【PR】ロマン最新刊!【楽天】  Amazonでも発売中!
Home > サブカルチャー

スマホ表示はこちら

月イチ連載・各隔週月曜

瀬名あゆむのアイドル革命!

南にこの千葉からアイドル革命

隔週火曜

鈴木詩子の痩せる飯

毎週水曜

エスムラルダの勝手にワイドショー

隔週金曜

さよなら、くまさん

隔週金曜

美しさ勉強講座

予定変更することがあります

▼連載コラムバックナンバー▼

ブッチNEWS連載バックナンバーまとめ


最新号
  • 実話BUNKA超タブーVol.35
    実話BUNKA超タブーVol.35

    コンビニ・書店で7/1発売 通常毎月1日発売 550円(税込) 

    海外で危険視される物質が日本で野放し 発がん性物質含む食品実名リスト/やってはいけない老後対策/40代男性30年後地獄の現実/北朝鮮非核化詐欺で200兆円たかられるバカ日本/幸福度トップ5都道府県こんなに不幸/韓国はネット中毒大国/安倍政権移民受け入れで2021年日本破綻/OL座談会「こんな口説かれ方が気持ち悪い」/新宿ラーメン屋地獄めぐり/抗争カウントダウン/ ほか

  • 実話BUNKAタブー 2018年9月号
    実話BUNKAタブー9月号

    7/16発売 毎月16日コンビニ・書店で発売 480円

    カラダに危険な調味料実名リスト/オウム真理教麻原彰晃なぜ今殺さなければならなかったのか/『万引き家族』より悲惨ニッポン貧困家庭の現実/絶滅を応援 うなぎ一番まずいチェーン/韓国の犬の残酷な実態/紀州のドン・ファン事件に群がるクズ/沖縄観光地ヤバい/迷惑な老人への身も蓋もない対処法/絶望的に頭悪い愛国歌手たち/パブリックビューイングのサポーターに訊いた「あなた、日頃からサッカー好きなんですか?」/ホリエモン原作マンガ多動録 ほか

     ●当サイト連載杉作J太狼XE×ロマン優光の社会時評掲載中! 今月のテーマはラーメンのスープ全部飲む? 飲まない?/本屋が減っている の2本立て!

グラビアギャラリー
【コアな視点で知の可能性を探求する同時代人のための新書シリーズ・コア新書】

少年ジャンプが1000円になる日~出版不況とWeb漫画の台頭~/大坪ケムタ
↑漫画アプリはどうやって収益をあげているの?/各社Web漫画サイトのヒット戦略は?/出版不況本当はどれくらいヤバいの?
SNSは権力に忠実なバカだらけ/ロマン優光
↑これは百田尚樹へのラブレターである!
覚醒剤と妄想-ASKAの見た悪夢ー/石丸元章
↑本書はASKAへの応援歌である
文学としてのドラゴンクエスト 日本とドラクエの30年史/さやわか
春樹より深いドラクエの世界 ↑荻上チキ・Session-22(TBSラジオ)で特集!
暗黒ディズニー入門/高橋ヨシキ
愛と感動…だけじゃない! ↑ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル(TBSラジオ)で特集!
(Link to Amazon)
サブカルチャー 2018.07.13(金)

アイドルの「いい下手さ」とは:ロマン優光連載113

 


ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第113回 アイドルの「いい下手さ」とは

 アイドルを音楽という側面から考えてみると、それは不思議な存在であって、ボーカリストとして技術的にちゃんとしていることが必ずしも求められているわけではない。
 歴史を振り返って考えてみるに、現代のアイドルの雛型的なものが生まれた'70~'80年代、芸能の世界で若いタレントを使って商売をしようとする際、音楽というツールが利用されていただけのことであり、タレントの事務所サイドの全てに「素晴らしい音楽を作っていこう」という意思が必ずしも存在していたわけではないだろう。歌手としての未来を見据えて育てていこうとしていた事務所も存在するだろうが、多くは今どうやって稼ぐかということがメインだったのではないだろうか。しかし、タレントの事務所サイドの志が音楽的に低かろうと、実際に音楽を制作するのはプロの音楽人であって、ある意味グッズでしかないようなものを作るにしたって、いいかげんなものを作るのはプロのプライドが許さないわけで、クオリティの高い楽曲を制作しようとするのは基本的には当たり前のことだろう。
 しかし、実際に歌う人間の多くは音楽的な才能によって選ばれたわけではなく、人気者になる才能を見いだされた人間なわけで、必ずしも歌手としての技量が備わっているわけではない。初期のアイドルポップスの多くは高い音楽性とつたない歌唱によって構成されるミスマッチな音楽だった。
 単純な意味での音楽としての完成度を考えればマイナスでしかないのだが、多くのアイドルポップスにとって一番重要なのは、誰が歌っているかということだ。あくまでタレントがメインであり、音楽はメインではない。 歌をを売ろうとしているわけではなく、タレントを売ろうとしているわけで、音楽はタレントが媒体に出るための手段であって目的ではないのだ。そのために制作されているのだから、ボーカリストとしての技術があろうがなかろうが、その人でやるしかない。どんなに音痴だろうがリリースされることになる。
 そういった部分をアイドルファン以外の人たちはバカにする傾向があったし、まともな音楽として認められていないものであったのだ。もちろん、いわゆる歌手としての才能を発揮したアイドルもいて、世間に広く受け入れられることもあった。しかし、そういった人たちは「アイドルを超えた」「もはやアイドルではない」という言説で評価されていたわけで、アイドル自体はやはり低いものとして世間の多くの人に認識されていた。

アマチュアリズム溢れる歌声が評価されるようになる

 そういった異形の音楽として初期アイドルポップスは存在していたわけだが、そこに音楽としての価値を見出だす人も生まれてくる。世間で下に見られているアイドルポップスの楽曲や演奏の素晴らしさを持ち上げてみせて自分の音楽的な知見を誇示したいだけの逆張り的な人間もいたが、それより重要なのはアイドルポップスの声の魅力に注目した人々だろう。矯正されていない声。コントロールされていない歌。そういったものの魅力に囚われた人たちだ。フォークやアンダーグランドのロック、パンクロックといった古典的なショウビズの世界ではない音楽、体系的に訓練された肉体から発せられるのではない、訓練されない肉体から発せられる素の歌声から溢れる個性と情感に対して魅力されるのと同じものであっただろう。ようするにアマチュアリズム溢れる歌声を好むということだ。現代においては、ある意味においてアイドルポップスの古典的な評価軸の一つとなっている価値観だ。
 また、物心ついた時にはアイドルポップスが普通に流れていた世代、30代後半から40代の人々は、最初からそれを普通に音楽として聞いていたわけで、その異形性を音楽的な魅力として自然と捉えるようになった人もいるだろう。おニャン子クラブ世代でSPEEDをアイドルとしては受け止められなかった人たちは、そういった部分の刷り込みが大きかったのだと思われる。おニャン子クラブが残した訓練されない歌声の数々は、それ以前のアイドルポップス(伝説的にすごい歌唱の人もいたが、それは例外だから伝説的なのだ)のそれよりも格段に飛躍したものであり、マニアックな聴き手のアイドルの歌声に関する意識に影響を強く与えたと思われる。また、この世代の思春期から青年期にあたる時期には、洋楽的にはパンク/NWの人気もある程度高く、国内でも自主制作ブーム、インディーズブーム、バンドブーム、欧米に連動したオルタナティブなバンドシーンの形成といったこともあり、そのためか、アイドルとパンクの類似性について発言する人間が多い世代でもある。
 本来であれば、マニアックな領域でしか聴くことができないようなアマチュアリズム溢れる歌声が日常的に媒体を通じて流れていたのはおかしな話で、それは欧米の芸能の世界に比べて、日本のそれが刹那的で雑だったということのおかげだろう。短期的に雑に金を稼ごうとしたおかげで、そういった歪な商品を流通させることになり、独自の音楽的な文化をつくることになったのだから、「おかげ」というしかない。ありがたい話だ。偶然産まれたクオリティ高い楽曲にアマチュアリズム溢れる歌声をのっける手法を意図的に行われるようになっていく過程の中でアイドルポップスは成長していったのだ。もっとも商業的な音楽が、歌声のアマチュアリズムをもっとも体現するジャンルの一つでもあったのは非常に奇妙な出来事ではある。
 当然ながら、こういった歌声に魅力を感じるのは一部の好事家のものである。わかりやすく上手い歌に引かれるのが普通の感覚なのは言うまでもない。ただ、そういう「素」の歌声を生かすことは日本のアイドルポップスの魅力の一つであったわけで、その文化は残っていて欲しいとは個人的には思っているし、単純にそういうものが好きなのだ。地下アイドル、インディーズ・アイドルが増え続ける現代では、楽曲自体の方向性が多岐にわたるようになり、いわゆる商業的なポップスとは違うものを演じるアイドルも存在するようになった。そういったアイドルの中で、今まで語ってきたようなアイドルの歌声の魅力が引き出されているものの一つが、〝みんなのこどもちゃん〟というグループだ。ハードコア、ダークウェイブ、インダストリアルの影響が強いハードでラウドな音楽性の演奏をバックにしながらも、デスボイスやスクリームといった手法に逃げない、女の子の「素」の歌声が聴け、その低体温を感じさせる淡々としたテンションゆえに逆に強い情感が産まれている。彼女たちのファースト・アルバム『壁のない世界』はそういった観点からも一聴の価値があると思う。
 今回、アイドルポップスにおける「歌声」に絞って考えてきたわけだが、いわゆる「歌の上手さ下手さ」とは関係ないアイドルの意図的な歌唱方や声の出し方や、歌い手ありきだからこそ音楽的に冒険できるといった話は、今回の話に関連性が高いとは思うものの別の機会に譲りたいと思う。

(隔週金曜連載)

おすすめCD:壁のない世界/みんなのこどもちゃん(OUCHI MUSIC/販売ウルトラ・ヴァイヴ)
https://books.rakuten.co.jp/rb/15416224/

★ロマン優光最新刊 ご注文ください★
「SNSは権力に忠実なバカだらけ」ロマン優光(コア新書/コアマガジン)
https://books.rakuten.co.jp/rb/15204083/

★ロマン優光のソロパンクユニット プンクボイの最新作CD「stakefinger」★
https://books.rakuten.co.jp/rb/15176097/

★新書前作のご案内★
『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』/ロマン優光(コア新書/コアマガジン)
http://books.rakuten.co.jp/rb/14537396/

★新書前々作は電子書籍でも発売中★
『日本人の99.9%はバカ』(コア新書/コアマガジン刊)は紙では手に入りづらいかもしれませんが、電子書籍ですぐに買えます!

★「実話BUNKAタブー」(毎月16日発売)で杉作J太狼XEと社会時評対談連載中!★2018年9月号は今月のテーマはラーメンのスープ全部飲む? 飲まない?/本屋が減っている の2本立て!

【ロマン優光:プロフィール】
ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。現在は、里咲りさに夢中とのこと。twitter:@punkuboizz

おすすめCD:『蠅の王、ソドムの市、その他全て』/PUNKUBOI(Less Than TV)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13292302/

連載バックナンバーはこちら
https://wp.me/p95UoP-3N (コピペして検索窓に)


4
277



関連記事

吉田豪最新刊!


▲売れてます!ロマン優光最新刊

全国書店・ネット書店で発売中!


おすすめ記事
人気投票ランキング
ブログ
記事提供元




ブッチNEWSは「スマホ」と 
「PC」でお愉しみいただけます。 
(ガラケー非対応) 







募集のお知らせ…PC/スマホ配信提携先、アプリ制作業者、月額広告、広告供給業者を募集しております。右下「運営方針」をご参照下さい

 

[PR]

運営者情報
タグクラウド
おすすめ エスムラルダ 鈴木詩子 ロマン優光 杉作J太郎 男の偏差値がぐんとアップする美しさ勉強講座 美しさ勉強講座 新日本プロレス 山口明 アイドル 童貞 ロコドル ローカルアイドル フジテレビ 瀬名あゆむ 韓国 中国 枡野浩一 オススメ
Powered by Vivvo CMS v4.6