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インタビュー

嶋田久作

意外と強い人なのでは、という気もしています

田辺一郎は、どんな人物ですか?

田辺は、大きな希望も所帯も持っていないけど普通に生きている、普通の人です。夢と恋に破れて傷ついている鈴愛ちゃん(永野芽郁)とは、対照的な人物かもしれませんね。田辺は人生を降りているように見えるけれども、別に絶望しているわけではない。よりどころがなくても生きていけるという意味では、意外と強い人なのでは、という気もしています。まともな人ですよね。

本当に普通の人なので、リアクションも毒気がなく、素直です。一見するとマイペースで、他人に興味がなさそうですが、話してみると人並みの優しさも持ち合わせています。つまるところ、他人の核に踏み込むことをしないんでしょう。

僕は普段、刑事や悪人を演じることが多いので、田辺は何年ぶりかの柔らかい印象の役です。主体的に動かず、ちょっと頼りないところは、自分の素に近いかもしれませんね。100円ショップの雇われ店長という職業も、役としてやってみた限り、意外と向いている気がしました。

「とにかく鈴愛ちゃんを楽にしてあげたい」という気持ちで演じています

田辺は鈴愛と一緒にいるシーンが多いですが、どんなことを意識して演じていますか?

僕らの出ている【人生・怒涛編】というのは、このドラマがギアチェンジをするパート。主体的に自分の人生を切り開いてきた鈴愛ちゃんが、じっと我慢する時期というか。ダメな男たちが鈴愛ちゃんを振り回して、割と彼女が受け身に回る時期なんですよね。

その中で、田辺は彼女を大きく振り回すわけでもなく、何かしてあげるわけでもない。ただその場に一緒にいる、付かず離れずの立ち位置なんです。鈴愛ちゃんからすれば、しんどい時期に、あまりしんどくない人と会えた感じかもしれませんね。社員とバイトという感じも薄いから、気兼ねなく愚痴も言い合える。「通りすがりの人だから言えることってありますよね」って、田辺本人に言っちゃうくらいですからね(笑)。そういう相手って、意外といないんじゃないでしょうか。

だから、田辺としてはフラットだけど、自分としては「とにかく鈴愛ちゃんを楽にさせてあげたい」という気持ちで演じています。まぁ、結果的に、少し振り回してしまうのがおもしろいですけどね(笑)。

「田辺みたいな人生もあるよな」と提示できたら

田辺の登場するシーンで、ぜひ注目してほしいところなどはありますか?

あんまりないですね。田辺はつかみどころのない人ですし。このシーンを、というわけではなく、全体を通じてなんとなく興味を持ってくれたらうれしいです。

店が忙しいのに女の人に付いて行く……というコミカルなシーンもありますが、僕は割とフラットに演じているんです。鈴愛ちゃんと涼ちゃん(間宮祥太朗)に“100円ショップの極意”を伝授するシーンだけは、テレビショッピングのイメージで、ちょっと元気を出しましたけど。
やはり、田辺は頑張らない役どころだと思うので、鈴愛ちゃんやみんなを振り回すようなプランは考えませんでした。視聴者の方も休ませてあげられれば、と思っています。

【人生・怒涛編】は、夢破れた鈴愛ちゃんがじっと我慢する時期だと言いましたが、彼女の人生が大きく転がる時期でもあります。個性的な登場人物たちが、夢や家族をめぐり、弱さから人を傷つけたり、許し許されたりする――。
ダイナミックに動く物語の中に、動かない田辺がいるんですよね。主人公の通過点として存在して、見ている方に「田辺みたいな人生もあるよな」と、なんとなく提示できたらうれしいです。

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