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ITりてらしぃのすゝめ:「SNS見る専」卒業のすすめ わたしが“発信者”になる理由 (1/2)

» 2018年07月17日 06時00分 公開
[宮田健ITmedia]

 2018年7月3日、総務省が「情報通信に関する現状報告」(2018年版情報通信白書)を発表しました。この中にはICTの利活用における、日本国内の現状や国際社会における位置付けなどを、データを基に解説するという資料です。かなり広い範囲で分析されており、なかなか興味深い資料でした。

日本人は情報を吸収するだけ?

 その中でもちょっと気になるのが、私たちも活用しているソーシャルメディア(SNS)による、つながりの状況について。第1部第4章「ICTによるインクルージョン促進」の第2節に「ICTによる『つながり』の現状」が紹介されています。この中に、ちょっと気になるグラフがありました。

ROM ソーシャルメディアによる情報発信と閲覧の国際比較(総務省「情報通信に関する現状報告」(2018年版情報通信白書)より引用)

 この図は、私たちがよく使っているSNSそれぞれにおいて、情報発信と閲覧の利用状況を集計したものを国際比較し、他国と比べどのように使われているかを一覧したグラフです。これを見ると、日本では若年層に浸透していないといわれるFacebookで積極的に発信している人は、他国に比べて非常に少ないことが分かります。それだけではありません。日本で圧倒的な人気を誇るTwitterでさえ、積極的に発信している人の割合は米国の半分程度。

 では日本人は何を使っているかというと、チャットツールであるLINEのようです(とはいえ、アジア圏以外ではLINEのシェアは低く、他国との比較はしにくいと思いますが)。

 総じて、日本人は「見るだけ」の人が多く、自ら発信することをあまりしないという傾向が見えます。なんとなく感覚としては理解していたものの、数値として出てきたのは興味深いですね。

発信下手は「受信下手」につながる

 あくまで私の経験論でしかありませんが、情報は発信している人の元に集まってくるものだと思っています。そして発信するということは、受け手としてのスキルや、情報との付き合い方を学ぶとてもいい機会になると、私は考えています。

 発信するという行為を繰り返すことで、情報の精度について気を付ける癖がつきます。おそらく、情報を発信することで、情報の受け取り方に関するリテラシーが付くのではないか、というのが私の推論です。

 個人的には、SNSだけでなくブログなど自らの発信プラットフォームを持ち、積極的に発信した方が面白いと思っています。ただし、これは「無理にでも発信せよ」という意味ではありません。無から有は生まれません。

 自信の無い分野に関して無理に発信しようとすると、「無根拠なデマ」しか出てこないでしょう。思い込みを発信し、それを受け取った人も思い込みで拡散してしまう――これでは混乱を生みます。自分の承認欲求を満たすために、誰かを傷つける行為になってしまってはいけません。

 発信者がその分野に専門性を持っていることが望ましいです。誰だってそういう得意分野はあるはずで、例えば大学時代に研究していたことや、いま仕事にしていること、何より「趣味」や「好きなこと」ならば、インターネットに記録し続けることで、それが将来大きな価値を生むはず。

 見られたい、他人に褒められたい、リツイートされたい、ましてやお金をもうけたいというような理由ではなく「自分のため、記録のため」と思いながら、つつましやかに情報発信することから始めましょう。いつかきっと、それが多くの人から褒められる結果になるはずです。

 次に、「見る専」が多い状況で考えられるリスクについてです。

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