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【格闘技】

WBOミニマム級王者・山中、2度目の防衛ならず

2018年7月14日 紙面から

7回、ビック・サルダールの拳を懸命にかいくぐる山中竜也=神戸市中央体育館で(山口登撮影)

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◇WBOミニマム級世界戦

 WBOミニマム級王者の山中竜也(23)=真正=は13日、神戸市立中央体育館で2度目の防衛戦に臨み、同級3位のビック・サルダール(27)=フィリピン=に0-3で判定負けした。7回、挑戦者の右ストレートを被弾し、ダウンを喫した。

 一発で全てが狂った。接近戦からの左ボディーに活路を見いだそうとした山中だったが7回中盤、挑戦者の放ったワンツーにガードの間を打ち抜かれ、後方にはじけ飛ぶように尻もちをついた。

 「かなり効いた」と山中自身も認めた痛恨のダウンだった。10回に右まぶた、11回には左目尻を切った。流血で左目の視界を奪われながらも手を出したが、巻き返しも及ばなかった。

 「皆さんの期待に応えられず申し訳なかったです」と、一切の言い訳をせずに謝罪したが、敗因は明らかだった。進化を続ける肉体と減量苦は常に背中合わせだった。胸囲は王座を奪取した昨年8月から一年足らずで5センチ増した。

 「パンチ力がついた」と実感する一方、王者として会食に呼ばれる機会も増え、ピーク時の体重は62キロにまで達した。周囲の喜びを自らの力に変えてきた山中だったが、気遣いのあまり勝負に徹し切れなかった優しさがあだとなった。

 1カ月で8キロという未体験の減量は王者の体を確実にむしばんだ。序盤から動きが重く、7回のダウンでは両脚がつった。以前から体重が落ちない夢を見ることもあったが、「今回はさらに怖くなった」という不安が的中してしまった。

 敗戦後、ジムの先輩で元世界3階級王者の長谷川穗積さんに「すみませんでした」と頭を下げたが、「謝ることじゃない」と言葉をかけられた。今後は未定だが、階級を一つ上げ、ライトフライ級で2階級制覇を目指す可能性が高い。まだ23歳。「これで終わるつもりはないです」と話す目の光は、失われていなかった。 (山本直弘)

 

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