人型ロボットと言えばボストン・ダイナミクス社のアトラス(関連記事)が有名だが、実はディズニーもすごいロボットの開発を行っている。
空中でアクロバティックな動きをする人型のロボット開発プロジェクト「スタントロニクス」を行っており、最近公開された最新バージョンは、まさに映画に出てくるヒーローのようだ。
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Disney Imagineering has created autonomous robot stunt doubles
なぜディズニーがロボット開発?
ディズニーがこうしたアクロバティックなロボットを開発しているのにはワケがある。
ロボットなら人間には難しすぎたり危険すぎたりする技でもこなせる。しかも技を何度繰り出しても疲れ知らずだ。
もう一つの理由は、ディズニーの映画の中でキャラクターが披露している演技を、現実世界に再現するためだ。
アイアンマンやマイティ・ソーのアクロバットをこなすよう人間を訓練するよりは、ロボットにやらせたほうが安全というわけだ。
「人間ではないというだけでなく、人間を超えたことをやりたいと思っています」とディズニー・リサーチの研究者モーガン・ポープ氏は話す。バーチャルやデジタルではなく、物理的で形のあるものをディズニーランドなどで提供したいという思いがあるようだ。
先行して発表されたバク転できるロボット「スティックマン」
ディズニー・リサーチは、今年5月、初期型バージョンの棒状ロボット「スティックマン」を公開している。身長2.1メートル、体重18.1キロで、バク転を決めることができる。
スティックマンは飛ぶように設計されており、3つのセクションと二つの可動関節で構成されるその体は、空気圧を利用したシリンダーによって体を抱え込む姿勢をとることができる。
Stickman: Towards a Human Scale Acrobatic Robot
新たに公開されたスティックマンの進化版
今回発表されたロボットは、スティックマンをさらに人間に近づけたものだ。重量40キロのロボットは、スティックマン以上のことができる。サマーソルトを決めるために、膝を曲げ、腕をねじり、着地に備えて回転を遅くするタイミングまで判断できるという。
脳として小型の制御装置が内蔵されており、2つあるセンサーシステムで空中における体の動作を把握する。体を抱え込めば、フィギュアスケートの選手がスピンをしながら腕を引き寄せたときのように回転が速くなる。
センサーの1つはIMU(慣性計測装置)というもので、加速度計とジャイロスコープで構成される。方向を把握し姿勢も推測する計測器だ。
もう一つの重要なセンサーが、機体が概ね水平にあるときに3つのレーザーで、地面との距離を計測するものだ。自動運転車に搭載されるシステムにも似ているだろう。
このシステムによって、地面からの高さと、速度を把握することができる。これはスティックマンが着地のために抱え込んだ体を伸ばすタイミングを知る上で重要だ。
空中に飛んだら、体を伸ばすタイミングは自分で判断するという。
しかし飛び出したときの状況がまったく同じになることはなく、変数は毎回変化する。そのためスティックマンはそれらを計算する必要がある。それはピストンの空気圧や関節の摩擦といった要素すら結果に影響を与える緻密さだ。
キャラクター化することで愛されるロボットに
ポープ氏によれば、こうしたロボットにキャラクターとしての姿を与えれば、すぐに愛着を持たれるようになるという。
「特にそこに知能があって、プログラムしたわけでもないのに自分で判断をするようになれば、本当に生物がいるような感じを受けるでしょう。そうなれば、ただの棒を連結したもの以上の存在になってきますよ」
References:thewaltdisneycompany / popsci/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
こういう試みはすげーーーーーーーー好きです。ありがとうディズニー
2. 匿名処理班
この子らの舞台裏の生活がトイストーリーみたいな感じに映像化したりしないかな
3. 匿名処理班
スタントマンが必要なくなる時代が直ぐにきそうだね
4. 匿名処理班
ピーターパンのショーに使われたりするんやろなぁ
5.
6. 匿名処理班
かっこいいー
7. 匿名処理班
そのうちCGもいらなくなりそう
8. 匿名処理班
PCゲームもそうだけど、最新技術をいの一番に取り入れるのって娯楽だよな。たぶん予算(採算)の都合だろうけど。
これそのうち数作られて各国のディズニーランドのショーに出たりするのかなぁ。
9. 匿名処理班
こないだスタントさんか役者さんかの事故死があったでなぁ
そういうのも踏まえると、この流れも自然かもな
10. 匿名処理班
CGで済むのにわざわざリアルでロボットで再現させようしてる所をみると
ディズニーランドでのアトラクションにも転用できるように考えているだろうな。
11. 匿名処理班
デデンデンデデン
12. 匿名処理班
ターミネーターの新作が出たらアクロバティックな動きで跳ねまわる新型が登場しそう
13. 匿名処理班
時をかけるロボ
14. 匿名処理班
ディズニーランドのオーディオアニマトロニクス、瞬きがカシャカシャうるさい人形としか思ってなかったけどすごい進化してるんやなぁ
こういう方向でno CGIに挑むのもかっこいいよな。ヨーダは人形派だけど、ジャージャーやジェダイまで人形になったらすげーや
15. 匿名処理班
空中でちゃんとポーズ決めてるのすごい
顔がなくても誇らしげな表情に見えるし、おっ頑張ってるな!と思えるね
カッコイイ!!
16. 匿名処理班
片膝ついて拳を地面に突き立てて着地できるようになれば完璧だな
17. 匿名処理班
これCGじゃなくて実在するロボットなんだ⁈すっごい!!!
18. 匿名処理班
ユニバに導入したら実物版立体起動で飛び回るロボットとかのショーができそう。
19. 匿名処理班
スタント映像としてはそのまま使えずに、このあとCG処理するであろうことを考えたら、最初からフルCGでよくない?
20. 匿名処理班
え。凄い。めっちゃ人間の動きみたい。。。
21. 匿名処理班
軍事じゃなく娯楽から生まれるのが素晴らしいな
22. 匿名処理班
のちのシュワちゃん二世である
23.
24. 匿名処理班
これは、もう、リアル版で等身大の「変身サイボーグ1号」だは。
今現在の変身物の可動フィギュアは変身サイボーグ1号のころよりも、はるかに進歩してはいるけど。
あと10年くらいしたら、それこそ、ウルトラマンや仮面ライダーの中の人が、このロボに変わるんだろうね。
いや、案外、実際に変身することのできるシステムが開発されて、巨大化は無理でも、リアル仮面ライダーや戦隊ヒーローが、登場するかもしれないし。
とりあえず、今の仮面ライダーのような「強化服装着型」なら、アギトに出ていた「G3」のような形なら、今すぐにでもできるとは思うけど。
しかし、本当に「変身するヒーロー」が誕生したとき、特撮ヒーローものは、どう変わるんだろう? そっちも気になる。
25. 匿名処理班
※19
複雑な計算しなくてもキャラクターの動きにリアリティが出るべ。
26. 匿名処理班
超かっこいい……生ヴィジョンやん……
ドローンみたいに空中静止もできるようになればロボスーパーマンやロボアイアンマンも…
でもそれはアンドロイド浮かせればいいんだからすぐできそうか
あっプロペラついてるなら先にドラえもんかな
27. 匿名処理班
※19
選択肢は多いほうがいい
28. 匿名処理班
CGで済むだろうというコメントもあるけど
CGでの動きも人力でモーション入力するか実際の人に動いてもらった映像をコンピュータに読み込ませてトレスします
よりリアルな動きをさせたい場合は後者の人が実際に動いた映像が必要になるわけで
危険なアクションは現在ならどっちにしろスタントマンがいるわけですな
そう考えるとこのロボットがいかに有用かわかると思います
29. 匿名処理班
ディズニーならではのロボット開発!
スタントに特化すれば難しい二足歩行なんか考えなくてもいいしね
スタントマンは高いところから落ちるとき人形と思われないよう手足を大きく動かすという…
だったら人形つーかロボットが手足を動かせば安全に激しいスタントができるわけだ
この発想は目からウロコがボロボロ落ちるな
30.
31.