児童の「疲れた」は兆候だった…熱中症で小学1年生が死亡
- 「疲れた」や「唇の変色」は熱中症の兆候
- 意識を失ったり、けいれんを起こすと死亡率が高くなる
- 脱水症状か見分けるポイントの一つは「舌の表面に亀裂」
岐阜県多治見市では、18日午後2時30分に40.7度を観測するなど、全国でも190地点で35度以上を観測し、連日、命の危険すらある猛暑が続いている。
総務省消防庁によると、熱中症による救急搬送者数は7月9日から15日までの1週間で前の週の約3.7倍となる9,956人に急増。
そのうち12人が死亡している。
「疲れた」は熱中症が疑われる最初の異変
愛知県豊田市では17日に小学1年生の男子児童が熱中症で亡くなった。この児童には亡くなる直前にある"異変"が起きていたという。
死亡した児童が学校を出発して校外学習に向かったのは、17日の午前10時5分ごろで、児童たちは帽子を被り、水筒も持参していたという。
この時の豊田市の気温は32.9度で、亡くなった児童にはすでに異変が起きていた。
豊田市教育委員会 学校教育課 鈴木直樹課長は「死亡した児童が行きも少し遅れ気味でいたので、声を掛けて『疲れた』と言っていたので、帰りもちょっと『疲れた』と声があったと聞いています」と話した。
この出発直後に発した『疲れた』を江東病院・三浦邦久副院長は、熱中症が疑われる最初の異変だと指摘する。
三浦副院長は「熱中症の中に軽度ですが、水分が不足してだるさを訴えるという『熱疲労』というものがあります。(男子児童は)軽度の熱中症になっていた可能性がある」という。
目的の公園までは約1キロの道のりで、児童たちは20分ほど歩き、午前10時25分ごろに公園に到着。
虫取りや遊具を使った校外学習を30分ほど行い、学校に戻ったのが午前11時半でこの時の気温は34.9度とさらに上昇していた。
教室に戻った児童について豊田市立梅坪小学校 籔下隆校長によると、「児童が『疲れた』と言っていたこともあり、担任が寄り添って目線の高さで話をしていたそうです。話しているうちに『唇の色が悪くなってきた』ので、担任は急いでその男子の手を引いて、教室の後ろのところに座らせた」という。
唇の色が紫色に変わっていたこの異変は、熱中症がかなり進行しているサインだという。
三浦副院長は「危険な兆候で、危険なサイン。紫になるというのは唇までの血流量が落ちているということ。唇の血管内脱水、血もめぐることができない状態」だったと指摘。
その後、男子児童は意識を失い、病院で死亡が確認された。死因は、熱中症の中で最も重い症状にあたる『熱射病』だったという。
初期の段階は「めまい、立ちくらみ、手足のしびれ」
熱中症になるとどのような症状が現れるのか。
初期の段階ではめまい・立ちくらみ・手足のしびれが起き、発汗などによる塩分の欠乏から筋肉の硬直なども起こり、悪化すると頭痛や吐き気、体がだるいなどといった症状も現れる。
さらに、意識を失ったり、けいれんを起こすなど、このような状況になってしまうと死亡率も高くなる。
また、体温が上がっているにも関わらず、寒気を感じる場合は、重症化による脳へのダメージのせいで、脳が寒いと認識してしまうためだといい、体温調節機能も正常に働かなくなり、暑いはずなのにまったく汗をかかなくなってしまうといった症状が出ることもある。
子どもを熱中症から守るアイテムも
熱中症の予防には、脱水症状なのかどうかを見分けることがポイントだという。
例えば、手の甲をつねって皮膚がもとに戻るのが遅い、といったことや舌の表面に亀裂ができることは体から水分が失われているサインとなる。
また、アメリカで提案された暑さ指数をもとに、今いる場所の熱中症の危険度を計測する子どもを熱中症から守ることができるアイテムもある。
熱中症の危険性が高いとブザーが鳴る仕組みで、危険性が低い『ほぼ安全』から、危険性が非常に高い『危険』の5段階で知らせてくれる。
暑さ指数は環境省のHPでも公開されているため、熱中症予防に役立ててほしいとしている。
(「めざましテレビ」7月19日放送分より)