仲村は自身の思いとして「国体護持」を何度か口にしたが、彼女の立ち位置は権力からもっとも遠い場所にある。
強い力によって押しつぶされた側、苦痛を強いられた側、理不尽を飲まされた側に、彼女は寄り添う。
座り込む高齢者を指さして笑うこともないし、戦争体験者を馬鹿にすることもない。
もちろん民族差別も許さない。
それが、右翼という世界を生きてきた彼女の、辿り着いた地平だった。
差別と偏見を抱えて人を見下し、嘲笑するだけの右派が多いなかで、仲村のような存在は貴重だ。
「真摯に歴史と向き合う。矛盾から逃げない。そして、日本社会の中にある差別を許さない。それが私の"愛国"です」
この8月、いよいよ辺野古(名護市)で新基地建設のための土砂投入が予定されている。
おそらく仲村も現場に駆け付ける。
熊のブローチをキラキラと光らせながら、「沖縄を守れ」と訴えているはずだ。