メンヘラゆりです。
文明の高さは、皮膚の清潔度に比例しているという。
安部公房の著書『砂の女』の1フレーズを引用しました。寝たきりになる度に思い出します。見事なまでに生産性の低いうつ状態を捉えた表現ですよね(ちがう)。
私は双極性障害なので、躁のときは元気ですがうつの波が来ると起き上がれなくなってしまいます。ドン引きされるかもしれませんが、みなさんを信用して正直に言いますね!うつがひどくなるとお風呂と歯磨きはめんどくさくて3日のうち2日はスルーしてしまいます。
なぜネットは毎日できるのにお風呂と歯磨きはできないの?甘えじゃないの??と言う人を見かけたことがありますが、ネットはメンヘラにとって必要で、お風呂と歯磨きは必要ないのです。私も無職透明な存在なので誰にも会う必要がなく、綺麗に身だしなみを整える必要はありません。
とはいえ、清潔にしていないと様々なデメリットも出てきます。
虫歯が12本、頭はベッタベタでも生きていればいいことが……ある?
安部公房が言うまでもなく、お風呂と歯磨きは人間生活において欠かせません。さもなければ、真夏は臭い・キモい・汚いの3Kです。
お風呂に入らなくても体はシートで拭けばいいけれど、髪がベッタベタになると絶対に外に出られず、誰にも会えません。「俺は臭い・キモい・汚いの3Kだ!」ということで余計にメンタルが悪化して寝込んでしまいます。負のループです。
さらに、歯磨きをしないと当然虫歯が増えます。私なんかは摂食障害もあるので胃酸で歯が溶けるのが重なって、歯医者に行ったときはもう手遅れでした。痛みのある歯だけでなく、プラス11本の虫歯があり、結局11本治療して1本歯を抜きました。3ヶ月歯医者に通い、トータルで1.5万くらい払いました。
しかもそれだけではなく、なんと虫歯から雑菌が繁殖して大人なのに「おたふく風邪」になってしまったんです。あのときは顔が片側だけプックプクに腫れて、高熱も出て、1つ目の病院で誤診されて効かない抗生物質を出されて……本当に散々で辛かったです。
その時はさすがに反省しましたし、歯を磨かなくても口の中を清潔にできる方法を2つ目の病院の優しいお医者さんに教えてもらったりもしたので、うつで寝たきりのときは、指に巻いて歯と口内を拭くだけの歯みがきシートを枕元に携帯して代用しています。
緊急時に使える水の要らない製品はメンヘラにもおすすめ
緊急時(災害発生時など)に合わせて開発されたものは、基本的に水なしでも使えます。水なしで使えるということは、お風呂も歯磨きも寝たままでもできるんです!!いや、元気があればきちんとお風呂も歯磨きもしたほうがいいんですけどね。
私は現在、歯は歯みがきシート、身体は汗拭きシート、問題の髪・頭皮はオードムーゲの3点を枕元に置くのが気に入っています。
オードムーゲはニキビなどの肌荒れを整えるふきとり化粧水・薬用ローションです。タオルに染み込ませて、ベッタベタになった頭皮に使っています。かなりさっぱりとした使い心地で、心がスッキリします。
ちなみにオードムーゲは皮脂の分泌過剰な10代の頃から背中のニキビにも使っていて、綺麗にニキビが改善したのを覚えています。昔は私の住む町では古びた薬局(処方箋とか出してくれるような)にしか置いてなかったのですが、今は大型ドラッグストアでも販売しているようです。
社会とエネルギーと自分自身のために生きるということ
うつ状態がひどくても「明日も仕事に行かなければならない」といった外出の機会があった頃は、最期の力を振り絞ってお風呂に入っていたような気がします。それはけして自分自身のための行為ではなく、「他人に(最低限)迷惑をかけないようにする」という小学生の頃からの義務教育で染み付いたルールだったかもしれません。
社会に順応するためお風呂に入ったり歯磨きをしたりしていたけれど、社会から離れることでその行為を辞めてしまう部分ってあると思うんです。それは言ってみれば、社会に奪われたエネルギーを自分自身に取り戻すための戦いです。
しかし、
文明の高さは、皮膚の清潔度に比例しているという。
冒頭に引用した安部公房のこのフレーズのように、うつ病の人が「会社を休むこと」で負のスパイラルに陥ってしまう原因の1つには、文明(日本の社会・文化)から遠ざかってしまう、ということが挙げられます。
難しい問題ですが、休めばエネルギーを取り戻せることもあります。エネルギーが戻ってきたら、自分自身のためにお風呂に入ったり歯を磨いたり、健康に気を配ったりできるようになるかもしれません。だから寝たきりのときは、せめてそれ以上病気が悪化しないような対策をしておきましょう。