みなさん。
この場を借りて告白させていただきます。
僕、実は、かなりの戦争映画マニアなんです。
戦争映画と名の付くものを片っ端から観まくるのがライフワーク。
それも、ハリウッドの大作から、自主制作っぽい作品まで。
それはもう、年間かなりの本数をチェックしまくるんですよ。
その数、年間30本ほど。
これが現状、日本で新たに配給される戦争映画のすべてに近い数字じゃないかと思われます。
もちろん作品の完成度はピンキリ。
なかには「B級」どころか、「C級」と判定せざるを得ない作品もあるのです。
まあ、おそらくは半分以上は、ただの駄作ではないかと。
でも、たまに当たる「隠れた名作」に出会えた時の感動が忘れられないのです。
ほんとに年間数本、「当たり」があれば良いんです。
それを何回も繰り返し観るわけですから(笑)。
僕の戦争映画観について
フォトギャラリー - プラトーン - 作品 - Yahoo!映画
先に補足しておきます。
「勧善懲悪」や「チャンバラ要素」が強い戦争映画は、好みではありません。
僕が戦争映画に求めるものは、ただひとつ。
「リアルな非日常であること」
ただの娯楽映画じゃ、駄目なんです。
現実に起こりうる、非日常という意味。
SFファンタジーやパニックものでも良いのかも知れませんが…。
戦場こそが現実世界における、「究極の非日常」ではないかと考えるのです。
そんな極限状態におかれた、普通の人間たちの葛藤や心理なんかに非常に興味関心があるのですね。
だから、あくまで「現実であること」が大事な部分となってくるんです。
現実に「生きるか死ぬか」の極限状態に置かれた普通の人間たちがいて、初めて本当の意味での「リアルな非日常」が成立するわけなのですから。
たとえば「正義のヒーロー」が単身で悪の組織に潜入して…、なんて話とか。
10倍以上の人数を相手に主人公が無双してしまうとか。
そういうの大嫌いなんですよ。
だって、もう現実感がありませんでしょ?
敵だって、命が惜しいはずなんで、そんな戦い方になろうはずもない。
A級、B級、C級のランク分けについて
それと。
いちおう僕なりの「映画ランクの定義付け」を公開させてください。
- B級映画→予算がなくて、セットにお金をかけられない作品
- C級映画→爆弾が爆発するとジャンプして死ぬ、もしくは撃たれると二階の窓から落下して死ぬ。あとは兵隊さんが太っている(笑)。つまらないなど。
- 問題外→完全に内容が娯楽寄りで、チャンバラ色だけが強い作品。
普通に予算かけてて、脚本もしっかりしていればA級映画。
ちなみに時代考証から完璧になされている作品は、S級映画になろうものかと。
二番煎じタイトルでも秀作はあるもの
大ヒット作品が世に配給されると、どうしても「似たような」邦題を戴いた作品が次々世に送り出されてきます。
「二番煎じタイトル」とでも言いましょうか。
例えば、トム・ハンクス主演の戦争映画『プライベートライアン』。
ご存知、戦争映画史上に残る興行収入を記録した名作ですが、その後に「プライベート何トカ〜」なる作品が大量発生。
レンタルDVD屋さんで、「間違って借りちゃった」なんて方も多いのでは?
だけど。
そんな、巷にあふれる「プライベート何トカ…」作品のなかで、秀逸だった作品もあったのです。
それが『プライベート・ソルジャー』。
1998年に公開された作品。
原題は、『WHEN TRUMPET'S FADE』
意訳するにも程があります(笑)。
第二次大戦後期、凄惨な戦いの場となった『ヒュルトゲンの森の戦い』を通して、人間が本来もつ「ずるさ」「残酷さ」「弱さ」「あさましさ」を見事に描き切っています。
これぞ、まさに隠れた秀作。
ただ残念なのは、意味不明な邦題のせいで、本作が無意味にB級映画のレッテルが貼られてしまっていること。
非常に優れた作品なだけに勿体ない。
史上最悪な邦題によって多くの人の見る機会を奪ってしまった映画
邦題といえば、かつて70年代〜80年代の頃、各映画配給会社はこぞって「邦題」を付けまくりました。
完全なる意訳であることも多く、ある意味センスが問われる作業でした。
いわば商品のキャッチコピーをつくる訳ですからね。
しかし、先ほどの作品と同じように原題と完全にかけ離れてしまった点で、有名な作品がコレ。
『戦争のはらわた』
1977年に公開された作品。
原題は『Cross of Iron』(鉄十字、ドイツ軍の勲章をさす)
巨匠サム・ペキンパー監督による渾身の一作。
当時にあって珍しい、ドイツ軍側から戦争の悲惨さを描いた作品です。
主人公である故ジェームズ・コバーン演じるシュタイナー伍長。
いやあ、男が見ても惚れ惚れする格好良さだなぁ…。
勲章欲しさのあまり、味方を危険な目に陥れたシュトランスキー大尉に報復する話。
敗走を続ける当時のドイツ軍の悲哀も見事に描いています。
サム・ペキンパーが唯一残した戦争映画がデジタル・リマスターでよみがえる!『戦争のはらわた』予告編
ところで。
『Cross of Iron』が
⇩
『戦争のはらわた』?
なんで「はらわた」なの?
これ、原題に対する侮辱じゃありません?
こんな「はらわた」なんて言葉が来たら、絶対にホラー映画と勘違いするに決まってるじゃないですか。
例に漏れず、おかげさまで自分も30歳過ぎるまで完全にホラー映画だと思い込んでまして、見る機会を持ちませんでした。
でも、この映画こそが名だたる戦争映画のなかの金字塔。
最高の一本だと確信してやまないのです。
だから、なおさら意味不明な邦題に腹が立つ訳なんですね。
余談ですが、昨年「40周年記念」として、リマスターされ再公開されたそうですね。
見逃した…。。
ドイツ軍側から「被害者」の視点で描いた作品
つづいて、ドイツ軍として戦争に参加し、翻弄されてゆく若者たちの群像劇を描いた作品。
『ジェネレーション・ウォー』
ドイツ軍側から戦争の被害者としての視点で描いた珍しい作品。
ドイツ製作です。
原題は『(我らの)母たち、父たち』だそうです。
ドラマ「ジェネレーション・ウォー」予告篇 - YouTube
信じていたものが、もし虚構だったとしたら。
狂気がどれほどまでに人を変えてしまうものなのか?
「戦争」が普通の青年たちの運命を大きく変えていってしまう様を描いた反戦映画。
きちんと、自分たちの「過去」と正面から対峙することのできる、ドイツ社会の成熟ぶりが伺える作品です。
こちらの邦題に関しては、大目に見てあげましょうか(笑)。
最後に
以上の3点の作品については、独断と偏見でS級の評価を与えたい作品です。
もちろん、複数回にわたってじっくりと鑑賞し尽くした作品でもあります。
「リアルな非日常」が成立しているだけでなく、きちんと史実に忠実に再現されているのもポイント。
そして、作り手からのメッセージがきちんと伝わってくるという点も重要なところ。
あと、脚本が良いのは、最低条件ですからね。
いや本当に素晴らしい映画だなと。
近代史マニアでもある自分を十分に満足させてくれる数少ない作品たちでもあるのです。
3作とも残念な邦題がきっちりついてます。
しかし、決して埋もれてはいけない秀逸な作品たちであることは確かなのです。
みなさんの戦争映画の見方を変えるきっかけになれれば幸いです。
2018.7.21