緑色のライトは、海の動物たちの希望の光になるかもしれない。新たな研究によって、漁網の一種である「刺し網」に緑色のLEDライトを取りつけると、海鳥であるウが誤って網にかかってしまう数が85%少なくなることがわかった。(参考記事:「海鳥の危機、過去60年で70%も減っていた」)
この手法は、もともとウミガメを救うために開発された。緑色が選ばれた理由は、この波長の光はウミガメには見えるが、魚には見えないとされているため。つまり、緑色の光を使えば、漁獲量を減らすことなく、ウミガメを追い払えるというわけだ。
ウミガメの仲間はすべての種で絶滅が危ぶまれていて、漁業による混獲は重大な脅威となっている。同じグループによる以前の研究から、漁網に緑色のLEDライトを付けることで、ウミガメの混獲数が64%減少することがわかっている。今回、学術誌「Open Science」に発表された新しい研究成果も合わせれば、緑色ライトはより多くの種を救える方法となるかもしれない。
緑色ライトの効果
漁業において、意図しない動物が網にかかることを混獲という。これについては漁師も保護活動家も避けたいと考えている。犠牲になっているのは、イルカやクジラ、カメ、サメなどあらゆる海の動物たち。すでに個体数が減っている動物に対してはさらなる追い打ちとなる。(参考記事:「若いホホジロザメの主な死因は漁網、研究成果」)
ライトの効果を見極めるため、英エクセター大学の生物学者ジェフリー・マンゲル氏はペルーの保護団体である「Pro Delphinus」とともに、ペルーのコンスタンテ沖で114の漁網について調査した。対象となった網の長さは、平均500メートルほどだ。
「この場所で試したのは、ウミガメに遭遇する可能性が高いからです」とマンゲル氏は話す。今までに、音波を発する装置を網に取りつけてイルカやクジラを遠ざけるという方法も試し、一定の効果を確認できた。海中で音波を発することでクジラなどを追い払えるのは、彼らが音波を使ってコミュニケーションをとっているからだ。一方で、鳥やウミガメを近づけない効果的な方法は、今まで見つかっていなかった。
ただし、鳥やウミガメがなぜ緑色のライトを避けるのか、その詳しい理由は科学者たちもまだ解明できていない。
「わかっているのは、効果がありそうだということだけです。現在の疑問は、『なぜうまくいくのか』ということです」とマンゲル氏は言う。