関西電力大飯原発3、4号機=2016年3月(福井新聞社ヘリから撮影)

 福井県などの住民189人が関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを求めた訴訟で、住民側は7月17日、最高裁へ上告しない方針を明らかにした。運転を認めた7月4日の名古屋高裁金沢支部判決が確定する。

 東京電力福島第1原発の事故後、原発の運転差し止め訴訟で高裁判決が確定するのは全国で初めて。

 原告団代表の中嶌哲演さん(76)=福井県小浜市=らは17日、福井市内で記者会見し、上告を見送った理由について「上告すれば、福島原発事故以後、初の最高裁判断が示され、全国の裁判闘争に大きな影響を与える可能性がある」と指摘。「最高裁が好ましくない判断を示した場合、各地で提訴されている裁判、仮処分の闘いが一斉に大きな制約を受ける。極めて大きな戦術上のリスクを負うことになる」と説明した。

 住民側は2012年11月、福井地裁に提訴。樋口英明裁判長(当時)は14年5月、運転を認めない判決を出した。控訴審判決では一転、高裁金沢支部の内藤正之裁判長が「2基の危険性は社会通念上無視しうる程度にまで管理され、周辺住民の人格権を侵害する具体的危険性はない」と結論付け、運転を認めた。

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