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【社会】

熱中症情報サイト、危険度の配色見直し 色覚障害者に配慮

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 熱中症の危険度を知らせる環境省の「熱中症予防情報サイト」で、地図上で色分けした「暑さ指数」の表示が色覚障害のある人に識別しづらいことが分かり、同省は配色の見直しを決めた。先天的に色の見え方が一般と違う人は国内に三百万人以上いるとされ、環境省によるとこうした人には五段階で最高の「危険(赤)」と二番目の「厳重警戒(オレンジ)」、四番目の「注意(緑)」が同じように見えるという。

 暑さ指数が「厳重警戒」を超えると熱中症患者が著しく増えることが分かっており、混同で重大な判断ミスを招く恐れがある。配色の見直し作業が今年の猛暑シーズン中に完了する見通しは立っておらず、環境省大気生活環境室は「改善されるまでは色表示だけでなく数値なども参考に判断してほしい」としている。

 暑さ指数は熱中症予防のための国際指標で、気温と湿度、日差しの強さなどから算出する。環境省は二〇〇六年度から全国約八百四十地点の危険度をホームページで公開しており、昨年度は千二百五十万件のアクセスがあった。

 日本標識工業会などによると色覚障害者は世界では三億人いるとされる。今回、環境省が二〇二〇年東京五輪・パラリンピックに向け、表示の見やすさを確認したところ問題点が見つかった。多様な色の見え方に配慮する「色覚バリアフリー」の取り組みは行政機関や民間企業などで広がっており、経済産業省は四月、禁止や安全などを示す標識に使われる日本工業規格(JIS)の色味を改正した。

<色覚バリアフリー> 赤と緑が同じような色に見えるなど色覚に障害のある人に配慮し、生活上の不便をなくす取り組み。日本人男性の5%、女性の0・2%が、先天的に特定の色同士を区別しにくいとされるが、外見上の違いはないため周囲が気付かず、生活上の困難が放置されやすい。表示方法を工夫する「カラーユニバーサルデザイン」の動きは印刷、広告業界などを中心に広がっており、学校教科書や鉄道路線図、各地のハザードマップなどにも採用されている。

 

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