俺は超越者(オーバーロード)だった件 作:コヘヘ
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『神々すら記憶できない遠い昔、世界は一つではありませんでした。
それは多種多様。善も悪も超える何百もの世界がありました。
しかし、世界を滅ぼす存在が現れました。
神々が気づいたときには世界は九つになりました。
九つの世界にあらゆる神々が存在した時代。
神々は滅んだ世界の欠片を探し求めました。
欠片を探して一喜一憂する神々。
そんなある日、この世全てに匹敵する財を手に入れた神の王が現れます。
そんな暴挙を許せないととある神は世界の欠片を使います。
欠片は蛇になり、一つの世界を財ごと飲み込みました。
世界が八つになり神々は慌てます。
しかし、財ごと飲み込まれたはずの神の王は蛇の腹を食い破り世界は九つに戻りました。
世界を救った神の王は言いました。
「この財は我々のものだ」
それは全ての神々すらも超越する宝の山。二千にも三千にもいた神々は怒りました。
神の王は神々を嘲笑します。
「ちっぽけなことで一つの世界を滅ぼしかける。
何故そんな者達に財を渡さなければならないのか」
数千の神々は怒り狂い手にした世界の欠片を手に神の王と住まいを襲います。
神の王は笑い続けました。
「住まいを襲い、財を奪う。それだけのために集めた世界の欠片を使うとは。
そんな者に欠片は不要」
神の王は自らの持つ欠片を使い、数千の神々を滅ぼし世界の欠片を奪いました。
神の王は魔王と恐れられました。恐れた神々は誰も魔王の側に近づきません。
神々は魔王ではなく自らより弱い神を襲うようになりました。
より世界の欠片を求め殺し犯し騙し奪い合う。
それはそれは醜い世界になりました。
それを見た魔王は言いました。
「児戯はやめよ」
魔王は弱き神々を救いまとめ、強き神々と戦います。
戦いは聖なる日に行われ、魔王は勝利を、神々は歌を世界に捧げました。
魔王は神々に財を与えました。
神々の争いはなくなり残った神々はまた世界の欠片を探すようになりました。
そんなある日、世界を滅ぼす存在が再び現れました。
多くの神々は財を捨てて去り、魔王は財をかき集め神々に分け与えます。
与えられた神々は魔王に倣うように他の神々に分け与えます。
そうして魔王によって彩られた世界はとても美しく、世界を滅ぼす存在は躊躇します。
しかし、滅びの力は止まりません。魔王は最後まで財と力を使います。
滅びゆく世界で神々はもう辞めるよう魔王に祈りを捧げます。
魔王は止まりません。全ての神々は諦めました。それでも魔王は諦めません。
九つの世界が滅びる最後の時、魔王は諦めました。
神々は笑い合い、魔王は怒り狂いました。
そして世界は一つになりました。
一つになった世界。後の世で六大神と呼ばれる神々は見知らぬ新しい世界を旅しました。
そこで神々は殺し犯し騙し奪い合う醜い者達を見ました。
神々は怒り狂います。弱き者を助け守りました。
その弱き者こそ人間であり、神は人を選びました』
白い目と黒い目を持つ少女はとてもとても古い本を読み終え虚空を見つめる。
神の財を守り人を守る。それが彼女に与えられた使命。
では、財を与え、弱き者を救ったというこの魔王はどんな気持ちだったのだろうか。
神々が終わりを悟り、笑い合う中で最後に諦めたはずの魔王は何故怒り狂ったのか。
少女にはわかりません。魔王が最後に怒った理由が。
それだけの力がありながら世界を守り切れなかった魔王自身なのか諦めた他の神々になのか世界を滅ぼす存在とやらなのかそれとも全てになのか。
少女は本を誰にも気づかれない様にそっと元の場所に戻す。
その本は六大神が一柱、死の神スルシャーナが放逐されてしまうまで繰り返し話していたことをまとめたという一冊。
何も言わない最後に残った死の神の従者が事実を捻じ曲げられたと怒り狂う唯一の本。
何よりその本を捨てられないと嘆く従者はみたくなかったから。
書き溜めた分を投稿し終えてしまいました。
13巻分までプロットはありましたが、ところどころこんなことするかなと疑問もありこの後の投稿は早いかもしれませんし遅いかもしれません。
後この主人公13巻まで読んでません。読む前に死にました。
アニメ二期も怪しいかもしれない。