ダムマニア - BLOG

ダムマニア管理人のブログ

まさのあつこ

ダムカレーとダム放流と『まさのあつこ』なわけだが。

ダムカレー、ダムの観光放流など、最近ダムがらみのアイテムやイベントが流行っている。
5年前に比べ、ダムカレーは3倍以上、イベントに関しては10倍以上の量になっただろうか。

ダムカレーの多くは、ダムにより水没移転を余儀なくされた方々が考え出した商品である。
少しでも多くの人に、この町に来てもらい楽しんでもらおうと、一生懸命考えたものだ。
現在は115種類以上のダムカレーが確認されており、この勢いは増加の一途をたどっている。

DSC_4018
(写真は「とよね村ダムカレー」)

また、ダムの観光放流はダムの本来の働きに加え、観光施設化してしまおうと、官民一体となって考え出された企画だ。
ダムの放流を見せることによって、多くのお客さんがこの地に押し寄せるのである。

なかでも人気を誇るのは、宮ヶ瀬ダムや矢木沢&奈良俣ダムであろう。
矢木沢&奈良俣ダムの放流(以下やぎなら点検放流)は、毎年5月におこなわれる盛大な「点検放流」である。
今年は2,100人の見学客が訪れ、前日から近隣宿泊施設は見学客で賑わうほどの人気ぶりである。
放流当日はダムに屋台が立ち並び、まるでお祭り騒ぎ。
焼きそばやケバブを食べながら放流を楽しむという、完全に観光化されたイベントだ。

DSC_7923
(2016年のやぎなら点検放流の様子)

しかし、このお祭り状態はダム完成当初からのものではない。

点検放流とは、放流設備がきちんと機能するか点検する作業で、年1回おこなうことと義務付けられている。昔は何の予告もなく平日にひっそりとおこなわれていた。

ところが10年ほど前、地元の要請を受け、ダム管理者は点検放流を休日におこなうことになった。
すると少しづつ見学客が増え、それに伴いダムに屋台があらわれ、さらには見学宿泊パックなるものも登場した。今では町ぐるみでおこなう盛大なイベントとなっている。
この様に、水没移転者の方々や町は、ダムを使った地域活性を考えたのである。

-------------------

しかし、この様な水没移転者の方々の努力を否定する人がる。
ジャーナリストであり、工学博士の「まさのあつこ」氏だ。
水没移転者の方々が考え出したダムカレーを馬鹿にするような発言。


名称未設定-4
https://twitter.com/masanoatsuko/status/887801797607211008
ダムには観光という目的が無いという理由で、やぎなら点検放流の観光化を否定。
(彼女は、やぎなら点検放流を観光放流と解釈しているようだが、彼女の勘違いである)


ちなみに、まさのあつこ氏は反ダム論者で、今後建設されるダムの水没予定地区で暮らしている方々を応援する記事を多数書かれているジャーナリストだ。

ところが、すでにダムが完成し、移転されてしまった方々の行動(ダムカレーや放流をメインとするダム観光地化)に対しては上記の否定的発言をしている。

はっきり言って、まさのあつこ氏の行為は、ダム水源地エリアにお住いの方々は二の次で、ダムを否定する材料としてこの方々を出汁にしているとしか見えない。

もし彼女が本当にダムの犠牲になった、もしくはこれから犠牲になる方々を応援しているのなら、ダムカレーやダム放流に対して、もっと歓迎的なコメントをするはずである。


P1040279


蛇口をひねれば水が出て、台風が来ても自宅が水没しない。
私は、多くのダム水没移転者の方々の犠牲を伴い暮らせている。
私を支えてくれているダム水没移転者の方々の努力を応援したい。
これは偽善ではない。心からそう思っている。

ジャーナリストで工学博士である”まさのあつこ”さんのブログを読んだわけだが。

ジャーナリストであり、工学博士である ” まさのあつこ ” さんのブログを読んだ。
あまりにも肩書きに相応しくない記事だったので、ここに反論させてもらう。

気になったブログ記事は「 180.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(9) 」である。

この記事の中に、伝聞として

--------
(江戸川の)堤防内は、川であり、河川敷も川の一部である。
上記写真には、その河川敷にある野球場がと~~~く
小さく写っているが、長年暮らし続けている住民は、
今までピッチャーマウンドにすら水があがったことはない」という。
--------

と書かれている。
これが気になった。

本当に、江戸川河川敷内の、京成鉄橋あたりにある野球場のピッチャーマウンドには水があがらないのか。

私は、学生の頃、よく京成電鉄やJR総武線で江戸川を渡った。
台風や大雨が降ると、江戸川は大増水し、堤防一杯まで水浸しになっていたような記憶があるが、私の勘違いだったのだろうか。

ということで、ネット検索してみた。
たとえば、「 江戸川 増水 」。

ご覧の通り、普段は水に浸かっていない、河川敷内にある野球場やゴルフ場が、どっぷりと水に浸かっている写真が多数出てくる。
ただし、江戸川といっても長くて広いので、京成鉄橋あたりはどうかと、画像をピックアップしてみた。

たとえば、
http://pretty333.at.webry.info/201205/article_4.html

この記事の中に、「国府台駅を行く京成電車がまるで銀河鉄道の様に雲の中を走っているようだった。」と書かれている。
また、掲載している写真には和洋女子大学が写っており、この場所が京成鉄橋付近だと認識できる。

他には、
http://ameblo.jp/aurora-2010/entry-11007464162.html

この記事の中に、江戸川河川敷内にある野球場が浸水している写真が掲載されている。
写真には和洋女子大学が写りこんでいるので、この場所は京成鉄橋付近だと認識できる。

ということで、江戸川河川敷内にある野球場は、大雨が降ると、今でも浸水しているという事実が裏付けされた。



さて、ここでだ。

問題なのは、” まさのあつこ ” さんの肩書きだ。
ジャーナリストであり、工学博士。

私は理系の人間である。
理系の論文という物は、再現性が求められる。
再現性とは、何度繰り返しても同じ結果になるということだ。
この場合、実験は不可能なため、江戸川河川敷内の野球場は水没しないという、過去の事実確認が必要ということになる。
まさのあつこさんは工学博士。
ちょっとネットで調べれば分かるものを、第三者の発言を裏付けも無しに掲載していると言うことになる。

続いて、ジャーナリストの視点から。

一人の発言を聞いただけで、それが全てだと思ってしまうのはいかがなものだろうか。
非常に偏った取材で、危険すぎるものではないだろうか。
一人きりの発言を元に記事を書いても良いということになれば、それこそ危険ではないだろうか。
人々は、その者の意見が一般論だと認識してしまう事だろう。


たかがブログだが、ジャーナリストであり工学博士である ” まさのあつこ ” さんの影響力は大きい。
無視できないレベルなのである。

彼女はダムやスーパー堤防の反対派であり、意図的にこの様な記事を書いたと勘ぐってしまう。
それならばまだ良いのだが、もし、野球場が水没する事実を確認する事を怠っていたとしたら、ジャーナリスト的にも、工学博士的にも危ぶまれる。


ぜひとも、肩書き通り、しっかりとした記事を書いて頂きたいと思うのである。

ダムはストライクゾーンが狭いらしいわけだが。

河川行政に詳しいと言われている、政策エッセイストの、まさのあつこさんのブログ記事、「67.ストライクゾーンの狭いダム~八ツ場ダムではどうか」を読んでみた。

この記事の主題として、「ダムはストライクゾーンが狭い」と書かれているが、この点について疑問を抱いたので記事を書いてみる。以下、斜体は引用。



ダムの効果は「ストライクゾーンが狭い」と言われる。
丁度いい場所に、丁度よい降り方をしてくれる大雨にしか、効果を発揮しないからだ。

ここで言うストライクゾーンとは、多分、洪水を制御できるエリアの事を示しているのだと思われる。
ごく一部に降った雨にしか治水効果を発揮しないと言いたいのだろう。

さて、その一部とはどれぐらいか。

ダムに入ってくる水は、河川の上流から入ってくる水に加え、近隣の山々に降った雨水も入ってくる。
もちろん、上流の山に降った雨も河川に流れ込み、ダムまで流れ着く。
この様に、ダムに入ってくる水のエリアを、流域面積と呼ぶ。

利根川の最上流にある矢木沢ダムの流域面積は、167.4平方km、日本最大の総貯水容量を誇る岐阜県の徳山ダムは、254.5平方km、話題の八ッ場ダムに至っては、707.9平方kmと、東京都の面積の3分の1に匹敵する大きさだ。
これでもストライクゾーンは狭いと言えるのだろうか。

また、実はダムより下流の雨に対しても、ダムは威力を発揮する。
ダムの下流で大雨が降った場合、ダムは放流量をしぼり、下流に流す水量を抑えることができる。
その結果、雨による下流の増水を、ダムの放流量減少の効果により押さえることができる。(ただし、色々制約がある)


普通の大雨ならダムは要らない。


「普通の大雨」という表現は難解で、理解しがたいものがある。
多分、ダムにより洪水を防ぐことができる程度の雨を指すのだろう。
ポツポツ程度の雨なら、わざわざ「大雨」とは書かないはずである。

ダムは意外と洪水調節をしている。特に、普通の大雨時はその威力を発揮する。
国土交通省が提供する「川の防災情報」の中に、ダム放流通知という項目がある。
普通の大雨が降った時にぜひ見ていただきたい。
ダムが治水をしている様子をかいま見ることができる。

普通の大雨でも洪水が起きないのは、ダムが働いているからなのである。
知らない人にとっては、普通の大雨程度では洪水は起きないと思ってしまうのであろう。


高い位置から一気に放流し、破壊的な威力で下流に押し寄せて下流に被害をもたらすこともある。


ダムには減勢工というものがある。減勢工とは、高い位置から放流された水の勢いを弱めるためのものである。

ブログでは、写真などを例にあげているが、もしダムが無かったらこれ以上の被害があったことは間違いない。
ダムが無い分、長期にわたり多流量の水が流れ続けるからである。

というか、その前に、この山崩れはダムが引き起こしたものなのか検証されていない。


また、どれぐらい以上の雨になると「但し書き操作」に入り、
ダムが用をなさなくなるかという情報も明かさない。


ダムは現在の流入量を見て放流量を決定する。また、今後降ると思われる雨量も考慮される。

まさの氏の主張では、雨量から但し書き操作のタイミングを説明せよとの事だが、これは無理な話である。

なぜなら、雨量=流入量ではないからである。

日照り続きの山々に久しぶりに雨が降った場合、乾ききった山々は雨を多く吸収するため、それほど河川の増水を起こすことは無いだろう。
逆に、雨が降り続き、山々は水をたっぷり吸いこんでいる場合、降った雨はすぐに河川に流れて増水することだろう。

この様な理由から、雨量から流入量を導くことしかり、雨量から但し書き操作を説明することはナンセンスなのである。

特に、「緑のダム」を主張している方々は、この手のお話はご理解いただけることだろう。「緑のダム」とは、山々の緑が雨を吸収し、洪水を起こすことが無いという理論である。


この様に、河川行政にくわしい方でも、あまりダムの事をご存じない様で、ダム愛好家の私としては悲しい限りである。
ということで、ダムについて、もっともっと多くの人々に知っていただけるように、現在「日本一周ダムファン写真展」を各地のダムで開催しています。
美しいダムの写真や、本物のダムを見て、少しでもダムの働きをご理解いただければ嬉しい限りです。

dcg_banner_300x250


政策エッセイスト(まさのあつこ)さんのブログ記事を読んだわけだが。

政策エッセイスト(まさのあつこ)のブログ記事、「63.発電と渇水と大本営発表」を読んでみた。
今回の渇水に対し、ある方向の印象を与えるために、とてつもなく間違ったというか、印象操作をする記事に仕上がっていたので、ダムマニアとして色々指摘してみたいと思った。

以下斜字部は引用。

でも、アレレ? すぐその(矢木沢ダムの)下の藤原ダムでは
渇水だ~と騒いでいた過去2日もしっかり発電しているよ。
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/live/fujiwara.html
9日9日11:00現在に至っては
流入量(0.49)に対し放流量(12.71)が30倍の勢いでガンガン放流している。
http://220.97.206.144/numata-p/GamenDam.htm ←(リアルタイムで変化)

まず第一の間違いとして、

矢木沢ダムの下は藤原ダムではない。

東京電力の須田貝ダムだ。
須田貝ダムは、矢木沢ダムから発電で放流された水を、無駄なく貯水する役割を果たしている。
そして、流入量が少ないくせに、藤原ダムが発電のためにガンガン放流と指摘しているが、これは印象操作。

藤原ダムは、飲み水となる水を下流に流すついでに発電をしている。放流量は従来通りである。また、渇水なので流入量<放流量となるのは当たり前である。



隣の支流の奈良俣ダムでも過去2日、しっかり発電も放流もしている。
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/live/naramata.html
(中略)

薗原ダムは貯水率70%以上で発電&放流中
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/live/sonohara.html
相俣ダムは貯水率27%以上で発電中(発電で水は川に戻るのでその分は放流)
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/live/aimata.html
下久保ダムも貯水率68%以上で発電&放流中
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/dammap.html

さらに隣の支流(渡良瀬川でも)貯水率38%で発電&放流中
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/live/kusaki.html

奈良俣ダム、薗原ダム、相俣ダム、下久保ダムなどでも発電放流をしていると指摘しているが、上記に書いた通り、飲み水となる水を下流に流すついでに発電をしている。

つまり、発電で使用された水は河川に戻され、下流で上水道などに有効利用される。



最大の人口を抱える東京都から見れば
実は多摩川もあり、都民のためにこちらの水源は最後まで抱え込んでいる。

http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/water/suigen.html
(中略)
多摩川の小河内ダムは今日も82%
村山・山口貯水池79%と、まったく問題ない。

東京都には多摩川水系のバックアップがあるが、

埼玉・千葉・群馬など、東京以外の自治体にとっては利根川の水不足は非常に問題である。



さらに見ると、利根川と多摩川の間の荒川なんて、
荒川貯水地が貯水率101%
二瀬ダムが貯水率225%
全体で貯水率106%だってことも分かる。

上記にも述べたとおり、荒川貯水池の貯水率が101%あったとしても、その水を取水することができない上流にある自治体にとっては何の意味もない。
また、二瀬ダムの貯水率が225%だと指摘しているが、

この時期の二瀬ダムは洪水対策のため、スズメの涙ほどの水しか貯めていない。225%といえどもわずかな量なのである。


このブログ記事は、私には、「水力発電のために無駄に水を放流し、渇水を招いている。または、渇水に見せかけている。」という内容に読み取れた。
しかし、実際は上記に述べたとおり、

下流で取水する飲み水を放流するついでに発電している

のである。
この点を十分理解していただきたい。発電のために無駄に放流はしていない。

発電で使用された水は河川に戻され、下流で上水道などに有効活用されている。


あまりにも頭にきた記事だったので、ここに指摘させていただいた。

ダム写真集

 ダムを愛する4名が作ったダム写真集。
 十人十色、十基十色。それぞれの感性で語ったダム達をお楽しみください。

「ダム本」書きました

 書籍を発売させていただくこととなりました。
 近年急速に増えつつあるダムファンに向けて、ダムの基礎知識や見どころを豊富な写真とマニア心をくすぐる文章で伝えるガイドブックらしいです。

ダムDVD
好評発売中

好評発売中
ダム写真集
Ako

 2005年5月にスタートしたCS放送の人気番組『山田五郎アワー マニア解体新書』と『新・マニア解体新書』。これまで登場した30人以上におよぶ強者たちの中から、とりわけディープな11人の対談を単行本化。博覧強記・趣味多彩な山田五郎の名司会で、一般人には想像もつかないマニアの迷宮世界が、感動とともにひも解かれます。
 もちろん私も、ダムマニア代表として出演させていただき、今回の記事となりました。
 自信を失い、混迷する日本を照らす光は本書の中にあります!
Amazonでお買い物
livedoor プロフィール

宮島咲

1972年、東京都生まれ。(一財)日本ダム協会認定元ダムマイスター、老舗割烹料理店「割烹三州家」5代目ダム事業部長。脱サラした28歳頃からダムめぐりを始め、関東地方を中心に600基ほどのダムを訪問、生涯の目標は国内のダム約2700基の制覇。
2002年ウェブサイト「ダムマニア」を開設後、ダム関係者に注目されることとなる。(一社)ダム工学会や(一財)日本ダム協会主催の講演や、フォトコンテスト審査委員などを務め、NHK「熱中夜話」やMONDO21「山田五郎のマニア解体新書」などテレビやラジオなどに多数出演してダムマニアとしての地位を確立する。著作に、「ダムマニア(オーム社)」や「ダムカード大全集(スモール出版)」「ダムを愛する者たちへ(スモール出版)」、日本ダム協会「月刊ダム日本」やオーム社「水と水技術」、井上よしひさ氏著の「ダムマンガ」にコラム連載など。
本業では各型式のダムを模したダムカレーを提供。全国からカレー目当てにダムファンが訪れる他、群馬県みなかみ町や、愛知県豊根村の町おこしにダムカレーが導入されるなど、さまざまな角度からダムや水源地をプロモーションする事業を展開し、ダムへの理解促進とダムファンの拡大に尽力している。

記事検索
<<   July,2017  
S M T W T F S
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
Archives
TrackBacks
Counter
  • 7/14
    訪問者数
    21
  • 7/13
    訪問者数
    30
  • 7/12
    訪問者数
    32
  • 7/11
    訪問者数
    39
  • 7/10
    訪問者数
    27
  • 7/9
    訪問者数
    36
  • 7/8
    訪問者数
    24

FC2 Analyzer
  • ライブドアブログ