【大相撲】御嶽海、連勝止まった 際どい一番 行司差し違え2018年7月20日 紙面から
◇名古屋場所<12日目>(19日・ドルフィンズ アリーナ=愛知県体育館) 全勝で単独トップだった関脇御嶽海(25)=出羽海=は、土俵際でもつれた一番で大関高安(28)=田子ノ浦=に突き落とされ初黒星。それでも、後続との2差は変わらず、残り3日間で2勝すれば自力で優勝を決められる有利な状況に変わりはない。高安は勝ち越し、かど番を脱出した。大関豪栄道(32)=境川=は遠藤を押し出して9勝目を挙げ、13日目は御嶽海と対戦する。 ◇ 際どすぎる決着だった。出し投げから一気に前に出て突き落としを食らった御嶽海が、左足を軸に半回転して残そうとした高安とほぼ同時に土俵下へダイブ。軍配は御嶽海だったが物言いがつき、行司差し違えで初黒星を喫した。 流れは11連勝の勢いのまま、御嶽海がつかんだ。互角の立ち合いから、右でおっつけて左はしっかり差し、腰を落として大関の圧力をこらえた。頭を付けて右は上手まわしを引き、攻め続けただけに悔しさは隠せない。取組後の支度部屋では今場所初めて、取り囲んだ報道陣に背を向けてひたすら無言を貫いた。 身支度を終えて立ち上がると、ようやく口を開いた。「いいクールダウンでしょ」と想定内と言わんばかりに、ひょうひょうと振り返ったが、直後に「大関に勝たなきゃ意味ないでしょ」ときっぱり。大一番への本音がのぞいた。 上位の壁を崩しかけながら痛い1敗だが、取組前には初優勝を後押しする追い風が吹いた。2敗で追走していた栃煌山と朝乃山がそろって敗れ、後続とは2差のまま。13日目に3敗同士の対戦が組まれたため最速Vは14日目にずれ込んだが、“マジック2”の状況。圧倒的に有利な立場は変わりない。 八角理事長(元横綱北勝海)は、自身が関脇だった1986年春場所に13勝2敗で初優勝した経験から「(御嶽海の)優勝は堅いところまできている」と断言。その上で「精神的にこの1敗がどうか。2差があるけど、そこまで考えられるか」と、心理面のゆとりをカギに挙げた。 13日目は第二の関門ともいえる豪栄道との結びの一番。過去3勝6敗の大関戦へ決意を問われると、力強くうなずいた。優勝争いは「全然」と意識せず、挑戦者の立場でぶつかっていく。 (志村拓)
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