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住民を巻き込んだ避難計画
国は18年6月に防災基本計画を修正し、避難勧告などを出す際の具体的な基準を定めるよう自治体に求めている。さらに、17年6月に改正した水防法に基づいて、浸水被害の恐れがある全国730市町村で、20年度までに「水害タイムライン」作成する。
水害タイムラインとは、台風や豪雨で避難の必要性が想定される際に国や自治体、住民が取るべき行動を時系列で記載したもの。災害時の行動を事前にシミュレーションすることで、避難指示の発令や情報共有を円滑にする。
他方、避難指示を出しても、対象住民が全て避難するわけではない。福井県では7月5日の午後8時に浅水川などの水位上昇に伴い、県内の鯖江市と越前町の一部に避難指示を出した。ところが、避難対象の9300人に対して実際に避難したのは200人程度にとどまった。
結果的に河川の氾濫や浸水など大きな被害は生じなかったが、避難指示が出たことを知らなかったり、「自分は大丈夫」と思ったりした住民が多かったと考えられる。住民を実際にどうやって避難させるかは、行政に突き付けられた課題だ。