土星探査機カッシーニは、20年に及ぶ長い役目を終え、2017年9月15日、土星の大気に突入し燃え尽きていった(関連記事)。
そのグランドフィナーレで、NASAは最後の記録を行なった。
カッシーニが集めた豊富な情報のおかげで、NASAの科学者は土星とその衛星エンケラドスとの間でプラズマが作用する様子を捉えることに成功。それは双方の間の磁力線に沿って、まさに電気回路のようにプラズマの波が移動する様子だ。
このプラズマのデータをオーディオファイルに変換したところ、実に奇妙な「ビュウビュウ」と鳴る音が完成した。
土星とエンケラドスの間に流れる宇宙の音を聞いてみよう。
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※この動画は16分のものを28.5秒に圧縮し、周波数は5分の1に減らしたものだ。
Sounds of Saturn: Hear Radio Emissions of the Planet and Its Moon Enceladus
カッシーニがとらえた可聴域の電磁波
NASAの説明によると、カッシーニはラジオが電磁波を番組に変換するのと同じように、可聴域の電磁波を捉えた。
米アイオワ大学の惑星科学者アリ・スライマン氏は、「エンケラドスは土星を周回する小さなジェネレーターで、持続的なエネルギー源となっています」と話す。
「今回、土星が、遠く離れたエンケラドスにつながる磁場線を通じて、プラズマ波のシグナルを放ち反応していることが分かりました」
image credit:youtube
カッシーニがその役目を終える直前の出来事だった
月とは違い、エンケラドスは土星の磁場にどっぷり浸かっており、地質学的にきわめて活発だ。土星周囲の環境に蒸発し、イオン化する水の源であることも知られている。
月の場合、地球とそのような作用はない。
カッシーニがこのプラズマ波を記録したのは2017年9月2日のこと。その役目を終えるわずか2週間前のことである。
太陽系の深淵で20年を過ごしたカッシーニだが、2017年9月15日、土星へ向かって最後の接近を行い、その大気に突入。小惑星と同じように燃え尽きた。
宇宙空間に放置するのではなく、このように処理した理由は、生命の発見が期待されるエンケラドスやタイタンを汚染しないためである。
カッシーニは1997年10月15日に打ち上げられた。土星の軌道に進入したのは、2004年6月30日のことだ。最大の成果は、エンケラドスを覆う海と熱水活動の発見ならびにタイタンの液体メタンの発見である。
カッシーニの残した素晴らしい画像
遠くに見える土星の環の影が、白く輝くエンケラドスを引き立てる
エンケラドスのプルームを突っ切るカッシーニ
カッシーニの狭角カメラを使い、可視光で撮影されたエンケラドス
228万キロ先から撮影されたタイタンと土星
土星の環を背景とする衛星ディオネ
ディオネとエンケラドス
環上方に軌道を持つエピメテウス
環に隠れるかのような衛星プロメテウスとパンドラ
環の照らされていない側から見た土星の姿。その複雑さが窺える
タイタンとパンドラ。土星には数多くの衛星があり、それぞれサイズも形状も異なる
衛星テティス。衝突でできた巨大な凹みの中に天然物質とその質感が見える
土星を公転するミマスとパンドラ
タイタンには地球のような雲や湖がある
ディオネとテティス。
初期の土星周囲にあった環から形成されたと考えられている
References:NASA Jet Propulsion Laboratory / nasa/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
カッシーニ! 無事だったのね⁈
早急に地球へ無事帰還せよ!
2. 匿名処理班
宇宙のAM放送
3. 匿名処理班
なんて寂しい音なんだろう。
寂し過ぎる、を超えて、生命活動している生き物がゼロである事を認めざるを得ない、事実を思い知らされた気がする。
あの世の音、冥界、幽界の音、それしか思い浮かばない。まさに現実の死の音。まさに現実の鬼籍の世界の音。
ゴゴゴ、とかドドドド、ガガガガ、ドガン、ズガン、ズドーン、ていう、大地のぶつかり合う音が皆無である事実にビックリ!
土星は既に死んでいるのかもしれない。星の死体の1つであるのかも知れない。宇宙年齢からして、死んだばかり、死んで間もない、死後直後の姿の1つなのかも知れない。こんな所に大事なカッシーニを置いてはいけない! 今すぐ、早急に地球へ生還させるべきだ!
土星は美しいけれど、生きている華麗な美しさではなく、幽遠、死化粧を自ら起こした現象でもって、美しく幽淵にほどこした死美星。人間は、如何な知らずとは言え、死美星が放つ危険な幽美に見とれてしまっている、魅入られてしまっている最中なのかも知れない。