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未来にも残すべシ 個人的には超好ミ 初心者でも読めル

【生涯学習としてのSF入門】その1 これから読む「SFの名作」

「SFを読みはじめた中学生のころの自分自身」に推薦するつもりで、とっつきやすく面白い、何度でも再読したくなる名作SFをピックアップしてみました。初心者向けと限定することなく、年齢や読書経験を問わず楽しめる傑作ばかりだと思っています。

※これは2014年11月18日、三鷹市西社会教育会館・西むらさき学苑にておこなった講演「SF入門/思考を刺激し視野を大きく広げる小説」で配布した資料です。

 筆者はふだん「初心者向けのSF」みたいな話はしません。ひとことでいって初心者といってもさまざまなひとがいます。読書の楽しみを覚えはじめ、図書室で面白そうな本を探している小学生。ノンフィクションはたっぶり読んで自然科学にも人文科学にも親しんでいるけど、小説はあまり読んだことのないひと。ミステリから現代文学と幅広く読んでいて、つぎは面白そうなSFはないかとさがしている読書家。それをひとくくりにして「初心者」とみなすのは間違っていると思うからです。
 そのいっぽうで、「自分に合ったSFは自分で見つけるしかない! まず百冊読め!」みたいな姿勢も妙にエラそうでイヤな感じです。「とにかく校庭を10週走ってこい!」って運動部のシゴキみたいですよね。読書は楽しいものです。
 そこで「(子ども向き版ではない)SFを読みはじめた中学生のころの自分」を想定して、とっつきやすく面白い、しかも奥が深く、ずっと大人になっても読み返したくなる作品をピックアップしてみました。SFを大量に読んできたいまでも、なお傑作と太鼓判を押せる作品ばかりです。
 繰り返しになりますが、中学生といってもひとりひとりの好みや環境・体験が違いますから、これが「正解」ではありません。参考にしていただければ幸いです。

  • 日本SF作家クラブ編『日本SF短篇50』全5巻(ハヤカワ文庫JA)
  • 上田早夕里『魚舟・獣舟』(光文社文庫)
  • 小川一水『老ヴォールの惑星』(ハヤカワ文庫JA)
  • 恩田陸『光の帝国 常野物語』(集英社文庫)
  • 神林長平『七胴落とし』(ハヤカワ文庫JA)
  • 小松左京『復活の日』(ハルキ文庫)
  • 篠田節子『篠田節子SF短篇ベスト ルーティーン』(ハヤカワ文庫JA)
  • 椎名誠『アド・バード』(集英社文庫)
  • 半村良『産霊山秘録』(集英社文庫)
  • 星新一『ボッコちゃん』(新潮文庫)
  • A・E・ヴァン・ヴォクト『宇宙船ビーグル号』(ハヤカワ文庫SF)
  • カート・ヴォネガット・ジュニア『スローターハウス5』(ハヤカワ文庫SF)
  • アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』(光文社古典新訳文庫)
  • フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(ハヤカワ文庫SF)
  • エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』(河出文庫)
  • レイ・ブラッドベリ『華氏451度』(ハヤカワ文庫SF)
  • R・A・ラファティ『九百人のお祖母さん』(ハヤカワ文庫SF)
  • スタニスワフ・レム『泰平ヨンの航星日記』(ハヤカワ文庫SF)

老ヴォールの惑星

老ヴォールの惑星 著者: 小川 一水

出版社:早川書房

発行年:2005

七胴落とし

七胴落とし 著者: 神林 長平

出版社:早川書房

発行年:1983

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「篠田節子SF短篇ベスト」刊行に際して by.牧眞司

産霊山(むすびのやま)秘録

産霊山(むすびのやま)秘録 著者: 半村 良

出版社:集英社

発行年:2005

 ○『宇宙船ビーグル号』『宇宙船ビーグル号の冒険』として創元SF文庫版もあります

 ○『幼年期の終わり』『幼年期の終り』としてハヤカワ文庫SF版、『地球幼年期の終わり』創元SF文庫版もあります



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