佐賀県の玄海原発4号機が再稼働、送電を開始した。立地地元以外の住民への配慮は依然、欠いたまま。それにしても原発を動かすほどに増えていく核のごみ。いったい、どうするつもりだろうか。
重要課題の先送り、住民の不安置き去り、そして再稼働の強行が、いつしか“普通”になってしまった感がある。
3号機では三月の再稼働から一週間後に、配管からの蒸気漏れが見つかった。4号機でも先月初め、冷却水の循環ポンプに異常が発生し、六年半ぶりの再稼働は延期になった。
原子力規制委員会の審査は、パスしたはずの二基だった。
トラブル発生の県などへの通報も迅速とは言い難く、住民の不信は一層膨らんだ。
他の多くの原発同様、玄海原発も地理的に特異な場所に立っている。国から避難計画の策定を義務付けられた半径三十キロ圏内に二十の有人離島があり、島の住民の大半が海路での避難を余儀なくされる。避難の成否も天候次第、常駐の医療従事者がいない島もある。
多くの住民が二重、三重の不安を抱えつつ、対岸の原発を日々眺め暮らしている。
川内二基と玄海二基。九電がめざした「原発四基体制」は整った。だが四基が動けば当然それだけ、核のごみも出る。
核燃料の寿命は三年から四年。玄海原発では今後、定期検査のたびに一基あたり約七十体の使用済み燃料が発生することになる。
使用済み燃料は原発内の貯蔵プールで冷やしながら保存する。
玄海原発の貯蔵プールはすでに八割方埋まっており、あと五年から七年で満杯になる計算だ。
高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が決まり、核のごみを再利用する核燃料サイクル計画は破綻した。
最終処分のあてはなく、フランスと共同の高速炉計画も先細り。行き場を失い、いよいよ核のごみがあふれ出す。
四基体制が整ったことで九電は、太陽光発電の送電網への受け入れを制限することになるという。つまり原発優先だ。
世界の流れに逆行し、原発神話が九州で完全復活するらしい。
神話の先には巨大な落とし穴が待つことも、福島の事故が教えてくれたはずなのに-。住民の不安はまた募る。
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