医者がすすめる熱中症予防、これだけは

第30回 「一人暮らし」「エアコンなし」はご注意を

2018年7月19日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

重症熱中症患者さんのエピソード

 ここで具体的な熱中症の症状についてご紹介します。昔、私が診療した熱中症患者さんのエピソードに、いくつか加味してお話ししましょう。個人情報のため、年齢や性別などは変えてあります。また、「この患者さんはうちの家族かも」と思った方がいらしても、そうではありません。典型的なケースはしばしば似通っているのです。

 8月の初め、救急車で運ばれてきた患者さんは90歳近い男性でした。救急隊から聞くとお一人暮らしで、エアコンが以前から壊れていたとのこと。近所の人が心配して様子を見に行ったところ、自宅で倒れていたそうです。

 病院に到着した時は、皮膚はカサカサに乾き、触るとかなり熱い体でした。体温は39度。病院のカルテを見ると、心臓病と糖尿病で月に1回通院されていました。

 意識はもうろうとし、わけの分からないことをおっしゃっています。我々はすぐに点滴をし、服を全て脱がせて霧吹きで水をかけ、うちわで扇ぎました。扇いでいる私たちも汗だくになっていました。

 採血検査結果では、凝固機能(血がもともと持っている、血を固まらせる機能)が悪く、さらに肝臓と腎臓の数値も悪くなっていました。治療を続けましたが、途中肺炎を合併してしまい、亡くなりました。

暑くなります、お気をつけて

 このケースのように、「一人暮らし」や「エアコンがない」などは熱中症を起こす原因と言えます。また、前出のガイドラインでは、「こういう人が熱中症の危険あり」として、「男性」「高齢」「独居」「日常生活動作の低下」「精神疾患や心疾患などの基礎疾患を有すること」などを挙げています。典型的には熱中症で死亡するのは高齢者が多いのですが、若い人でも亡くなることはあります。

 これからますます高齢社会が進み、一人暮らしの高齢者が増えていく中で、このような不幸な転帰(病気が進行して行きついた状態)の方を減らすにはどうしたらいいか。これはもはや医療の分野をはるかに超えて、政治や行政とともにやっていかねばならないのでしょう。大学院で学んでいると、現場で過重労働をやっているよりも、そちらの方がより社会を良くするのではないか、と思うこともあります。

 なんにせよ、今年の夏も暑くなりそうです。皆様、そして皆様の親御さんも十分ご注意を。

 最後になりましたが、わたくし来(8)月6日に「医者の本音」というタイトルの新書を出版いたします。タイトル通りの「本音」ですからとっても書きづらかったのですが、身を切って書きました。

 これまでの医者本との違いは、

  • 著者が最前線ど真ん中の若手現役医師
  • すぐ使える情報多し
  • 製薬会社との関係や医局などの話あり
  • 年収・恋愛の話あり

 という点です。現在でもアマゾン・ドット・コムで予約できますし、8月6日には全国の本屋さんに並びます。ご興味のある方はぜひどうぞ。

 それではまた次回。

併せて読みたい

オススメ情報

「一介の外科医、日々是絶筆」のバックナンバー

一覧

「医者がすすめる熱中症予防、これだけは」の著者

中山 祐次郎

中山 祐次郎(なかやま・ゆうじろう)

外科医

1980年生まれ。聖光学院高等学校を卒業後、2浪を経て、鹿児島大学医学部医学科を卒業。その後、都立駒込病院外科初期・後期研修医を修了。2017年2~3月は福島県広野町の高野病院院長、現在は郡山市の総合南東北病院で外科医長として勤務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック