俺は超越者(オーバーロード)だった件   作:コヘヘ
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ようやく始まるようで始まらない原作。初っ端から原作一部崩壊してます。


第十話 誰も知らない絶対者

「逃げろエンリ!逃げるんだ!」

 

父が叫ぶ。

 

平穏な村のいつもの日常。そんな物は容易く壊されたことをエンリは実感する。

 

エンリが帝国騎士に襲われそうになったところ、父は騎士を突き飛ばした。

 

そして今、父は騎士達に完全に羽交い絞めにされていた。

 

もう助からない。

 

父を見捨てエンリと妹ネム、そして母は逃げる『覚悟』を決めた。

 

 

すると、目の前に楕円の『闇』が現れた。

 

 

あまりに突然な異常に呆然とするエンリ達と父、そして帝国騎士達。

 

楕円の闇から現れたのは、奇妙な仮面を被った豪華なローブで着飾ったマジックキャスターと思わしき男。

 

そして、奇妙な全身鎧と角のある女性?騎士が現れた。

 

絶対的なオーラを醸し出すその男はエンリ達と羽交い絞めにされている父、そして帝国騎士達を一瞥する。

 

 

「ふむ。魔法の矢(マジックアロー)」

 

やや、投げやりな声で放たれた魔法の矢。

 

しかし、それは凄まじい勢いで父を羽交い絞めにしていた三人が爆散する。

 

父は大量の返り血を浴びて呆然としているが生きている。

 

 

「ああ、これは失礼。加減を考えてはいたが返り血までは想定が…」

 

男が何かを言い切る前に、

 

 

「あああああ!」

 

生き残りの騎士の一人が発狂し、剣で襲い掛かる。

 

 

危ないと思った。マジックキャスターは大体脆弱な体だと薬師の友人から聞いていた。

 

護衛と思われる女性騎士も突然では対応できないだろう。

 

そうエンリは思っていたが、

 

「ふん!」

 

男は虚空から取り出した金色の剣で帝国騎士の剣を両断する。

 

 

ありえない。兵士や騎士の経験等あるわけないが、それくらいわかる。常識が崩壊していく。

 

 

「やはり弱い。騎士としての経験も技量も即席に近い…村人以上専業騎士以下だな。

 

とっ、すまんアルベド護衛対象の私が対応してしまった」

 

男が護衛の女騎士(アルベドというらしい)に謝罪する。

 

 

「謝罪等勿体ない!寧ろ私の過失です!

 

必要ないと思ってしまったのと…つい見とれてしまいまして」

 

全身鎧で体をくねらせる女騎士。鎧の構造がやや気になる。

 

 

「ええ…。まぁいい。『中位アンデッド作成』デスナイト」

 

マジックキャスターが先ほど爆散した騎士達3人にむかって声をかける。

 

死体はゴボリという音を立てて水飴のような闇が蠢き出す。

 

 

「ひぃぃぃぃ!」

 

先ほどエンリを襲った帝国騎士が悲鳴を上げる。剣を失った騎士はその光景を呆然と眺める。

 

エンリ達もその光景に恐怖を感じ動けない。

 

尽きることのない黒い粘液は爆散したはずの体を再生するように、それをさらに全身で覆う。

 

身長は2.3メートルほどの大盾と大剣を身にまとった言うなれば『死の騎士』が現れた。

 

体は熊よりも厚く圧倒な威圧感を感じる。

 

 

「さて、そこにいる騎士は2人。降伏するなら殺しはしない。

 

 デスナイト達よ。

 

 三人で散開し、村で殺戮を行っている騎士達から村人を守れ。必要なら騎士は殺して構わん」

 

淡々と指示を下す『絶対者』。

 

後のエンリの人生に大きく関わる『魔王』アインズ・ウール・ゴウンの第一印象だった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ユグドラシル最終日前日までに俺は各所に挨拶(こんにちは死ね!も含む)周りをした。

 

 

無人魔王スクロール販売所を撤去し、魔王警報なしにダンジョンに突撃しまくった。

結果これまでで一番稼いだ。

 

 

最終日の二日前、ダンジョン突撃後。とあるワールドの人間種の町に来てみた。

人化の指輪と変声アイテムは使い慣れており、変装状態の知り合いも多くなった。

なので、積極的でないにしろ近くを通ったら挨拶したりした。

 

うっかり一部の指輪をはめていたことに気がついた。

 

その場で外すと目立つため仕方がなくそのままにした。

目ざとい人からは普段と違う装備で少し不思議がられたが、すぐ勝手に納得したようだった。

 

 

しばらく見ていると納得された理由がよくわかった。

 

 

意味もなく大量に激安で希少アイテム等を売る店があった。

最終日近くでパーティグッズを買う人は多い。

しかし、いくら希少アイテムでも使い道のないものをわざわざ買う人はあまりいないようだった。

事実、希少アイテムコーナーは閑散としていた。

  

だが、三回分の願いが叶えられるアイテム『流れ星の指輪(シューティングスター)』の未使用品まで激安で売られているのを俺は発見した。

   

 

買おうとした瞬間、ついこの間見たばかりの某白髪エルフに買われてしまった。

無駄に洗練された熟練のプロを感じさせる素早い動きだった。

買いに来る奴をわざわざ出待ちして狙ってないとできない動きであった。

戦士の経験を積んだ俺は確信できた。

 

 

買ったその場で無駄打ちされる『流れ星の指輪(シューティングスター)』。

有効な選択肢が現れるそれを、わざわざネタ選択肢に全部使ったエルフ。

呆然とする俺と俺の『流れ星の指輪(シューティングスター)』を見比べニヤリと笑い去っていった。

 

 

その他の希少アイテム『リング・オブ・マスタリー・ワンド』等だけでなくパーティアイテムや課金ガチャハズレアイテムまで全て店ごと買い占めた俺は悪くない。

 

 

 

 

そうして前日、友を待った。迷った挙句にかなり遠回しな言い方でナザリックにこないかと誘ってみたが皆忙しいのか連絡がつかなかった。

 

こんなところは「原作」改変して欲しくなかったが、メール等でのやり取りは久しぶりで嬉しかった。同時に友に本当に危ないことをしてしまったとも反省した。

 

ヘロヘロさんはオーバーワークでユグドラシルⅡではオーバーロードになると口走り、タブラさんは海外で古のデュエルを、るし☆ふぁーさんは留置所に叩き込まれたらしい。

 

いや、本当に何やってんだ特に最後。

 

 

 

まぁなので、ゆったりとした最後を迎えようとしていた。

異世界転移は未だに完全には信じられない。

最後にスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを手にアルベドやセバスとプレアデス、さらに和風美少女の情報特化従属NPCを並べている。

 

万が一、辞めたギルドメンバーが来ても出迎えられるように邪魔な鉱山は沈めた。

従属ギルドNPC達は第一階層で待機させた。

一人だけ情報特化NPCを俺の側に置き、入口近辺を監視させている。

 

アルベドにはワールドアイテム『真なる無(ギンヌンガガプ)』を持たせてみた。

勝手に移動させるのは俺の我儘だ。「原作」に合わせてみた。ただそれだけ。

 

そういえばアルベドは設定変更が怖くて最後まで設定を確認していなかった。

 

まぁ、『ビッチ』何だろうなぁと思いつつ設定を覗いてみることにした。

 

…長い。重要なのは最後だと一番下までスクロールする。

 

 

『モモンガを愛している』

えっ。

 

 

衝撃的過ぎて呆然としてしまい、最後の瞬間を間抜けな形で迎えてしまった。

 

 








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