半年に一回は飲みに行く、ある業界の「有名人」と先日、行ってきた。
なんだか最初からやけに俺に噛みつくから、え、どうしたの?と根掘り葉掘り訊いてみたら、

途轍もなく業界に絶望していると解った。

ちょっと、ショックだった。
ショック過ぎて、途中で泣いてしまった。

こいつもここまで追い込まれているのか・・・。
業界はこの逸材をここまで絶望させられるのか。

「Twitterのフォロワー数でキャスト決めてるんだぜ?」
「それマジなの?ギャグじゃないの?」

そんなこともシャレでは済まされないくらい、彼は悲痛な面持ちだった。
なんか俺を叱っているようには見えない。自暴自棄にすら見えた。

これは、辛い。
長い付き合いの中で、彼がこんなにヤケになっているのは、初めて見た。

だからと言って、
「じゃあこんな腐ったアニメムラなんか出て、俺と一緒にやろうよ!」
とは、言えなかった。
彼が今背負っているものはあまりに大きい。
迂闊な勧誘はできない。

励ます言葉も見つからないまま、別れた。
僕は無力だ。


僕達は、宮崎勤やオウムという「受難」の中で、アニメを護り、肯定するのに必死だった。
高校の友人が軽口で「アニメなんか観てさぁ~」とか言っていると、途端に表情を変え、
「一生かけてお前に反論してやる!」
と、息巻いた。

僕らの世代は、未だ「アニメを護る・肯定する」という癖が抜けないのかも知れない。
これだけ腐敗し、荒廃したにもかかわらず、誰もそれを口に出さず、アラートを出そうとしない。
半分意固地になっているようだ。

そして裏では、絶望する。
あまりに不毛だ。


僕はやっぱりこう言おう。
この業界は、一度ぶっ潰すしかない。
部分的な修正では無理なところまで来た。

ICOなど、僕らは既に動いている。
この業界に絶望する前に、この沈む船を見捨て、新しい船に乗ってはみないだろうか。
本当にそれ以外、道はないのだ。