インド全土400駅で無料Wi-Fi敷設に向けて順次拡大
Googleはインドの鉄道駅で無料Wi-Fiを設置している。2015年9月にインド出身のGoogleのサンダー・ピチャイCEOがンド全土の400の鉄道駅にWi-Fiを敷設することを宣言。2016年末までには100駅で無料Wi-Fi「Google Station」が敷設され、順次拡大しており、インド人に利用されている。駅では多くの人が集まり、電車を待つ時に無料Wi-Fi経由で、スマホでネットにアクセスしている。
鉄道の次はモール、大学、カフェ
2019年までにはGoogleが設置した無料Wi-Fiで4000万人のインド人がネットに接続できるようになるそうだ。Googleは今後、駅だけでなく、インド全土のモールや大学、カフェなどにも無料Wi-Fiを設置していくことを明らかにした。
GoogleインドのK. Suri氏は、現在、無料Wi-Fi拡張に向けて、通信事業者やISPと協議していると語っている。また、同氏は「Googleの無料Wi-Fi敷設のポリシーは、どうやって『次の10億人』がネットに接続していけるかどうかを考えることだ」と述べている。13億人以上の人口を抱えているインドにはまだネットに接続できない人が10億人以上いる。無料Wi-Fiが敷設されても、スマホを所有できない人も多い。
広告収入でマネタイズ
Googleが無料でWi-Fiを提供しているが、ビジネスモデルは広告だ。ログインするたびに広告が表示される。K. Suri氏は「広告でマネタイズが出来ているので無料で提供できており、持続可能なモデルになっている」と語っている。Facebookはインドで有料でWi-Fiサービス「Express Wi-Fi」を提供している。Facebookの有料Wi-FiについてK. Suri氏は「インド人はWi-Fiを利用するのに、お金を払いたいと思っていない。みんな無料で利用したい」とコメント。
カフェやモール、大学も駅と同様に多くの人がスマホを持って集まる場所だ。特に鉄道駅では、電車が来てしまったら、その場を離れてしまうが、カフェや大学では多くの人がその場に長時間にわたって滞在するので、利用時間も長い。
Googleは無料でWi-Fiを提供することによって、広告の表示だけでなく、スマホでGoogleのサービスを利用してもらうことを目指している。インドでは急速にスマホが普及しつつあるが、プリペイドSIMが主流のため、無料のWi-Fiがないとネットにアクセスしないという人が多い。Googleとしてはネットにアクセスしてもらい、検索やGメール、YouTubeを利用してもらわないことには、さらなる広告収入に繋がらない。Googleの売上の90%以上が広告収入であり、その前提はネットに接続されることであり、ネットに接続できて初めてGoogleを利用してもらえる。Googleにとって、インド全土で駅やカフェやモールでWi-Fiを設置することは重要な設備投資だ。
インド中の情報を集めて次のステップへ
さらに10億人以上のインド人から収集できる莫大な情報やデータはGoogleが注力している人工知能を強化していくのに貴重な情報やデータとなる。特に駅やカフェ、モールでの利用は鉄道での移動情報、店舗情報、買い物の記録など多くの有益な情報収集が期待できる。そこで収集したデータを元に機械学習を通じて強化された人工知能を用いて、さらに適切な広告配信や人工知能を活用した多くのサービスをインドで提供していくことが可能となり、そこで期待できる収入は無料Wi-Fi設置のコストをカバーできる。
▼Googleがインドの鉄道駅で展開する無料Wi-Fiの紹介動画(Google)