大規模災害ではセイフティネットも打つ手も必ずある諦めてはダメ!
どうも千日です。連日のニュースで西日本豪雨の甚大な被害の様子が報道されています。過去に災害に遭い家を失ったことのある私としても、とても他人ごととは思えません。
命を落とされた方のご冥福をお祈りします。また、被災された方々には心からお見舞い申し上げます。
そして、水害で家が流されてしまっても住宅ローンは残ります。売却しようにも、一度このような被害を受けた地域だと「危険地域だ」と認識されてなかなか買い手も付きません。ハザードマップへの意識も高まるでしょう。
この水害によって自分が被害を受けないまでもご家族や親戚、ご友人が罹災された方も多くおられると思います。
私は住宅ローンの専門家ですのでプロとして、この未曾有の大水害に被害を受けた方の役に立つ情報を発信したいと思います。
- 大規模災害ではセイフティネットも打つ手も必ずある諦めてはダメ!
火災保険は水災もカバーしていることが多いので要チェック
火災保険は住宅ローンを組むときに加入が義務付けられる保険です。そして多くの火災保険は洪水や土砂崩れなでの「水災」もカバーの対象としているんです。
火災ではないからとあきらめずに契約内容を確認してみてください。
被害状況を撮影しておこう!
被害状況、特に家財など家の中を片付けるまえに撮影しておくのがお勧めです。片付けてしまってからだと被害が少なく査定される可能性があります。
また、早めに保険会社に第一報を入れておきましょう。
各保険会社のサポートセンターは24時間365日受付しています。事務処理は先着順ですから、連絡が遅くなるとその分保険金の受け取りが遅れることになります。
罹災証明の発行を待たずに保険金を貰える!
保険金請求には原則として自治体が発行する「罹災(りさい)証明」(発行に数週間かかる)が必要ですが、今回の西日本豪雨は2016年の熊本地震以来の「特定非常災害」に指定されました。
罹災証明の発行前に保険金の支払いの迅速化などの特例措置が取られています。
契約先の代理店や保険会社に問い合わせてください。こうしたときに専業の保険代理店と付き合いがあると迅速に対応してもらえるというメリットがありますね。
保険証券を紛失しても大丈夫!
金庫ごと家が流されてしまって保険証券が無くなってもちゃんと保障を受けることが出来ます。
被災家屋が災害救助法適用地域にあれば、以下の番号に電話をすれば調べてくれます。
- 火災保険:自然災害等損保契約照会センターフリーダイヤル(0120-50-1331)
- 生命保険:災害地域生保契約照会センターフリーダイヤル(0120-00-1731)
保険対象じゃなかった…でも最大300万円の支援金がある!
水害が保険対象でなかった場合にも、被災者生活再建支援法によって公的な支援を受けることが出来ます。
この制度の対象になる被災世帯は以下の4つのどれかに当てはまる世帯です。
- 住宅が「全壊」した世帯
- 住宅が半壊、又は住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯。
- 災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯。
- 住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯。
その支給額は最大で300万円です。けして小さな金額ではありませんよね。
支援金の支給額
支援金の支給額は住宅の被害程度(家がどれくらい壊れたか)による基礎支援金と住宅の再建方法(これから家をどうするのか)による加算支援金の合計額になります。
①住宅の被害程度に応じて支給する支援金(基礎支援金)
住宅の被害程度 | 支給額 |
全壊 | 100万円 |
解体 | 100万円 |
長期避難 | 100万円 |
大規模半壊 | 50万円 |
②住宅の再建方法に応じて支給する支援金(加算支援金)
住宅の再建方法 | 支給額 |
建設、購入 | 200万円 |
補修 | 100万円 |
賃借 | 50万円 |
支援金支給までの手続き
- 都道府県が被災者生活再建支援法を適用する。
- 都道府県から国、支援法人、市町村に適用を報告し公示する。
- 市区町村が罹災証明を交付する。
- 被災世帯が支援金の支給申請をする。
- 市区町村で受け付けし、都道府県がとりまとめて、支援法人に送付する。
- 支援法人から被災世帯に支援金が支給される。
申請期間は基礎支援金で災害発生日から13カ月以内、加算支援金は災害発生日から37カ月以内となっています。
申請に必要な書類は以下のとおりです。被害と再建の実態を証明する最低限のもので申請できます。
- 支援金支給申請書
- 住民票等
- 罹災証明書等
- 預金通帳の写し
- その他関係書類、契約書(住宅の購入・補修、借家の賃貸借契約など)
住宅ローンなどの免除・減額を申し出る
住宅ローンの返済については期限を待ってくれるケースもあります。銀行のホームぺージなどでそうした相談窓口の開設が公開されています。
しかし、住宅ローンは完済しない限りは終わりません。いつか国の援助は打ち切られます。家賃や新たな住宅ローンとダブルになってしまっては、生活の再建は遠のきますよね。
今回は、自然災害債務整理ガイドラインで債務を整理して生活を再建するという選択肢があることをご紹介します。
自己破産せずにローンの免除や減額ができる!
これは自然災害の影響を受けたことによって住宅ローン等の債務を弁済できなくなり、自己破産するしかない状態になった個人が、破産手続等によらずに、ローンの免除や減額を銀行に申し出て債務整理を行う際の準則として取りまとめられたものです。
対象となる自然災害は2015年9月2日以降に災害救助法の適用を受けた自然災害です。今回の西日本豪雨も対象となっています。
被災された皆さまへ | 一般社団法人自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関
このガイドラインで債務整理するメリットは3つあります。
1.手続き支援は無料!
債務免除の陳述書など法律上の書類作成が必要ですが、弁護士などの「登録支援専門家」による手続き支援を無料で受けられます。
2.財産の一部を手許に残せる!
生活必需品や現預金(上限あり)などの自由財産に加えて、被災者生活再建支援金、災害弔慰金・災害障害見舞金については基本的に手元に残すことが可能です。
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3.ブラックリストに登録されない!
自己破産であれば、個人信用情報(ブラックリスト)に5年間記録が残ります。
しかし、このガイドラインで債務整理した場合は個人信用情報(ブラックリスト)に記録されないので、新たな借入に影響しません。その後生活を再建すればカードも作れますし、住宅ローンだって組めるのです。
自然災害債務整理ガイドラインによる債務整理の手続きの流れ
このガイドラインを利用した債務整理の手続きの流れを簡単に解説しますね。
①債権者に対してガイドラインの手続着手を申し出る
住宅ローンを借りている金融機関等へ、ガイドラインの手続着手を申し出ます。受付窓口は当該金融機関へ確認してください。
金融機関から借入先、借入残高、年収、資産(預金など)の状況などをヒアリングされます。
②専門家による手続支援を依頼する
上記①の金融機関等から手続着手について同意が得られた後、地元弁護士会などを通じて、自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関に対し、「登録支援専門家」による手続支援を依頼します。
「 登録支援専門家」は、弁護士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士などですが、弁護士以外は代理などの一部業務を実施できません。
③債務整理(開始)を申し出る
金融機関等に債務整理を申し出て、申出書のほか財産目録などの必要書類を提出します(書類作成の際、「登録支援専門家」の支援を受けることができます)。
債務整理の申出後は、債務の返済や督促は一時停止となります。
④「調停条項案」を作成する
「登録支援専門家」の支援を受けながら、金融機関等との協議を通じて、債務整理の内容を盛り込んだ書類(「調停条項案」)を作成します。
調停条項案には原則として以下の事項を含むとされています。
- a 債務の弁済ができなくなった理由(災害による影響の内容を含む。)
- b 財産の状況
- c 債務弁済計画(原則5年以内)
- d 資産の換価・処分の方針
- e 対象債権者に対して債務の減免、期限の猶予その他の権利変更を要請する場合はその内容
⑤「調停条項案」の提出・説明
「登録支援専門家」を経由して、金融機関等へガイドラインに適合する「調停条項案」を提出・説明します。
金融機関等は1カ月以内に同意するか否か回答します。
⑥特定調停の申立て
債務整理の対象にしようとする全ての借入先から同意が得られた場合、簡易裁判所へ特定調停を申し立てます(申立費用は債務者負担)。
「 登録支援専門家」は特定調停申立書類の作成等の支援はできますが、原則として、特定調停の場に出頭することはできず、自分で出頭する必要があります。
⑦調停条項が確定すれば債務整理が成立
特定調停手続により調停条項が確定すれば、晴れて債務整理成立です。
まとめ~何とかしようと思えば何とかなる!
ガイドラインによる債務の免除等には、一定の要件(財産や収入、信用、債務総額、返済期間、利率といった支払条件、家計の状況を総合的に考慮して判断)を満たすことが必要となります。
そのうえ、住宅ローンの借入先の同意も必要となります。
なので、この方法を取れば絶対に債務免除されるということではありません。
しかし無料で、財産を残しつつ、ブラックリストにも載らない債務整理の方法があるということを知っているか、知らないかだけで全然見える世界が違ってくると思いますよ。
何とかしようと最後まであがけば、何とかなるものです。
まだ、諦めるのは早すぎますよ。
以上、千日のブログでした。
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《あとがき》
最後に紹介した自然災害被災者債務整理ガイドラインについては、まとめでも書いたように借入先の同意がハードルになるでしょう。
そうしたときに、民間融資ではなく公的融資を利用していれば、スムーズに進むことが想定できますよね。代表的なものではフラット35です。
こちら、あまり知られていないフラット35のメリットを書いていますので、ぜひ読んでみてください。
単に金利だけを見て決めるのではなく、こうしたイザというときのメリットも考えて決めることをお勧めします。
フラット35を取り扱うモーゲージバンクの中でも、アルヒ株式会社の「スーパーフラット」は、通常のフラット35に比べて金利を0.1%、または0.05%引き下げている、おすすめの住宅ローンです。
概要は以下の通りです。
商品名 (通常のフラット35との金利差) | 頭金(手持金) | 返済負担率 |
スーパーフラット8 (金利▼0.10%) | 2割以上 | 30%以内(年収400万円未満) 35%以内(年収400万円以上) |
スーパーフラット9 (金利▼0.05%) | 1割以上 | 20%以内 |
特に2割の頭金が用意できるのなら、スーパーフラット8は総支払額で35年固定金利で最安となります。申し込みはこちらからどうぞ👇
2018年7月14日
千日太郎おすすめ住宅ローン
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