「日本でもレジ袋の規制に踏み出すべき時」

東京農工大学 マイクロプラスチック汚染 高田秀重(5)

2018年7月14日(土)

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21世紀に入り、生産量が激増しているプラスチック。便利さの一方で、大量のプラスチックが海に流出し続け、近年は5mm以下の「マイクロプラスチック」にも大きな注目が集まっている。そこで、マイクロプラスチック汚染について早くから研究を続けてきた高田秀重先生の研究室に行ってみた!

(文=川端裕人、写真=内海裕之)

 マイクロプラスチックによる海洋汚染が、人間の健康に影響するのかしないのか。

 決定的な証拠はないものの、かなり怪しいと考えられていることを前回見た。だから、今、国際社会は予防原則に則った行動を取ろうとしている。

 ただし、確実な証拠がない状態で、なにからなにまで「予防」しようとすると人間の生活そのものがまわらなくなる可能性すらあるように思う。では、どんな場合、「予防原則を適用!」ということになるのだろう。前から気になっていたことでもあって、この点を尋ねた。

プラスチック汚染問題に詳しい高田秀重さん。

「実験的に有害性が確認されて、環境中にその物質があって、確実に残留している場合。さらに、何も手を打たなければそのレベルが上がってくると予測される場合に予防原則を適用することになります。マイクロプラスチックは、ひとたび細かくなって海に出てしまうともうすくって取り除くことすらできませんし、海の表面では数十年ぐらい、海底に沈んだものも含めて考えると、それこそ100年、数百年残り続けるかもしれない。ですので、出す前に止めるようにしなければということで、予防的な動きが始まっているんです。この点について、行政的な対応としてはもう国際的なコンセンサスになっています」

 前にも述べた通り、高田さんは2017年6月の国連海洋会議の分科会で基調講演を行った。その背景にあるのが、まさにこういう文脈なのだ。

「持続可能な開発目標の中の14番目の目標『持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する』を促進するために開かれるのが、国連海洋会議です。ニューヨークの国連本部で行われています。今では、マイクロプラスチック、海洋プラスチック汚染が海洋の持続的利用を阻害する大きな要因だと認識されていて、マイクロプラスチック対策を実行すべきであると呼びかけています。対策としては3R、リデュース、リユース、リサイクルが重要だと強調されていて、僕が基調講演で強調したのは、特にリデュース、削減が大事だということでした」

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「「日本でもレジ袋の規制に踏み出すべき時」」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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