来となる。

原題:Yuan’s Fallout for Markets Means No Summer Break for Investors(抜粋)

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