質問にお答えします!


少し難しい話になります。

あらかじめご了承ください。



界面活性剤には大きく分けて以下の4つのタイプがあります。

◎陰イオン界面活性剤
→洗剤の主成分

◎陽イオン界面活性剤
→柔軟剤や殺菌剤の主成分

◎両性イオン界面活性剤
→洗剤の補助成分(ベビーシャンプーなど)

◎非イオン界面活性剤
→化粧品や食品の乳化剤


このうち肌への負担が高めと言われているのが上二つ(陰イオン系と陽イオン系)のタイプです。

このタイプの界面活性剤は「静電気」を帯びる性質があるため、この静電気が生体にダメージとして働きます。

なので洗剤や柔軟剤が肌荒れの原因になると言われています。


対して下二つ(両性イオン系と非イオン系)は静電気を帯びないため肌や生体への負担が非常に小さく、

敏感肌や赤ちゃん向けのソープ類や食品添加物、塗布用の化粧品の乳化剤などとして広く利用されています。


このように界面活性剤はその性質に合わせて適材適所に利用されるため、

普通は皮膚刺激などが懸念される商品(例えば塗り置きの化粧品)に配合される界面活性剤には生体への影響ができるだけ小さいものを選んでいると考えてOKです。

(界面活性剤の研究が杜撰な企業の場合はこの辺りの成分の選び方が下手だったりもしますが…)



ただし「セラミド」という成分の乳化については少し話が違ってきます。

セラミドは『脂質』なので一応は油に近い成分とされていますが、

その実態は水にも油にも非常に溶けにくい成分です。

通常の乳化用の界面活性剤だけでは乳化が大変難しいので、これまでは陰イオン系などのやや肌に負担になる懸念のある成分も添加して乳化されていた背景があります。

(セラミドは構造状陰イオン系の界面活性剤を用いるのが最も溶けやすいとされています)

とはいえ、

セラミドは極低濃度でも肌のバリア機能を引き上げる力があるため配合量は少量で十分です。

そのため界面活性剤も肌にダメージにならない濃度で済む場合がほとんどなのです。

よって一般的な消費者製品のケースでは、

セラミドの乳化用の界面活性剤がセラミドによるバリア機能の向上を上回って肌のダメージ要素として働くことはほぼないと考えて結構です。


しかし市場にはより高濃度のセラミドを配合した商品もあり、この場合は界面活性剤の濃度も同時に上がってしまうことからあまり高濃度過ぎる商品の場合は肌への負担が懸念されるということにもなります。

※最近ではセラミド乳化の研究が発展し、非イオン系界面活性剤のみでも安定乳化できる原料なども開発・利用されています。




ちなみに「水溶性セラミド」というのは厳密には『セラミド』ではなく『セラミド前駆体』と呼ばれるセラミドの類似成分だと思われます。

市場には「セレブロシド」や「ウマスフィンゴ脂質」、「コメヌカスフィンゴ糖脂質」などの名前で出回っています。

これは「糖セラミド」というもので、脂の性質が強いセラミドの構造に水に溶けやすい『糖類』の構造を同時に持っているため比較的水に溶けやすくなっています。

そのため種類によっては界面活性剤を必要としないものもあるようです。

ただしこれらのセラミド前駆体はセラミドの類似成分なのである程度のバリア補助効果は有しますが、

本物のセラミドと比較するとその効果はかなり小さいといわれています。


ちなみに本物のセラミドは化粧品成分表に必ず『セラミド〜(数字か英語)』と書いてあるので、それを参考にしましょう。