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投資だけでなく経済やビジネスについても学べる「インベスターZ」のまとめ

ドラゴン桜」で有名な三田紀房氏が書いた「インベスターZ」がTwitterのTLで頻繁に「勉強になる」と言われていたので気になって読んでみました。

テーマは「投資」ですが、投資といっても色々なものがあり、作中でも株、FX、不動産、保険など、様々なジャンルが取り上げられています。それだけでなく、経済の仕組みやお金の歴史、ビジネスや経営理念なども紹介されています。

作中には実際の経営者の方(ホリエモンこと堀江貴文氏、ユーグレナの出雲充氏、スタートトゥデイの前澤友作氏など)も登場し、サクサク読めてしまいます。

キレのある名言がたくさんあったのでまとめてみました。

 

考え方について

  • 一流になれないものを目指すのは無駄な努力。的外れなところで頑張ることに価値なんてない。
  • 成功って実はものすごく簡単「やればいいだけのこと」
    • ビジネスにおいて一番大事なことは行動力。アイデアなんてなんの価値もない。
    • みんな当たり前のことができない。最後までやりきる人はほんの一握りで、ほとんどの人は途中で挫折する。なんだかんだ言って人間は自分には甘い。
    • 「やればいいじゃん」と返して、その後に実際に始める人はほとんどいない。まだアイデアが弱いだの準備が出来ていないなど言い訳を付けて。やればいいだけのこと。
    • 100人の人が思いついたとしても行動するのはたった1人。100人の人が行動したとしても行動し続けられるのはたったの1人。つまり1万人のうち「やり続ける」人は1人しかいない。天才とはその人のこと。
    • それに対して巨人になる人は違う。やると決めたことを最後までやり抜く心の強さと忍耐力を持っている。バフェットがすごいのはそこが絶対にぶれない。自分が作ったルールにただひたすらに忠実であり続けている。
    • つまらないプライドを捨てて目的のために自分を犠牲にできるかどうか。企業を経営するとそういう試練を何度も経験する

 

  • いくらエンジンを完璧に調整してもスイッチを押さない限り作動はしない。投資も同じ。根拠が完璧に積み上がらないと判断できないような投資家は二流だ。理性や理屈がなくても決められる投資家が一流。時には直感で決める、自分の完成を信じる心の強さを自分の中に持て。
  • 美人の隣に座れるのは美人に告白した男だけ
  • 本当の自由はお金でしか手に入れることはできない
  • 初めてチャレンジしたことで良い結果が出ないのは当たり前。それを失敗と思うことなんてない。失敗というのは同じ過ちを繰り返すこと。
  • 決断とは”切って離す”こと
    • スティーブジョブズ「何をしてきたかと同じくらい、何をしてこなかったかを誇りたい」

 

株に関すること

  • 「木の葉が沈み石が浮く」これが現実に起こるのが投資の世界だ!絶対にないなんてことは絶対にない!
  • 自分の一切の感情を捨てろ。自分を信じるな。自分の上に法則を置け、法則こそが神!
  • 天才は、法則を神とし、自分を消して機械的な売買に徹している。もちろんボクも頭では理解しているが、なかなか実行できない。どうしても自分の感覚や個性を出そうとしてしまう。自己という欲望に負けてしまう。そこが天才と凡人の違いですかね・・・
  • 投資は常に個で行う。投資の絶対的原理原則。
  • 真の投資家は議論はしない。議論は個人のこだわりを生み出してしまうだけ。人は話し合っていくうちに持論を展開したくなる。
    • そのこだわりが致命傷となる。こだわりを持てば投資は必ず失敗する。株は法則に従って機械的にやれ。
    • 優秀な人間が集まれば最良の結果が得られると思うか?みんなで相談して株の売買をすれば必ず失敗する。
    • 譲り合った妥協の産物にしかならない。するとお互い失敗を相手のせいにする。譲り合いの精神でみんなの意見を取り入れて結局中途半端な決定をしてしまう。優秀な人ほど細かい配慮をしたがる。

 

  • 株は買うことより売ることのほうが重要
    • 初心者は買うための努力をする。間違った株を買いたくない。この不安を消すために買って安心する。あれだけ調べたんだから大丈夫だろう、と。上がったら売ろうと曖昧な期待に身を委ねる。
    • 上げ相場のときはお祭りに参加している気分、しかし祭りには終わりが来る。終われば相場は急変する。すると人々は「損をしたくない」恐怖心にかられいっきに売る。相場が急降下を始めると暴落していく。
    • 損は「し始めた時」よりも「よりひどくなる時」の方が苦痛は少ない。プロスペクト理論と呼ばれる行動経済学の理論の一つ

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  • 株式投資を一言で言い表した最強の格言「コツコツドカン」。「チャートには重力が存在している」という格言もある。
    • 相場というものはじっくり時間をかけて上がって一瞬で下がる。逆に、ダラダラと下がっていってあるときいきなりガーっと上がる。つまりコツコツ上がってドカンと下がる、コツコツ下がってドカンと上がる。「天井三日、底百日」「登り百日、下げ十日」という格言もある。
  • アメリカの投資家 ピーター・リンチの理論。
    • 「株を保有するのは子供を持つようなもの。目が届かなくなるほどたくさん抱えてはいけない。保有するのはせいぜい5銘柄。」それ以上は企業研究がおろそかになる。そして「企業を研究することなく株に投資すれば、手札を見ずにポーカーをする時と同程度の成功しか得られない」

  

  • 投資に大切なのは未来を予測する力。社会のどんな課題を解決すれば良いか自分で答えを導き出すこと。そのための努力を続けている企業を見つけて投資せよ。過去の分析と必勝法を学ぶことではない。
  • ゴールドラッシュで儲けたヤツは金を掘っていたヤツじゃない。ツルハシやスコップを売った人、宿や酒場の主人、最終的には大量の人員と物資を運ぶために鉄道を敷いた実業家が大儲けした。金持ちとは社会のブームを利用して稼ぐヤツのこと。良い株を探すことは金を掘ることと同じ。

 

ビジネス/意思決定に関すること

  • 1942/5/8、米軍空母ヨークタウンはミッドウェー海戦前の珊瑚海戦で中程度の損傷を受けた。
    • 当時のミニッツ提督はアメリカ本土に帰還させた上で90日もかかると言われた修理を、ハワイ・真珠湾での3日間の応急処置で済ませ、戦列に復帰させた。
    • 米軍は徹底した現場主義。その場のリーダの決断と実行が国を勝利に導いた。対する日本軍は、常に大本営の判断を待ち、それに従った。太平洋戦争は官僚とビジネスマンの戦いだった。
    • 現場の最前線にいる責任者の判断と行動で事業を進めるのがビジネスマン、対して常に上の判断を仰ぎ命令を待つのが官僚。現場での決断と実行が早いビジネスマンが勝つのは当たり前。
    • 目的か手段か。戦争において目的は勝つこと。アメリカは目的である勝つことを最優先に作戦行動をとった。日本はなによりも手段を重んじる。勝つことより、途中の手続きを重要視したために常に後手に回った。
    • 目的達成こそが存在意義。

 

  • ルールを作る国とルールを守る国の違い
    • 西洋の人にとってルールは作るもの、時代の変化に合わないと思ったらさっさと変える。一方、日本人にとってルールは守るもの。一度決めたことは守り続けることが美徳と考える文化
    • この2つの文化がぶつかり合えば、ルールを作る側が常に主導権を握ることは当たり前。柔道着は青になり、スキージャンプの板は短くなる。ルールを変えるのは卑怯だと騒いでもそんなものは子どもの駄々と同じ、世界は相手にしない。しぶしぶ限られた枠組みの中で「カイゼン」を重ねルールに適合するしかない。
    • - ビジネスの世界では「ゲーム・チェンジ」は頻繁に起こる、それが常識なのだ。しかし大概の日本企業はそこで青ざめて棒立ちになる、そして新しいルールが提示されることをひたすら待ち、渋々と従う。だから負け戦が続く。勝つためにはルール作りに参加しどうすれば自分らが有利になるか考え積極的に意見を発すること。つまりゲームチェンジャーになることだ。そうすれば競争優位性を築くことが出来る。

 

  • 大手はいつも群れている。言い換えれば横並び。それも国家事業になると国が後ろで操っている。ベンチャーは違う、ファーストペンギンになれる。
    • ファーストペンギンとは群れの中から最初に海に飛び込むペンギンのこと。ベンチャー事業で成功するということはファーストペンギンになるということ。
    • みんな横並びのゆでがえる。お互いの顔を見合ってばかりいて少しも発展性がない。
    • 群れている組織のペンギンは、国も大企業も怖くて言い出せない。もし失敗したら誰が責任を取るのか。そこに明確な対応策が見つからないなら初めから試さないほうがいい。だから失敗を恐れる。互いの顔色を伺って自主規制を重ね進捗に進めれば進めるほどコストと時間がかかる。

 

常識への疑い

「貯金」について
  • カネを貯め込むヤツはみんなバカ!「貯金は美徳」だと思い込んでいるだけ
  • 戦争により「貯蓄」という観念を刷り付けられた日本人
  • 政府のプロパガンダのせいで日本は投資から貯蓄の国に変わった。「戦争に勝つために国民は貯金せよ」
    • 日中戦争から太平洋戦争にかけて日本は戦費調達に困っていた。当時の大蔵省は苦肉の策として昭和13年「国民貯蓄奨励局」を設立して全国でキャンペーンを実施。
    • 「貯金しない非国民」とレッテルを貼られることを恐れ国民の多くは手持ちの現金を金融機関に貯金した。
  • 戦争よりも前に「金は汚いもの」という思想を国にばらまいたヤツがいる。
    • ある時代の権力者が国民に金は汚いものだと刷り込んでおけば都合が良いことを発見した。発端となったのが本能寺の変
    • 江戸時代の武士たちは300年間を耐え抜いて家を守った。なぜ武士は貧しくとも歯を食いしばって我慢し続けたのか。それは国全体が貧しかったから。武士のみならず農民も町人もみんな等しく貧しかった。社会全体が貧しいとそれが当たり前になり誰も不満を口にせずじっと辛抱してしまう。
    • そうなったのは為政者が国民は貧しいほうが統治しやすいと考えていたから。発案したのは江戸幕府を開いた徳川家康
      • 国全体を「そこそこ貧乏」な状態で統治すること。食えないほぼの貧乏にしてしまえば暴動が起きる。そうでもなく武士も町人も最低限食うに困らない程度の貧乏であれば国を治めやすいだろうと。それはなぜか。大名や民衆が金を持つとろくなことを考えないから。財力があると必ず権力を倒し取って代わろうとしてくる。
      • それを防ぐにはできるだけ幕府以外に金を持たせない。そのかわり武士には身分が一番高いというプライドを与えた。農民や町人には質素倹約こそ美徳という価値観を植え付けた。士農工商のなかで唯一大金を持つ商人は、強欲で汚れた金にまみれた身分の一番低い卑しいものだとして他の民衆の不満を抑えた。
      • 武士は誇りのみに生き、町人は貧しくとも平穏な暮らしで満足した。これが江戸幕府が300年続いた秘密。そしてこの価値観は維新を経て時代が変わっても受け継がれてしまっている。
「マイホーム」について
  • 家を持てば「一国一城の主」「家を建てて一人前」とか、そういう世間の常識に縛られて自分の頭ではなにも考えてない人が実に多いということだ。常識というのは商売するにもはもっていこいの餌。
  • 常識という餌をバラまけば大衆はワンサカと食いついてくる。食いついた魚は片っ端から釣り上げられ商売の材料に使われるのさ。もっと先を読めば、その常識をバラ撒いたヤツがいる。その常識でひと儲けを企む国や企業だ。
    • ある時期から国や企業が国民に不動産の取得を勧めたことになる。戦前まで日本人はほとんど借家に住んでいた。じつに都市の7割が借家住まいだった。
    • 1958年から61年までの岩戸景気の時に生じた地価上昇幅は80年代の土地バブルより高い数値を示している。理由は急速な工業化と農地から大都市への「民族大移動」にともなう宅地開発。
    • 住宅問題を解決しつつ日本経済を急拡大させる一石二鳥の離れ業。阪急阪神東宝グループ創始者小林一三氏が考えた宣伝文句「この家はあなたのものです」
      • その戦略は安く仕入れた土地を付加価値を高めて売るというもの。まず山林を買い鉄道を敷く、終着駅には娯楽施設やデパートを建てる。その間に駅を作り周辺の土地に宅地造成する。区画を削って販売するほか家を建てて一括で売る方法もある
      • 誰が買うのか?一般の労働者が買えるのか?住宅ローンという仕組みで金を貸す。土地付き一戸建て住宅の販売価格を均等割して何十年とかけて返済していく。これなら一般市民でも返せるし、完済すると所有権も得られる。それにローンの貸し手には金利が入り儲かる。土木・建設などの関連企業も活況になる。これによって鉄道を中心とした金融と住宅・流通サービスのパッケージが完成する。
      • 国内の住宅市場が成長し産業が発展すれば税収も増える。国民に家をもたせれば税金を徴収でき財政も潤う。私鉄各社、銀行、建設会社が連携した国家プロジェクトである。戦前に生まれたこの小林モデルを戦後の高度成長時代にあらゆる鉄道会社がマネをした。1950年には住宅金融公庫ができて国も不動産取得を後押しした。
    • この頃から「夢のマイホーム」「一国一城の主」などの言葉が登場し始めた。1960年の流行語は「マイホーム主義」
      • 一戸建て購入がブームになり、家を買うことが庶民の目標となった。運良く日本の地価は上昇し続けた、国民は買った価格より上がり続ける不動産を所有し幸福になった。価値の下がる可能性のある株や債券は邪道、土地こそが信頼できる唯一の資産である・・・しかしそれは政府が国民に発信した単なるスローガンにすぎなかった。やがてバブルは弾け、人口減少時代に突入し、土地の価格は下落した。


などなど。
他にもお金に関する歴史など読み物として充実しています。

もちろん、ここに書かれている内容を鵜呑みにする必要はないですが、勉強するきっかけとしては非常に良いと感じました。
「お金」に関しては学校では教えてくれませんから、自分で勉強していくしか無いですからね。 
(参考) 『インベスターZ』が人気なのは 誰も教えてくれない「経済の歴史」を教えてくれるからだ! | 三田紀房 公式サイト



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インベスターZを読み始めて、ちょっと株を買ってみたい、という人にはおすすめです。