俺は超越者(オーバーロード)だった件 作:コヘヘ
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それは歴史にも残らない。だがそれは決して、決して譲れない誇りを守る戦いだった。
これは夢だ。ぼんやりと懐かしいそれでいて悲しい最後の思い出。
「行くのかい?×××」
「この作戦。成功するにしても失敗するにしてもおそらく君は死ぬ。もう××も」
「まだ勝ち目はあるかもしれない。できればかつて君たちの描いた夢を見たい」
「何を笑っているんだい?」
「そうか…だけど、××達は勝手に滅びるかもしれないよ?もしくは僕が」
「君たちは彼らを守っていたのではなかったのかい?」
「………そうかい」
世界最強と謳われる竜(ドラゴン)は夢から目を覚ます。
数百年ぶりにあの夢見た。
長命に故の死には他種族より鈍感な自覚はある。
それでもまだ見るというのは、自覚はなかったが意外と未練がましいのかもしれない。
自嘲して、もうそろそろあの時期だと思い返す。
今度はどういう旅人なのか。…どういう旅人でも最低限の対策はしておくべきだろう。
起きていたために竜の鋭敏な感覚があの白一色に髪が染まった老婆を一瞬で捕らえる。
こちらを驚かせるつもりだろうが、今度はこちらから驚かせてやろう。
いい加減、ちょっと怒ろう。私の探し物を任せるのも悪くない。
世界最強の竜(ドラゴン)はあの悪戯野郎のように。数百年ぶりにニヤリと笑った。
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何だか三人で話合ったら色々方針が固まったらしい。
会議の内容が気になってそれとなく聞いてみるが、
『ご安心くださいモモンガ様』と静かに笑う。
怖くて聞けないわ。支配者として認めて貰えているみたいだけど。
デミウルゴスが他国の分裂工作とかしてないか気になって確認してしまった。
してないって俺の目の前で断言していたので問題ないはず。少し可哀想なことをした。
ナザリックの財を用いて疑似的な人間食とか用意している。
だが、悪の設定的に限界もあるNPCも多いだろう。
デミウルゴスだって内心ストレス抱えていると思う。
悪人を確保する必要はある。
他プレイヤーから殺しても文句言われない奴らを。
そう言った意味でも、陽光聖典の情報は本当に役に立った。
八本指。『原作』にも出てきた王国を蝕む犯罪組織。
必要悪以上に人間に害をなす連中。
こいつらは消えても問題ない。急には流石に不味いが。
王国の八本指は帝国も法国も嫌っている。これをこっそり裏から支配する方向で行こう。
王国の貴族の弱みを握れば、ナザリックの隠蔽にも使えると思う。
八本指は帝国まで手が伸びている。そこで害を撒き散らす。
しかし、法国にはほとんどないというのは流石に人間を守る国を自称するだけはある。
人体実験も八本指なら問題ないだろう。
セバス達に商人のアンダーカバーを作らせよう。
幸い掘るマシーン1号・2号(従属NPC)が毎日鉱山掘っているお陰で資金源は大量に確保できる。
そこから王国の新興の商人になり、八本指を友釣りしよう。
…なるべく悪をなすのは控えたいがやむを得ない。
後、竜王国に攻め込んでいるビーストマンなら多少間引いても問題ないだろう。
法国が定期的にやっているみたいだし。
シャルティアや従属NPC達に刈らせよう。ストレスの一部発散になるはず。
ちゃんと目立たない範囲で、きちんと暴走をしないように指示は必要だが。
魔法やスキルの実験にもなるから生体の確保を命じないと…
戦士モモン計画がテストケースとして成功したら、NPCのアンダーカバーの冒険者として竜王国に送り込むのも悪くない。
戦士モモン計画は王国か竜王国かで悩んだが、目の前の脅威的に王国を調べるべきだ。
ビーストマンを刈れば早く成り上がれそうな気もするが、『原作』と違い地道にやっていこうと思う。
・王国裏社会征服計画
・商人としてのアンダーカバー
・戦士モモンのアンダーカバー
・竜王国でのハンティング及びビーストマンで各種実験
これらを素案としてアルベドとデミウルゴスに相談しよう。
…パンドラズ・アクターもだな。悪に偏り過ぎは不味い。
本当は従属ギルドNPCに任せたかった。設定的に優秀な者達やカルマ善もいる。
ただどうも外様とまではいかないけど、本人達は無意識に中枢から離れる傾向がある。
これは多分従属NPCとしての本能なんだろうと思う。
アルベド達が参加しても気にしないのは確認済みだ。
参考意見を聞くために呼んでもナザリックNPCと変わりなく対応している。
ひょっとしたら無意識に本人達に配慮しているのかも知れない。
無理強いするわけにもいかない。潜入や研究、防衛を任せて少しずつ慣れさせていこう。
研究といえば陽光聖典の死体で作ったエルダーリッチが優秀なので、『賢者の呪帯』を与えて共同で当たらせている。
俺の作ったアンデッドならワールドアイテムの効果を、『賢者の呪帯』を与えても文句ないらしい。
なので、法国に襲われた村々から死体を回収しエルダーリッチ等を量産した。
カルネ村等の周辺地理調査の報告書で廃村も調べてあったので、死体は割と簡単に手に入った。
異世界転移前に想定していたジャンク部屋の研究所等にも一部派遣している。
エルダーリッチ達は俺が作ったと思えない程優秀な人材だった。
翻訳アイテムあるとはいえ、一晩で簡単な王国語辞典やら帝国語辞典等。
諸外国語の辞典を作成したりしていた。
これでひと段落できるだろうと思いNPC達、シモベ達にしっかりした連休等の休暇を与えようとした。
ところが俺が言うまで休暇どころか休憩も皆ほぼ取ってなかったことが判明した。
休憩はするように何度も言っていたので取ってはいた。
だが、俺からすると最低限以下だった。
俺が転移してからずっと毎日休憩しないでぶっ通しで働いていたせいだった。
主が働いているのに休めませんだって。ごめん。
さらに転移前に財を使いまくってリング・オブ・サステナンス等様々な各種アイテムを全員に与えたのも拍車をかけた。
そういうつもりで与えたんじゃないと叫びたかったが、そういう意味だこれ。
ゲーム内とはいえ疲れたりしないように色々与えた。
ゲームだとNPC達の種族特性から必要ないアイテムが多かった。
設定だけの雰囲気アイテムなのも沢山あった。
中古で買った課金ガチャハズレアイテムとか特に。
連日のダンジョン突撃で稼ぎまくっていた俺はプレゼント感覚でガンガン与えた。
NPC用アイテムボックスを課金も含めて超拡張したりしていた。
これらの行為はちゃんとギルドメンバーや従属ギルドにも確認取っていた。
異世界転移であらゆるアイテムの雰囲気設定が現実に反映された。
転移後、全員が超残業可能になっていた。
誰もいない中ナザリックを守ってくれている。
申し訳ないと思って、良かれと渡したんだよ。
転移前当時は。
結果、ブラック会社も真っ青。凄まじい罪悪感で精神鎮静化働きまくった。
休暇制度は中々思うようにいかず、支配者である俺が労組側で部下のNPC達が経営陣で労働交渉している。
ヘロヘロさんみたくオーバーワークさせたくないんだけど。本当に。俺のせいだけど。
『賢者の呪帯』持ちのエルダーリッチが増えたせいでナーベラルの手が空いた。
ナーベラルは戦闘メイドとして有能である。
『人間』関係以外は報連相もナザリック内の対人関係も...まぁ良好だ。
だが、俺の作ったエルダーリッチやカジータに任せた方が断然効率良い。
俺の作った量産エルダーリッチなら気になる魔法を適当に取得させても惜しくないし。
これにより研究スピードが飛躍的に上がった。
ただ、これのせいでナーベラル結構落ち込んでいるんだよなぁ…。
自分の手柄横取りされたようなもの。でも、重要度理解しているから文句言えないし。
これは完全に俺のせいだ。もう少し配慮すべきだった。
戦士モモン計画に連れて行くことに決めた。本人の意思確認も必要だが。
けど、常に神経使う護衛みたいに感じて逆にストレスになったら可哀想だな。
...相談するとなるとパンドラズ・アクターになるな。
あいつの種族設定的に大よその機微は察せるだろうし。
だったら何であんなにウザい…って俺の設定のせいだった。本当にごめん。
後、人化も確認しなくてはいけない。今から行こう。
パンドラズ・アクターには人化でも全くブレない忠誠を誓われた。
これには感謝している。が、ドイツ語はやめろ。あと、敬礼もだ。
他のNPCの前でも人化は全く問題ないと保証されたけど、何故かナザリック内では控えるように言われた。
まぁ、働かなきゃいけないし。空いた時間で勉強や支配者研究もある。
眠る時間は惜しいし言われるまでもなく、人化基本しないけど。
戦士モモン計画を教えたら、それならずっと人化していて全く問題ないそうだ。
寧ろ積極的に勧められた。
「これこそ我が本領。アルベドのお嬢様方すらも欺いて見せましょう!」
とかオーバーリアクションがウザい。
アルベドのことお嬢様って呼んだらキレないか?
欺くって何だ嫌いなのかアルベドのこと?
少し他のNPC達と仲良くできているか不安だ。
何だかんだで俺が作ったNPCだけど、ウザいしハブかれてないだろうか?
ただ、戦士モモン計画について色々喋ってたら、
「ええ。オーバーロードで有らせられるモモンガ様が無知なのは仕方がありません!」
とか言われたんだが、無礼過ぎないかコイツ。
パーソナルスペースが狭い。もう少しだけ離れてくれ頼むから。