俺は超越者(オーバーロード)だった件 作:コヘヘ
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なお、今回は最初から不可能だった模様。
俺は引き継ぎのため、
ここ数日のカルネ村にて上位二重の影(グレータードッペルゲンガー)の記憶を読んだ。
入れ替わった俺は苦痛だった。
正直、パンドラズ・アクターとナーベラルにぶちまけたに匹敵するくらい嫌だった。
さっさと終わらせて眠りたかった。
なので、ンフィーレアに『漆黒の剣』には秘密にして欲しいとお願いした。
もう、うんざりしていたから。
「わかっています…それでも願いを聞いてくれたことありがとうございます!」
ンフィーレアは意気込んでいた。
「そうか…わかった。では、君の祖母をすぐ説得しよう」
俺はもうこの変態と化したンフィーレアと関わり合いたくなかった。
なので、最短で仕事をすることにした。
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エ・ランテルに到着し、
バレアレ薬品店の裏手に馬車を入れた俺達と『漆黒の剣』、ンフィーレア。
魔法のランタンを手に扉を開き、部屋の中に入ってすぐ。
「ずぅーっと待ってたんだから…」
痴女が現れた。
「…第七位階魔法。普通の人じゃ行使は無理だけど、
『叡者の額冠(えいじゃのがっかん)』を使えばそれも可能!
さらに召喚されたアンデッドを全部支配…ブベッ!」
しばらく喋っていた痴女は蹴り飛ばされた。
ドアを吹き飛ばし壁にぶつかり失神した。
「ナーベ!後ろの男を全力で捕らえよ!」
後ろの男の気配を感じ取った俺はナーベラルに指示する。
「はっ!」
即答し、後ろに現れようとする男をぶん殴る。
「遊びす…ギギェ!」
不快な仲間達の頭目はぶん殴られて文字通り中を舞った。
その後、薬品庫を吹き飛ばす。
呆然とする『漆黒の剣』。だが、
「『漆黒の剣』の皆さん!
こいつらの話だと、アンデッドの大量召喚と支配を企んで何かやらかすつもりです!
全力で冒険者組合に行って貰えますか!?
私達はこの二人を縛り上げて、店の中を調べます!」
そう叫ぶ。急がないと街が危ないという。
「は、はい!すぐに!」
『漆黒の剣』のペテルはそういうと皆を引き連れてさる。
二人を縛り上げて内部を調べる。
気配を探す。すると、
「ンフィーレア!!」
ンフィーレアの祖母リイジー・バレアレが全力で駆けつけてきた。
おそらく近くにいて、先ほどの戦闘音が凄まじかったので駆けつけてきたのだろう。
ンフィーレアの無事を確認し、
それから縛り上げられている二人を見てリイジーはホッとする。
「申し訳ありません。このように突然だったので一部店を壊してしまいました。
今、全て確認しましたが、店は安全です」
そう謝り、他の仲間を捕縛するために向かおうとする。
ところが、
「のぉ。おぬし、あのとんでもない高位の神の血のポーションの持ち主では?」
逃がさない。
絶対逃がさない詳細を聞くまで行かせはしない。
端的に言って、それは狂人の目だった。
俺は思わず、その場にとどまってしまう。
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次の日、俺が渡したポーションを使い瀕死の状況から助かったというブリタ嬢の話を聞き、俺は激怒した。
これのせいで、今回、二人も『変態』と出会ってしまったと。
何とか誤魔化した。
あの傭兵団絶対許せないと。
八つ当たりでナーベラルと共に傭兵団に突撃した。
結果、傭兵団のリーダーとブレイン・アングラウスを捕縛。
囚われていた女性たちを解放し、エ・ランテルに連れ帰った。
遺体の一部を埋葬し、その他はナザリックのエルダーリッチの材料にした。
テンション高すぎて、殺人したが完全に我を忘れていた。
...人化が完璧でないと、改めてわかった。
そして…
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数日後、エ・ランテルを出発する馬車があった。
それはエ・ランテル最高の薬師だった。
「では、行くぞ!ンフィーレア!!」
全力で張り切る老人とは思えない老婆リイジー。
「モモンさん!我儘を聞いて下さり…ありがとうございます」
何だか複雑そうな顔するンフィーレア。
俺達、『漆黒』は、二人をカルネ村まで護衛した。
疲れた。もう休みたい。
その後、アインズ・ウール・ゴウンとしてエンリに褒美を渡しに来た。
『時飛ばしの腕輪』というマジックアイテムを与えた。
どんな形であれ恩は恩。
エンリは友人を誘導してナザリックに多大な利益を齎してくれた。
そう思って、顔を真っ赤にして断るエンリに半ば強引に渡した。
村長就任の祝いも兼ねていると。
どうにか納得してもらえた。受け取って貰えて俺はホッとした。
だが、エ・ランテルで次の依頼があるので帰らなければならなかった。
俺とナーベラルはカルネ村をすぐ出立した。
…今思えば、ここが最後の分岐点だった。
『時飛ばしの腕輪』
課金ハズレガチャのファッションアイテム。
モモンガ様が検証したら疲れが回復するらしいので、
これから村長として勉強するエンリのために渡した。
だが、このアイテムの設定は、
自分に降りかかった『時間』を吹き飛ばすこと。
つまり、寿命がなくなる疑似的な不死が得られるアイテムになった。
数年経ち年を取らないエンリに疑問を感じたNPCの報告により発覚。
モモンガ様はこの娘のことを...と一部発狂した。
そんな効果なくても手遅れだったが。