第1戦で松坂から左肘に死球を受けた日本ハムの中田は試合前の打撃練習を回避した。「まだ痛いね。力が入らない感じ。バットは握っていない」。残念そうな表情を浮かべ、試合前の時点で欠場が決まった。
それでも松坂との対戦は、中田にとっては夢の時間だった。「松坂さんに当ててもらって光栄です。自分の避け方も下手だった」と恐縮モード。そして「とにかくオーラがすごかった」とうれしそうに語った。
プロ11年目。打席に入ってワクワクすることも減ってきた。だからこそ、平成の怪物を相手に打席に入れたことは何よりの財産になった。
ただ熊本のファンに勇姿を見せられなかったことは心残りだ。昨年11月には熊本地震の被災地でもある益城町で開かれた野球教室に参加した。「まだ仮設住宅で苦しんでいる方もいるので、野球を通じて勇気付けられれば良いなと思います」。オールスター選出が決まった際にそう話していただけに「出たかったけどね。仕方ない」と無念さをにじませた。「できることをしようと思う」。プレーで見せられない分、子どもたちの呼び掛けに笑顔で手を振って応えていた。