姫路駅名物「まねきのえきそば 天ぷら / きつね」@日清食品

どうも、taka :aです。

本日の一杯は、2018年7月9日(月)近畿限定発売、日清食品まねきのえきそば天ぷら」「まねきのえきそばきつね」のレビューです。

ちょっとローカルなカップ麺ですが、お店の起源や歴史なども書き添えているので、各位お読みいただけましたら幸甚に存じます。

姫路駅名物「えきそば」

他県の皆様におかれましては、兵庫県といえば真っ先に「神戸」が思い浮かぶかもしれませんが、「姫路(ひめじ)」も神戸に匹敵する兵庫県の代表的な都市です。古都京都の文化財や広島の原爆ドーム・厳島神社よりも早く、奈良県の法隆寺地域の仏教建造物と同時期に日本初の世界文化遺産に登録された、日本100名城などにも選定されている “白鷺城” こと「姫路城」があり、2014年に放送された岡田准一氏主演のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」で注目を浴びたことから、より知名度は上がったかもしれません。そんな姫路の主要駅「姫路駅」にある、「駅そばまねき」の「えきそば」を再現した製品が今回のカップ麺です。

「まねき食品」は、明治21年(1888年)創業、「お客様を “お『まねき』” する」というのが社名の由来です。公式ホームページを見ると、「人=man」が行き交う「駅=eki」というキャッチフレーズも掲げられていますね。明治21年、現在のJR姫路駅付近で茶店「ひさご」を開いていた初代・竹田木八氏が、山陽鉄道の開通を機に翌年から弁当の販売を始め、今でこそ各ご当地の駅でも定番となっている「幕の内弁当」ですが、それを日本で初めて “駅弁” として導入したのは「まねき」と言われています。当時12銭(米が1升6銭の時代に12銭ですから諸々の計算を踏まえて換算すると現代で税込1,600円ほど)もする高級な駅弁だったのだとか。まぁ駅弁って現代でも容器と思い出はプライスレスの上乗せがあって基本お高いでs

さて、「えきそば」の起源について少し解説します。昭和24年(パッケージにも書かれている1949年)10月19日、麺類に寛大な今でこそ軽く許容できそうな “黄そば(きぃそば・中華麺)に和風だし” という当時ミスマッチ感ハンパなかったであろう麺類が姫路駅ホームにて爆誕しました。その誕生までには紆余曲折あったようで、終戦後の何もない経済混乱期に統制品であった小麦粉の替わりに “こんにゃく粉” と “そば粉を混ぜた麺類を販売していたらしく、しかしながら腐敗速度の問題やコシの弱さなどから試行錯誤の結果、 “かんすい” を使用した中華麺に落ち着いたそうです。こんにゃく練り込み麺といえば、現代のカップ麺だと東洋水産の「マルちゃん正麺 カップ」に使われているノンフライ麺が真っ先に思い浮かんだりもするのですが、実は「まねき」がパイオニアと言えるかもしれませんね。

お品書きは「えきそば」(「天ぷら」「きつね」各360円)の他に「和そば」や「うどん」(各400円)もあり、14:00~17:00は「えきそば」タイムサービスとして、天ぷら・きつねともに320円になるそうです(2018年7月13日現在)。JR姫路駅構外にも「マネキダイニング イオンリバーシティ―店」「マネキダイニング加古川店」「えきそばグランフェスタ店」「えきそば大手前店」「えきそばJR元町店」などがあるのですが‥もれなくローカルに兵庫県縛りですね。「かき揚げえきそば(温)460円」という姫路駅在来線上り下り・マネキダイニング加古川店・えきそばグランフェスタ店のみで販売されている限定メニューもあり、同店で提供しているカレーライスのルゥをかけた「Maneki Dining」でしか味わえない限定メニュー「カレーえきそば」(2015年7月27日に日清食品がカップ麺化)などもあるそうです。

今回の「まねきのえきそばきつね」「同 天ぷら」は近畿地区限定発売のカップ麺なので、全国的な知名度は低いかもしれませんが、近畿地区に住まわれている方は「あ、また出たな」と店頭で思われた方も多いでしょう。こちらでは準定番品の位置付けにあるカップ麺ですが、腰を据えて食べたのは何年も前になるので、あらためて真剣に向き合ってみます。

▼左「まねきのえきそば天ぷら」/ 右「まねきのえきそばきつね」

▼「まねきのえきそば天ぷら」

▼「まねきのえきそばきつね」

姫路駅名物「まねきのえきそば」をカップ麺で再現! かつお節、さば節のきいた和風だしと中華麺が合わさった「まねきのえきそば」の人気メニューです。

(日清食品ホームページ「製品」より引用 ※製品説明は共通です)



かやく

【原材料】

「天ぷら」かやく(天ぷら)

「きつね」かやく(味付油揚げ)

まねきのえきそば天ぷら

天ぷらは “先入れ” です!

わざわざ個包装になっていますが、「先入れ」と書いてあるように、熱湯を注ぐ前に入れるのが正攻法です。そして心を鬼にし、天ぷらに向かって熱湯ダイレクトアタックかましてください。そうすることで4分後にはフワフワの天ぷらが出迎えてくれるのですが、ふにゅふにゅ‥っと軽く箸先で崩してから “かっこむ” ように食べるのがオススメです。(※ヤケドに注意)

天ぷらは後のせサクサクだろーが!という紳士淑女の皆様にはウケが悪いかもしれませんが、このフワッフワな柔らかい天ぷらが “まねき流” なので、何はともあれ先入れにトライしてみてください。ちなみに「日清のどん兵衛 天ぷらそば」に入っている天ぷらには小海老天の他にも2色の揚げ玉やアオサなどがトッピングされていますが、こちらは海老のみ。実際の「天ぷらえきそば」にも海老しか入っていないので、再現度は高いと言えるでしょう。そうです、断じてコストをカットした挙げ句 ショボく 簡素になったわけではないのです。

まねきのえきそばきつね

どん兵衛と同じです(※たぶん)

おそらく、「日清のどん兵衛 きつねうどん」に入っている味付け油揚げと同じでしょう。乾燥状態では少し頼りなく見えたのですが、結果ふっくらジューシーな大判の油揚げで、甘濃い味付けにホッとします。実際の「きつねえきそば」に入っている油揚げと比較して、ふっくら感はカップ麺が上かもしれない(笑)つゆに与える影響については、次の項目で解説します。

つゆ

【原材料】

「天ぷら」スープ(食塩、粉末しょうゆ、魚粉、ねぎ、一味唐辛子、たん白加水分解物、糖類、昆布調味料、酵母エキス、植物油脂)

「きつね」スープ(食塩、粉末しょうゆ、魚粉、ねぎ、一味唐辛子、たん白加水分解物、糖類、昆布調味料、酵母エキス、植物油脂)

まねきのえきそば天ぷら

天ぷらのコクが多大な貢献を見せます

後述する「きつね」は油揚げの味付けが滲み出し、和風だし重視でありながらキリッとした面持ちを備えているのですが、こちらは淡麗系の味わいとなり、醤油のニュアンスは濃口よりも薄口寄りの雰囲気でしょうか。前述した「かやく」の項目で天ぷらを崩してから‥と書きましたが、なんだったら軽く‥いや、豪快に混ぜちゃってもヨシです。←豪快に混ぜちゃう派です

天ぷらを和風だしに一体化させることで小海老天の芳ばしい風味がスープに乗り、加えて小海老天とは違う天ぷら(衣)の芳ばしさと特有のコクが淡麗系の和風つゆにボリュームを与え、その表情は一変します。この時点で、もはや「きつね」とは別物ですね。それこそ天ぷらが柔らかくなってきた時の雰囲気は、「日清のどん兵衛 天ぷらそば [西] 」ないし「日清のどん兵衛 かき揚げ天ぷらうどん」に近い味わいかもしれません。あ、一味唐辛子は写真(3枚目)のように天ぷらの上にかけるのがセオリーです。(※雰囲気の問題ですが)

まねきのえきそばきつね

日清のどん兵衛 きつねうどん [西] に近い

添付の粉末スープは同じですが、前述したように具材の違いで味の仕上がりは大きく異なります。「きつね」は味付け油揚げから甘辛い醤油の風味が滲み出て、なおかつ油揚げがスープを熱湯を吸収するので、「天ぷら」と比較して味が太く、甘濃い味に仕上がります。で、やはりベースは西日本向けに発売されている「日清のどん兵衛」の粉末スープがルーツですね。

おそらく味付け油揚げは「日清のどん兵衛 きつねうどん」に入っている油揚げと同じだろうと書きましたが、あの油揚げから滲み出る成分は味の決め手と言っても過言ではなく、さらに粉末スープが和風だしを重視している「西のどん兵衛」に近かったので、 “どん兵衛きつねうどんは西派” の方々は手放しに楽しめるでしょう。 “東派” の方にとっては少し頼りない味になるかもしれませんが、だし重視の和風つゆもオツですよ。

めん

【原材料】

「天ぷら」油揚げめん(小麦粉、植物油脂、食塩)

「きつね」油揚げめん(小麦粉、植物油脂、食塩)

麺は共通ですが‥

日清食品の「有名店シリーズ」らしくスパッと軽快な歯切れが心地好い、しなやかで上品なストレート麺で、麺の種別は油揚げ麺になりますが、油揚げ麺特有の野暮ったさは控えめです。しなやかな質感は、えきそばに使われる黄そばのイメージにピッタリですね。まぁ実際そこまで黄色くはないのですが‥イメージとしては「日清のどん兵衛」に使われている蕎麦のベクトルに近い質感なんですけど、かんすい特有のコシと弾力が得られます。

意外と経時劣化耐性にも優れており、基礎クオリティの高い日清食品だからこそ当然のように思えますが、希望小売価格180円(税別)のレギュラーサイズ・どんぶり型の油揚げ麺としては他社の追従を許さない、まるで異例の品質であることが体感できるでしょう。

ちなみに「きつね」「天ぷら」とも麺は同じで、どちらも麺の重量は65gです。和風だしに中華麺と言われたら一見するとミスマッチに思える組み合わせかもしれませんが、山形の「鳥中華」しかり、これがフツーに問題ありません。もし小麦感あふれる生麺だと繊細な計算が必要になりますが、カップ麺の場合は特に違和感なく楽しめると思います。熱湯3分で食べ始めると部分的にサクサクした食感が残り、しなやかさに欠ける状態からのスタートになってしまうので、ポテンシャルを最大限に引き出すためにも熱湯4分きっかり守るのがオススメです。

総評

【天ぷら】★★★★★☆☆☆☆☆(5+)
【きつね】★★★★★☆☆☆☆☆(5)

(標準は★3です)

「中華麺+和風だし」と、このように紹介されると馴染みのない方にとっては疑問符が浮かぶ組み合わせになってしまうかもしれませんが、おそらく実際は大多数の方が違和感なく楽しめると思いますし、好みに合えば数回はリピート必至のカップ麺になるかもしれません。私taka :aは総評で「天ぷら」を贔屓目に評価していますが、関西在住のブログ仲間からは「きつね」派という意見もありますので、好みに合わせてチョイスしていただければと思います。

近畿地方から遠い方はネットでしか購入できないカップ麺になってしまいますが、販売圏外の方にとっては話のネタになると思いますし、お友達とシェアしたりカップ麺が好きな方に差し上げたら物珍しさに喜んでいただけるかもしれません。麺は油揚げ麺ですが、しなやかな質感はレギュラーサイズ・どんぶり型という土俵の中では逸脱したクオリティですし、和風だしを重視している「西」の「どん兵衛」が好きな方も、おそらく手放しに楽しめるでしょう。

関西でいうところの「ハイカラ」(関東でいうところの「たぬき」)が好きな方には、やはり「天ぷら」がオススメです。ふやけた天ぷらが生理的に許せない方には無理強いさせられませんが、そうでなければ天ぷらは先入れ推奨ですよ。どん兵衛で馴染みのある甘辛い味付け油揚げが好きな方は、きつねを選べば大きくコケることはないでしょう。近畿地区にお住いの方は今年も毎度お馴染みのクオリティを保っておりますので、安心して手に取ってください。いつも見かけるけど試したことはない‥という方は、これを機に試してみてはいかがでしょうか。



【製品情報】

© Posted by taka :a

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