これまで100件くらいの温泉宿に泊ってきました。そのうち一部の宿は宿泊後に廃業になってしまい、残念ながら今はもう泊まることができません。
そんな廃業してしまった宿がどうなったのか、個人的にとても気にしていて、ネットで時々宿の名前で検索してみたり、近くに寄った時に跡地を見てみたりしています。
今回紹介する、長野県は湯田中温泉の「翠泉荘(すいせんそう)」もそんな宿のひとつ。
幸いなことに、ここは新しいオーナーさんが翠泉荘の名を継いで、新しい宿を建てていました。宿泊はしていませんが、先日見てきたので書いておきます。
旧「翠泉荘すぎもと」の記憶
かつての宿「翠泉荘すぎもと」に泊まったのは2014年のことでした。その時の宿泊記録はこちら。
とにかく古い建物で、今まで自分が泊まった宿の中でも1,2を争うくらいの古さとインパクトでした。その分とても安く泊まれたのですが。
部屋にエアコンはなく、うちわと扇風機で夏の1泊を過ごしました。(まあ、信州は涼しいので、その時はさほど苦にならなかったことも書いておきます。)
印象に残っているのは宿の古さだけではなくて、宿の奥さんが親切だったことと、温泉が良かったこと、チェックアウト直前にトイレを詰まらせてしまったこと。(苦笑)
その頃から地元の不動産屋さんのホームページで、売り物件として紹介されていました。自分が予約した時、宿の名前でネット検索をしていて発見したのでした。
営業中なのに売りに出されていたくらいだったので、自分が泊まった時はもう、廃業が近い将来のことになりつつあったのかもしれません。
やがて、じゃらんnetや楽天トラベルから翠泉荘は予約できなくなり、そして情報自体が消えてしまいます。件の不動産屋さんのサイトでも「売約済」に。
その後「翠泉荘」で検索したら、Google検索のトップに「閉業」との記載が出ていました。ああ、そうか、と。
2017年に渋温泉に泊まったとき、宿のあった場所がどうなっているか確認しようと思い、車で目の前を通ってみたのですが、あの古い建物はもうありませんでした。
(↓2014年宿泊当時の「翠泉荘すぎもと」の玄関)
「あさひ翠泉荘」の情報
2018年になり「翠泉荘」で検索すると、トップに「あさひ翠泉荘」という名前が出てきました。
あれ? と思い「あさひ翠泉荘」という言葉で再検索すると、地元のニュースサイトがヒットしたので、読んでみます。
どうやら、宿の常連さんだった方の会社が新しい宿「あさひ翠泉荘」をオープンさせる予定、とのこと。
旧「翠泉荘すぎもと」は建物も古くて歴史の長そうな宿だったので、多くのスキー客を受け入れていたようです。常連さんもきっと多かったのでしょう。
工事中の新しい宿の写真が小さく出ていましたが、やはりあの古い建物は取り壊されて、新しい建物を建設中のようでした。
行ってみた
先日、湯田中温泉に行く機会があったので、また見に行ってみました。「あさひ翠泉荘」はもう完成しているようでした。
宿泊予約はしていないのですが、宿が経営しているカフェ「サンライズ」があり、そこで軽食を取れるようでした。早速お邪魔してきました。
あさひ、ということで「サンライズ」なのでしょうね。
カフェ「サンライズ」は若干のテーブル席とカウンター数席、外にテラス席がありますした。
平日ながらにぎわっていて、海外からのお客さんや、家族連れのお客さんが午後のティータイムを楽しんでいました。
カウンター席に座り、アイスカフェラテを注文し、ごくり。暑い日でした。
2014年に泊まった部屋と同じ場所で今アイスカフェラテを飲んでいるんだな、と思うと、ちょっと感慨深くもあり。
で、お店の方にちょっとお話を聞いてみました。
「あさひ翠泉荘」は2018年4月にオープンしたそうです。
今は会員の方のみが泊まれる宿とのことです。だから、あまりネット上に情報が出ていないのかもしれませんね。
ただ、時期は未定ながらも、いつかは会員でない人も宿泊できるように、ということは考えていらっしゃるようです。
いつかは宿も見てみたいところです。
最後に
建物は全く違うのですが、「翠泉荘」の名前を受け継いでいるあたり、新しい経営者の方の思い入れが伝わってくるような気もします。
たいてい温泉宿が廃業してしまうと、そのまま廃墟のように建物が残り続けてしまうことが多くて、目の前を通ると悲しくなります。
今回の翠泉荘はそうならずに、新しい宿に生まれ変わったわけなので、とても幸せなケースなのでしょうね。
湯田中温泉の温泉街は、廃業した旅館やシャッターが下りたままのお店が並んでいるのも事実ですが、その一方で、あさひ翠泉荘のように新しい施設もできています。
近くに、スノーモンキーで知られる「地獄谷野猿公苑」もあり、多くの海外からの観光客も訪れる場所なので、海外の方向けの宿やお店も増えてきました。
既存の古い建物を活用したレトロ感のあるお店もあれば、今回のあさひ翠泉荘のように新しい建物のお店もあります。温泉街も少しずつ変わっていっているのですね。
自分にできることは限られますが、これからも同じ温泉街を時間をかけて追いかけていきつつ、変わりゆく温泉街を記録していきたいなと思ったのでした。
もちろん、宿やお店を利用して温泉街にお金を落とすのも、できる範囲でやろう、と思うわけです。
さて、今度はどこへ行こうかな。