第1回 クマゼミとの衝撃的な出会い
──どのようなきっかけで昆虫を好きになったのですか。小さい頃、虫に心奪われた原体験を聞かせてください。
物心ついた頃から昆虫が好きで、小中学生のときにはいっぱしの昆虫少年になっていましたね。
東京生まれだったので、夏休みに伊豆半島などに旅行に連れていってもらうと、東京ではちょっとお目にかかれない、実にいろいろな種類の昆虫と出会うわけです。非日常の虫との出会いに、もう、わくわくしっぱなしで、もし、そういう虫たちがあたりまえのように身近にいる地方で生まれ育っていたら、さほど昆虫に引き寄せられていなかったかもしれないですね。
──東京では出会えなかった虫というとどんな種類でしょう。男の子がみんな夢中になるクワガタムシとかですか。
いや、クマゼミでした。当時、南方系のクマゼミは東京にはいませんでした。もっと西の地方へ行かないと生息していなかったんです。そのクマゼミの「ショワショワショワ……」っていう、初めて聞く鳴き声が強烈な印象で、「あれを採りたい!」と。