「東京都立大学」が復活するかもしれない。首都大学東京はこのほど、大学の名称について「対応について検討を進めている」ことを明らかにした。きっかけは小池百合子都知事の提案だ。
小池知事は7月12日、都政改革本部会議の席上、首都大について「都が設置する総合大学であり、質の高い教育や卓越した研究力に磨きをかけ、その成果をこれまで以上に都政へ還元していってほしい」と注文を付けた。
その上で、「認知度を高めるために、ブランディング戦略の一つとして、大学名を変えるくらいの大胆な改革をスピード感を持って取り組む必要があるのではないか」と提言。「都立の大学であるということを都民の方々にわかりやすく発信をするために『東京都立大学』も一つの考え方としてあるが、いかがか」と述べた。
「東京都立大学」への名称変更もアリなのではないか──という提案だ。この発言に対し、同大は「法人(公立大学法人 首都大学東京)としては、現在対応についての検討を進めております。状況が確定次第、速やかに皆様にお知らせします」と告知した。何らかの結論が出るのは間違いない。
ただ、過去の経緯を知る大学関係者は複雑な表情に違いない。
1949年に都の公立大として設立された「東京都立大学」が激動に見舞われたのは2003年。石原慎太郎氏が2期目の当選を果たして都知事に就任すると、都立4大学(都立大、都立科学技術大、・都立保健科学大、都立短大)を統合した新大学について、「新しい大学」の構想を掲げて推進した。
新構想では人文学部が消滅するなど、それまでの合意が反故になる形になったため、方針に抗議して辞職する教授も現れるなど、同大は大いに揺れた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
PICK UP!
- PR -