スーパーの安い納豆の知られざる「健康リスク」
「gettyimages」より
ところが、食に関心が高い人々の間では、「納豆の健康効果を丸ごと受け入れるのは危険」という意見もある。これまで常識と思っていた「納豆=健康に良い」は嘘なのか? 納豆の真実について、管理栄養士の圓尾和紀氏に話を聞いた。
流通する納豆の多くは“ニセモノ”だった?
圓尾氏は、まず納豆の健康効果について次のように語る。
「みなさんが知っている通り、納豆の栄養素はとても高いです。手軽にたんぱく質を取ることができ、肌の新陳代謝を促進させて髪のツヤなどを保ってくれる大豆イソフラボンも含まれています。また、発酵食品なので腸内環境を良くしてくれる効果もあります」(圓尾氏)
納豆が栄養豊富でヘルシーな食べ物であることに異論はない。ただし、それはあくまで“本物の納豆”の場合の話だ。圓尾氏によると、「日本人のほとんどは、昔ながらの製法でつくられた納豆を食べていないと思います」という。
「スーパーに並んでいるような大量に流通する納豆は天然のものではなく、商品のために開発された納豆菌を使っています。また、生産効率を上げるためには農薬が欠かせないのです」(同)
もっとも、その程度の“ニセモノ納豆”なら、一生食べ続けたとしても人体に影響はない。しかしながら、オーガニック食品にこだわるような食に対する意識の高い人々は、そうした納豆を敬遠するという。
本来、納豆は自然のワラと大豆によってつくられる。ワラに付着する天然の納豆菌が大豆で繁殖して発酵することで、食卓に並ぶ納豆ができるのだ。ところが、スーパーマーケットに並ぶ多くの納豆は、こうした手間のかかるつくり方はされていないという。
しかも、納豆は国民食といわれる一方で、原料となる大豆の国内自給率はわずか7%にすぎない。そのため、90%以上を輸入に頼っているのが現状だ。そこでクローズアップされるのが「遺伝子組換え」の問題である。
「アメリカの大豆の9割以上は遺伝子組換えです。実は、日本はこの遺伝子組換えの大豆を大量に輸入しています。それらは、たとえば大豆油などの遺伝子組換えの表示義務がない食品に化けていたりします。遺伝子組換えと非遺伝子組み換えは分けて管理されているといいますが、その管理は雑ともいわれ、混ざることもおおいに考えられます」(同)
法律上、日本では遺伝子組換え大豆の含有率が5%以下なら成分表に表示する義務はない。実際は、知らないうちに摂取している可能性もあるのだ。
納豆のタレや辛子に不安を抱く消費者も
納豆そのものだけではなく、商品パッケージに含まれる添え物にも問題があるという。納豆とセットになっているタレや辛子に含まれる添加物だ。
「人体に影響がないとされてはいますが、農薬は使われていますし、タレや辛子には大半のものに合成着色料や添加物が入っています。もっといえば、辛子の原材料であるウコンがどこから輸入されているかは、生産会社のホームページを見ても記載されていない場合があるのです。そのため、流通経路がわからないことに不安を抱く人もいます」(同)