AquaKana FAQ
OSXのシステムフォント[AquaKana]についての色々を2003年頃、FAQ方式で書き留めたものです。
既に情報として古くなってしまいましたが、検索エンジン経由で来る人がたまにいるのでファイルを復活させました。
このページとは別にblogの方に関連エントリーをいくつかアップしています。
AquaKanaって何?
OSXのシステムフォントの一つです(たぶん)。画面上部の「メニューバー」で使われているフォントです。
ただし、仮名だけのフォントなので、ひらがな/カタカナしか存在しないようです
(「ファイル」「ブックマーク」「ウィンドウ」「ヘルプ」がAquaKana)。
じゃあ、漢字やアルファベットはどうしているの?
多分、漢字はヒラギノ角ゴシック Pro、欧文(数字とアルファベット)はLucida Grandeを使用しているようです。
フォントのファイルはどこにあるの?
ハードディスクの中のフォルダ、システム(System)→ライブラリ(Library)→Fontsの中に、
AquaKanaRegular.otf
AquaKanaBold.otf
というふたつのOpenType形式のフォントがあります。これがそうです。
Osakaやヒラギノファミリーと同じ場所じゃない。何でフォントメニューに現れないの?
多分、ファイルの名称に関係があります。
ファイルを選択して[情報を見る(command+I)]と、見慣れない、[フルネーム]という欄が現れます。これらのファイルはそれぞれ、
.Aqua Kana
.Aqua Kana Bold
と表示されます。
実は、この[フルネーム]が(英語アプリケーションの)フォントメニューに表示される名称(ローカライズされたアプリの和文名称はまた別)です。
で、この頭についた「.(ピリオド)」が原因だとにらんでいます。
ファイル名の頭に「.(ピリオド)」のついたファイルは不可視属性を持ちます。
同様に、フルネームの頭に「.(ピリオド)」がついているために、ユーザーには見えなくなっている(仕様になっている)と思われます。
※開発関係者でないので、あくまでも想像です。多分正しいと思うのですが……。
じゃあ結局ユーザーは使えないの?
ファイルを変換する事により、使う事ができます。
Windows用のOpenTypeフォントエディタ、OTEditを
使って、Windowsマシン上で変換する事ができます。その際にフォント名称(和名/英名)をたとえば、[Akua かな/AkuaKana][Akua かな ボールド/AkuaKana Bold]として、再びMacintoshの[Fonts]フォルダに(別のファイル名で/上書きはダメです)入れれば、その名称でフォントメニューにすぐ現れます。
追記:OTEditのMacintosh版が既に出ていました。変換作業はMacintosh内だけで完結します。
また、Safariのみですが、htmlのフォント指定として使う事ができます(↓カーソル入ります)。
アクアかな
アクアかなボールド
Aquakana Regularは、font-family: Aquakanaで、Aquakana Boldは、font-family: Aquakana-Boldで指定できます。ただし、太字タグなどは一切使えません。また、なぜこの指定で表示できるかは不明です。これは、フォントの制約でなく、ブラウザの仕様の問題です。
OTEditでAquaKanaの「フォント情報...」「詳細...」をみると、このように表示されます。
「フルフォントネーム(英語用)」と「PostScriptネーム」のみ、先頭のドットが省略されているので、かろうじて使用可能であることがわかります。
一方ブラウザの方は、今のところSafari(webkit)だけが、フルフォントネーム(英語用)/PostScriptネームの指定を理解し、表示します。
フルフォントネームは、単独のフォント(のみ)を指定するための名称であり、「ファミリー」の概念が含まれません。したがって、太字を指示してもそれを解釈することができません。
フォントファイルを変換して使うってライセンス違反じゃないの?
多分そうだと思います。ただ、OSに始めから入っているフォントを(途中でwindowsに移動するとはいえ、)そのOS上で使うわけですから、いわゆる「違法コピー」とは違うような気もします。変換したフォントはOpenTypeなので、WindowsXPでそのまま使う事も可能です。もちろん、この場合は完全に違法です。
でも例えば、誰かがフォントの[フルネーム]を編集するOSX用のユーティリティを開発したとしたら、それはどういう事になってしまうのでしょうか……。
(050117補足)……と思ったらそういうことができるソフトが既にあるようです。FontForgeという、unix用のソフトをX11用に移植したものを見つけました(以前2ちゃんねるのスレッドに書き込まれていました/私は使ってみてはいません)。
もう、この手のフォントは他にないの?
件の[Fonts]フォルダには他にも、
Keyboard.dfont(フルネーム:.Keyboard/先頭にドットがついているのでメニューバーには現れません)
LastResort.dfont(フルネーム:Last Resort/なぜかメニューバーには現れません)
等の謎のフォントがありますし、
また、フォントメニューに現れる(≒すぐに使える)もので、
#PCMyungjo(謎のクラシカルな明朝体)
#PilGi(謎のゴシック体)
AppleGothic(「ヘタ」としかいえないゴシック体)
AppleMyungjo(年賀状向きのクラシカルな明朝体)
など、様々なフォントがあるようです(追記:2バイト文字圏のフォントに無理やり仮名を入れ込んでいるようです)。
(上:AppleGothic 下:AppleMyungjo 例文:「愛」のある、ユニークで豊かなfont。)
この手のフォントを探索したかったら、[Fonts]フォルダを探せばいいの?
そうなんですが、[Fonts]フォルダはたくさんあるのです。まず、検索でヒットする「Fonts/fonts」フォルダはたくさんありますし、また[Fonts]フォルダに入っていないフォントもあります。例えば、
システム(System)→ライブラリ(Library)→CoreServices→Setup Assistant→Contents→Resources
の中の、[Setup Assistant.dfont(フルネーム:Apple Garamond
BT)]というアップルの旧制定書体などは、[Fonts]フォルダに入っていません。さらに、こちらはアプリケーションの「パッケージ」の中に入った
フォントなので検索してもヒットすらしません。もちろん「不可視」なものも含めての検索です。このアプリケーションが使用する専用のフォント、という事な
のでしょう。偶然見つけて、しかるべき[Fonts]フォルダにコピーすれば、使えるようになるのですが、それこそ、「シラミ潰し」にやるしかないようで
す。(070719補足)あらら、Tigerにはもう入ってませんね……。
こんな事やって何になるの?
……。さあ、何になるのでしょう。暇つぶしにはなりますが……。でも、面白くないですか?
補足
[AquaKana]の使われている場所ですが、メニューバー(プルダウンメニュー含む)の他に見つけました。
Carbonアプリケーションのウィンドウタイトルのかな文字がそうです。で、Cocoaアプリケーションのウィンドウタイトルは違うようなのです(こちらはヒラギノ角ゴシック≒Lucida Grandeです)。
Internet Explorer 5.2.3
Safari 1.0
不思議ですね。でも、アプリケーション開発をしている人たちは「けっ、何をいまごろど素人が大発見したつもりになって(藁 」などとと思っているのでしょうね。
謝辞
このような無意味な行為のモチベーションを維持出来たのは、
MacPeople編集部、漢エビハラ様の記事と
google検索のキーワード「AquaKana」でヒットした「aro」様の2001年10月17日の日記
に拠るところが大となります。おふた方とは、お会いした事もメールの交換もした事はありませんが、お礼申し上げます。
修正履歴
080601 なぜかいまだにアクセスがあるのでこまごまと加筆。
070719 検索エンジン経由で来る人のために再現。最低限の加筆。
050117 ユーディリティを見つけたので加筆。
041110 html用の指定方法を追加。
030922 画像を追加。
030920 とりあえず作成。
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