『怪談百物語 第7回かぐや姫』翁に近づくのは復讐のため?

かぐや姫の画像

怪談百物語の第7回では、竹取物語の主人公として有名な『かぐや姫』が、ある敵討ちのために翁に近づこうとします。その復讐には一族の復活が大きく関係しているので、詳しく紹介しましょう。

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『怪談百物語 第7回かぐや姫』のキャスト

土蜘蛛という一族が大きく関係している『怪談百物語 第7回かぐや姫』に登場する人物や、役者さんたちは以下の通りです。

  • 蘆屋道三&昔の陰陽師/かぐや姫と関係する陰陽師(演:竹中直人)
  • 小夜/父のだらしなさに頭を悩ます娘(演:大村彩子)
  • 甚太/陰陽師に従う男(演:緋田康人)
  • かぐや姫/ある企みを持つ姫(演:りょう)
  • 帝/かぐや姫の魅力に引き込まれる帝(演:谷原章介)
  • 車持の皇子/蓬莱の玉の枝を持参する皇子(演:木下ほうか)
  • 大伴の大納言/龍の首の珠を持参する大納言(演:皆川猿時)
  • 阿部の右大臣/火鼠の裘を持参する右大臣(演:石井康太)
  • 桐影/かぐや姫に話しかけられる怪しき影(演:伊藤明賢)
  • 翁/かぐや姫を竹林で見つける老夫(演:谷啓)
  • 嫗/翁の妻(演:田根楽子)

『怪談百物語 第7回かぐや姫』のストーリー

道三たちが、夜道を歩いていたら、そこに美しい女性がたたずんでいました。その美しさに道三や甚太が見惚れて、我先に話しかけようとしたら、その浅ましさに小夜は呆れてしまいます。所が、そんな道三たちに、美しい女性は、突然かぐや姫の話を始めていくのです。

翁に近づく怪しき姫(起)

そのかぐや姫の物語では、ある山村に住む翁と嫗には、不幸にも子供がいなかったのです。それでもつつましい生活を送っていて、この日も翁は嫗に見送られて竹林へ向かっていきます。翁は竹林へ着いたら、この日も竹の道具を作るために竹を取ろうとしたら、ある竹が黄金色に輝き始めました。

その黄金色から現れたのは、美しき女性『かぐや姫』だったのです。かぐや姫には、行くあてがなかったので、翁や嫗たちと一緒に住む事になりました。所が、その美しい娘がいる事を知った車持の皇子が翁に「娘がいるのであろう?会わせてくれぬか」と持ちかけてきたのです。

所が、そのようなよこしまな思いを抱く殿方は一人ではなく、大伴の大納言阿部の右大臣も翁の家の近くまで来ていたのです。それに気づいた車持の皇子が話しかけてきて、三人は「考える事は、皆同じですな」と笑いあってしまいます。そこへ蘆名の陰陽師がやってきて「皆、多くの奥方がいるではないですか」と咎(とが)めてきました。

かぐや姫の美しさに惑わされる殿方たち(承)

陰陽師にとがめられても、高貴な殿方たちは全く意に介しません。そこへ、かぐや姫が外を歩いてきたので、遠くから見ていた殿方たちは「あの透き通る柔肌たまらんのぅ、あの桜の唇、いつか散らせてみせようぞ」とささやきあいます。所が、陰陽師とかぐや姫が目を合わせたら、陰陽師は何か違和感を抱くのです。

そして夜になったら、かぐや姫は外に向かって「桐影、今度こそあの男を亡き者にしてくれる、そうすれば我ら一族は蘇る」と不敵な笑みで話しかけていました。そこには、影のような者が潜んでいて、天は怪しい月が光っていました。

翌日になって、高貴な殿方たちは、翁に向かって「かぐや姫に会わせてくれ」と頼み込むようになりました。翁は困り果てて、陰陽師に相談に行きます。そうしたら「それぞれの殿方にな、決して手に入らない物を持ってこさせる。そして手に入れた者にだけ姫をやるのだ、ふははは」と悪知恵をふき込みます。

かぐや姫の怪しき魅力(転)

翁は、陰陽師の言う通りに、かぐや姫へ会いにきた殿方たちにそれぞれ手に入らない物を次々に持ってくるように頼み込みます。しかし、そのような物は手に入る訳もないので、それぞれ偽物を持って来たのです。

かぐや姫は、火鼠の裘を持ってきた安倍の右大臣に向かって「本物なら、火にかけても燃えないはず」と迫ってしまい、哀れにも250もの砂金をかけた偽物が燃えてしまいました。さらに大伴の大納言は大怪我をしてしまい命を失ってしまいます。さらに車持の皇子も偽物を持参してきます。

所が、職人たちが「玉の枝を作りました、が、まだお手当をもらっていません」とお願いにきたので、かぐや姫は「ふふふふ」と笑い出して、車持の皇子は「何たる屈辱」と立ち去っていきました。所が、かぐや姫の魅力に、遂に帝まで虜になってしまい、何とか、かぐや姫と一緒になりたいと願うようになりました。

かぐや姫の復讐(結)

夜になったら、かぐや姫は再び桐影に「あの男、帝は必ずここへ来るはず」と話しかけていました。嫗をそれを盗み聞きしていたら、かぐや姫は何と嫗を手にかけてしまったのです。それに気づいた翁は「まさか、お前が」と言ったら「私を忘れたか?お前がわずかな金で我ら一族を知らせて、襲わせたであろう」と睨みつけてきたのです。

何と、かぐや姫とは土蜘蛛の姫であり、朝廷に従わない一族でした。そこで当時の帝は「土蜘蛛は鬼の輩である」と言って討伐軍を派遣したのです。哀れにも土蜘蛛の一族はことごとく滅ぼされてしまいましたが、この一族は黄泉の国から蘇ってきて、15夜の満月の日に帝を倒したら復活できるのです。

現在は違う人物が帝になっていましたが、かぐや姫が昔の朝廷の行いを非難して刀を突き付けたら、民が心安らかに生活できる事を願っていた帝は「そなたの土蜘蛛の民を思う気持ちはよく分かる」と覚悟を決めました。その姿を見たかぐや姫は戸惑ってしまいますが、はたして帝をこのまま亡き者にしてしまうのでしょうか?

『怪談百物語 第7回かぐや姫』の豆知識

竹取物語とは大きく異なる『怪談百物語 第7回かぐや姫』に関連する豆知識を紹介するので、良かったら、ご覧になってみて下さい。

ジブリ映画『かぐや姫の物語』

数多くの名作をアニメとして制作してきた事で知られるジブリは『かぐや姫の物語』という映画も制作しました。このかぐや姫の物語を制作したのが、あの高畑勲監督でした。この方は、火垂るの墓・おもひでぽろぽろ・平成狸合戦ぽんぽこ・ホーホケキョ となりの山田くんなどの作品に関わったほどの人物です。

しかし、惜しい事に高畑勲監督は、多くの方たちに惜しまれながら病気で亡くなってしまいました。そのような偉大な監督が制作した『かぐや姫の物語』は、穏やかに生活したい姫と娘を出世させたい翁の葛藤を美しい絵巻物語のように制作されています。

www.akira-blog.com

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朝廷に従わない土蜘蛛

土蜘蛛とは、この物語に登場する一族かと言われたら、そうではありません。ただし、土蜘蛛とは一族を表すものではなく、朝廷に帰順しなかった土豪たちを表す総称です。そういう意味では、蝦夷(えみし)に近い存在と言えるでしょう。

多くの方たちは蝦夷をアイヌ民族と誤解していますが、蝦夷とは北関東から北海道にかけて住む者たちで、朝廷に従わない者たちの総称でした。そのため、アイヌ民族と混合しやすい存在だったのです。さらにアイヌ民族は大和民族とは違うので、従う従わないとは、全く違う存在と言えるでしょう。

話はそれましたが、土蜘蛛は土豪だったのですが、それがいつしか妖怪のように語られるようになっていったので、怪談ものに使われても仕方のない所と言えます。

『怪談百物語 第7回かぐや姫』の感想

土蜘蛛とかぐや姫を合わせた『怪談百物語 第7回かぐや姫』 の感想を紹介するので、参考にしてみて下さい。

『怪談百物語 第7回かぐや姫』の残念な所

かぐや姫を土蜘蛛の姫として、帝に復讐させるのは面白い設定と思ったのですが、かぐや姫のひたいに浮かび上がる赤き土蜘蛛は少し違和感のある浮かび上がり方でした。その演出をもう少しこだわってもらえれば、もっと見応えのある作品だったのにと残念に思ってしまいましたね。

『怪談百物語 第7回かぐや姫』の見所

かぐや姫を演じる『りょう』さんの気品のある美しさやたたずまいは、かぐや姫の怪しい魅力を存分に見せつけてくれました。さらに、谷原涼介さんの帝としてのたたずまいも立派でしたね。今まで、多くの時代劇に出演した事があるだけに、谷原涼介さんの演技力や整った顔立ちは、日本映画界の宝と言えるでしょう。

そして、竹取物語のあらすじをベースにして、そこへ『土蜘蛛』や『蘆屋の陰陽師』を加えた事が、バラエティー色が豊かな物語になっているのも『怪談百物語 第7回かぐや姫』の大きな見所ですね。