米公共ラジオ、サイトと両輪 要約版・音楽配信…多彩に
瀧口 範子(フリーランス・ジャーナリスト)

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2015/7/30 12:00
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 写真やビデオもある。たとえば過疎地の医療問題を取り上げたセクションでは、その状況を伝える写真が掲載され、アーティストのインタビューでは作品の写真が載っていたりする。ラジオ番組は目で見ることができなくても、ウェブサイトではこうして雑誌の記事のように臨場感を持って再度番組を聴いたり、起こされたテキストを読んだりできるわけだ。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

 NPRのウェブサイトの中でもずば抜けてさえているのが、音楽のセクションだ。NPRの音楽番組では、掘り出し物的なバンドやミュージシャンの楽曲を紹介することが多い。そうした音楽がやはりMP3であげられていて、興味のあるものを選んで自分のプレイリストを作ることもできる。まとめて聴けるのはかなりお得だ。

 さらに「タイニー・デスク」というビデオもある。文字通り、音楽番組のプロデューサーの小さなデスク周りで少人数のバンドが生演奏をしてくれるもの。それがウェブサイトではビデオとして見られるのだ。音楽のジャンルもバックグラウンドも異なるそれぞれにユニークなバンドが、オフィスの中で演奏をしているのが面白い。何より、その演奏のレベルの高さに思わず身を乗り出してしまう。本当にこんなにリッチな内容をただで見られていいのかと思うほどだ。

 二度も三度もおいしい――。ラジオは古いメディアだと思われがちだが、NPRは質の高さがあるからこそ、ウェブサイトの作り方次第で視聴者をそんなふうに喜ばせることが可能になっている。

[日経MJ2015年7月27日付]

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