プログラマーの仕事内容を徹底解説します!

コードを書くだけではない?プログラマーの4つの仕事内容を徹底解説

プログラマーの仕事内容は、人の思いをソフトウェアと言う形にすることです。ただのアイデアを文字通り何もないところから形にして、新たな価値を創造できるのです。

例えば皆さんご存知の、AppleAmazonGoogleFacebookTwitterなどの著名なIT企業は、革新的なサービスを創造して世に問い、文字どおり世界の在り様を変えました。彼らには革新的なアイデアがありましたが、アイデアだけでは絵に描いた餅です。それらのアイデアを具体的な形にしたのは、プログラマーの仕事なのです。

そして、プログラマーは現代のライフスタイルを支える様々な仕組みを創り出し、維持しています。まさに、世の中にとって必要不可欠な仕事です。仕事のスタイルは時代により変わるでしょうが、なくなることはないでしょう。

この記事では、そんな「プログラマーの仕事内容」について、プログラマーという職業を知らない・身近に感じたことのない方に、ぜひとも知っていただきたいことをお伝えしていきます。

1.プログラマーの仕事内容とは

プログラマーは、プログラムを作ることの専門家です。ですが、プログラマーの仕事はそれだけではありません。プログラムを作るのに必要なことを理解したり、プログラムを作った後のフォローもプログラマーの仕事です。

ここでは、プログラマーの仕事内容について、始まりから終わりまでをざっと眺めてみましょう。

1-1.仕様の理解:システムへの要求事項を、どう実現するか考える

プログラマーの仕事は、どんなプログラムを作ればいいのか、しっかり・じっくり理解するところから始まります。何を作ればいいのかが分からなければ、プログラマーはプログラムを作れないのです。

このような、プログラマーが作るべきものが書かれた設計図のような文書を、設計書や仕様書と呼びます。仕様書は、設計者という役割の人が作成して、プログラマーへ引き渡します。

設計書のER図の例

詳細設計書

プログラマーはプログラムを作るため、仕様書の他にも、システム全体の設計図であるアーキテクチャ設計書や、システムそのものへの要求事項をまとめた要件定義書を読み込むこともあります。

1-2.プログラミング:仕様をプログラムに翻訳する

プログラマーは何を作るかを理解したら、プログラムを作り始めます。これこそがプログラマーの仕事の醍醐味ですし、プログラマーのスキルやクリエイティビティが最も発揮されるところです。

プログラマーは普通の言葉で書かれている仕様書を、プログラミング言語で書かれた「プログラム」に翻訳し、コンピュータが解釈して動かせるものを作り出します。これが「プログラミング」です。

作るもの 主なプログラミング言語
WEBサービス Java、C#、C++、Python、Ruby、Perl、PHP、JavaScript、SQL
スマホアプリ Java、Kotlin、Objective-C、Swift
IoTデバイス・OS C言語、アセンブリ言語、マシン語
科学技術計算・事務処理計算 FORTRAN、COBOLR
人工知能・プログラムの研究 LISP、HaskelProlog

プログラミング言語は、コンピュータが理解しやすいよう人工的に作られた言葉なので、日本語などとは記述方法が全く違います。ですから、プログラマーにはプログラミング言語を上手く扱うための、特別な知識やスキルが必要なのです。

そして、プログラムはプログラマーが作ったとおりにしか動きません。コンピュータにやって欲しいことの「全て」を、プログラマーはプログラムへ漏れ・抜けなく書き下さなければなりません。だから、プログラマーはプログラムを作る前に仕様書をしっかりと読み込むのです。

さらに、プログラマーが良いプログラムの作り方を知っているかいないかで、プログラムの品質やメンテナンス性が、良い方にも悪い方にも簡単に変わってしまいます。これがプログラマーの仕事が難しいと言われる理由の一つです。

1-3.テスト:プログラムを仕様どおりに動くようにする

最初から全て仕様どおりにプログラムを作ることができる人は、残念ながら世界のどこにもいません。プログラムができたと思っても、仕様どおりでない箇所が必ずあるものですし、そのような箇所はプログラムをいくらしっかりチェックしても見つけるのは難しいのです。

ですから、プログラムを動かして確認します。これが「テスト」です。プログラムを動かした結果と、仕様書に書いてある内容を比べます。仕様書どおりでないなら、プログラムを見直して修正し、再びテストを行います。これを繰り返してプログラムの品質を高めます。これが「デバッグ」です。

テストとデバッグでは、とても地道で地味な作業が長く続きます。ですが、きちんと動くプログラムを作るのがプログラマーの仕事であり責任ですから、この作業は絶対にないがしろにはできません。

そして、プログラムを書くより、テストの方がずっと長くかかるものです。作るシステムの大きさにもよりますが、プログラムを作る時間とテストの時間の比率は、1:3以上となります。このように、プログラムのテストは時間がかかる大変な作業なのです。

1-4.保守:プログラムをメンテナンスする

テストまで終われば、プログラマーの仕事の成果物であるプログラムとテストの結果が揃います。ここでプログラマーの仕事は一旦終わりますが、ここからプログラムをメンテナンスする仕事である「保守」が始まります。

テストに使える時間には限りがあるので、バグを完全に取り除くことはどうしてもできません。ですので、お客様がプログラムを使っている時に見つかったバグを取り除く作業が必要になってきます。

また、プログラムの集りであるシステムは「生き物」ですので、ずっと変化し続けます。システムがある限り、お客様から機能の追加などのご依頼があり、プログラムの追加や修正をする作業が続くのです。その作業もプログラマーの仕事です。

保守でプログラムを追加・修正する時は、今あるプログラムに影響を及ぼさないよう、慎重に作業を行わなければなりません。また、修正でプログラムが動かなくなってしまってはいけないので、修正した箇所は再びテストします。

このように、保守では新しくプログラムを作っている時とは違った気遣いが必要です。しかも、プログラムを作った人と保守をする人が違うのも普通なので、あらかじめ保守しやすいようにプログラムを作っておくといった、気配りも必要です。

2.プログラマーの仕事内容は4つの段階によって異なる

プログラマーはその仕事を通じて成長していきます。ここでは、プログラマーの成長の4段階についてお伝えします。

2-1.普通のプログラマー:仕様書どおりにプログラムを作る

普通のプログラマーは、仕様書どおりにプログラムを作ります。「そんなことは当たり前ではないか?」と思われるでしょうが、これがなかなか難しいのです。

仕様書は設計者が普通の言葉で書いたものです。人間が作ったものですから記述にはミスや漏れもありますし、プログラムを作るのに必要なことが全部書かれていないかもしれません。

それに、仕様書はプログラミングが分からない人が作ることが多いので、プログラマーにとってわかりづらい内容であることがよくあります。その場合は、仕様書に書かれていることがどういうことか、プログラマーが自分で読み解く必要があるのです。

ですから、普通のプログラマーは「この仕様はどうやってプログラムすればいいのだろう」といつも悩みつつ、仕様どおりに動くプログラムを何とか期限内に作り上げるために、日々頑張っているのです。

2-2.イケてるプログラマー:仕様書どおりにプログラムを作らない(ことがある)

プログラマーは仕様書のとおりにプログラムを作るべきではない場合があります。仕様書に誤りがあったり、使っているプログラミング言語やツールでは簡単には作れない仕様であったりなど、理由は色々です。また、仕様書どおりにプログラムを作ってしまっては、プログラムに要求されている性能を満たせないこともよくあります。

その時に、イケてるプログラマーは設計者へ報告・連絡・相談をして、仕様を変えられないか働きかけます。仕様のまま作ってはダメと分かっている状態ではプログラムを作りません。

もちろん、どうして仕様を変えなければならないのか、どう仕様を変えるべきかを、設計者にきちんと理解・納得してもらわなければなりません。その説明はプログラムの専門家であるプログラマーの仕事です。

この様なイケてるプログラマーになるには、自分から進んで動かなければなりません。仕事に対して受け身ではいけません。この段階になれたのなら、プログラマーとして一皮むけたということです。この段階になれないプログラマーは多く、ほとんどの人が普通のプログラマー止まりです。

2-3.すごいプログラマー:チームでプログラムを作る

さて、こんなイケてるプログラマーでも、まだ上の段階があります。イケてるプログラマーは、まだ個人としての仕事しかできていません。システムを作る仕事はほぼ必ずチームでの仕事なので、「チームの視点」が必要なのです。

すごいプログラマーは、高いプログラミングスキルを持つのはもちろんのこと、チームが上手く仕事をできるようになるためのコミュニケーションスキルを併せ持った人です。この段階のプログラマーはすごく数が少ないのです。

例えば、すごいプログラマーは、プログラマーのチームへどんどん働きかけます。自分は仕様どおりにきちんと動くプログラムを当たり前のように作りながら、周囲のプログラマーもきちんと動くプログラムを同じように作れるよう、チームメンバーが作ったプログラムのチェックや、プログラムの作り方のノウハウの共有を、自分から進んで行うのです。

この様に、チーム内のプログラマー「全員」がきちんと動くプログラムを作れるようになれば、プログラムの集りであるシステムもきちんと動くようになります。それが続けば、きちんと動くプログラムとシステムの作り方が、そのチームの文化になるのです。

2-4.ものすごいプログラマー:システムを創る

さて、すごいプログラマーの活躍で、チームがきちんと動くプログラムを作れるようになっても、さらに上の段階があります。この段階まで来ると、プログラマーとシステムエンジニア、あるいは上流工程担当者と呼ばれる人達との区別が曖昧になってきます。

ものすごいプログラマーは、システムそのものの在り方を方向付けます。つまり、お客様からの要件を実現するためにはこのようにシステムは作られるべきだ、という視点から、システムを作るという仕事全体をグイグイと引っ張っていくのです。

例えば、お客様が要求している業務をどう実現するか、どういう部品や仕組みを使ってシステムを効率的に作るか、いかにして作りやすくしかもメンテナンスしやすいシステムにするか、などの観点で心を砕きます。

このような仕事をする人は、アーキテクトと呼ばれることがあります。アーキテクトは、プログラマーとして最も高いところに登った段階と言えるかもしれません。

ここからさらに高い段階となると、お客様の業務全体を再設計したり、お客様の課題へ根本的な解決案を提示するコンサルタントの仕事になるのですが、アーキテクトとしての知識や経験を持ったコンサルタントは、まさに無敵の存在なのです。

3.段階にかかわらず全てのプログラマーが心得とする事

さて、プログラマーの仕事について興味を持っていただけましたでしょうか? ここでは、プログラミング言語を習得すること以外に、プログラマーにはどのような心得が必要なのかをお伝えします。

3-1.コンピュータやネットワークの仕組みに詳しくなろう!

コンピュータやネットワークの知識があるプログラマーは時間を無駄にしません。時間を無駄にしないということは、お客様の満足度を高めることと、プログラマーとしての高い評価にも繋がるのです。

プログラムは必ずコンピュータ上で動きます。ですから、コンピュータが動く仕組みが分かるということは、プログラムがどう動くのかが分かることと同じことです。コンピュータはネットワークで繋がってシステムになります。ですので、ネットワークの仕組が分かるということは、システムが分かるということです。

コンピュータやネットワークが分かっていれば、プログラムやシステムに問題が起きた時に、どう調べればいいのか、どのような対策をすればいいのかがすぐ分かります。プログラマーの仕事をしていて何かしら追い詰められた時、コンピュータとネットワークの知識がきっとあなたを助けてくれることでしょう。

3-2.面倒なことは全部コンピュータにやらせよう!

コンピュータに任せられそうなことを全てコンピュータにやらせることは、プログラマーならぜひ身に付けておきたいスキルです。

コンピュータは、ずっと仕事をさせていても文句の一つも言いません。しかも、とても早く正確に仕事をしてくれます。プログラマーはそれをいいことに、自分が仕事で楽をしたいがために、自分のためのプログラムを頑張って作るのです。

例えば、つまらない書類仕事をボタン一つで行えるようにしたり、様々なチェックやテストを自動化したり、プログラムを自動的に作るプログラムすら作ったりします。自分が必要とするプログラムを自分で作れるので、いくらでも仕事を簡単に、そして早くできるのです。これはプログラマーならではです。

さらに、便利なプログラムやツールは、今ではインターネット上にたくさんあります。それらを上手く組み合わせると、それこそ魔法のような早さで作業ができるのです。しかも、それをチームで共有すれば、チーム全体にも同じ効果があるのです。

3-3.良いものは全部真似しよう!

良いものの真似をすることは、プログラマーとしてレベルアップするのに必要なスキルです。他の仕事だと、安易に他人の真似をすると怒られてしまうこともありますが、プログラマーの世界では不思議なことにむしろ勧められるのです。

プログラマーは真似をしたり、真似をしてもらうのが好きな人達ですので、真似をしない理由はありません。良いプログラムを見つけたら作り方を真似して、自分のプログラムに取り入れましょう。良いプログラムの作り方を思いついたら、プログラマー仲間へそれを広めて、ぜひ真似をしてもらいましょう。

でも、良いプログラムとは何かがわかっていなければ、ただの物まねで終わってしまいます。ですので、プログラマー仲間や職場の先輩、書籍などから、良いと言われるプログラムはなぜそう言われるのか、しっかりと理由を学んで、自分のものにしなければなりません。

そのような、良いプログラムを見る目を育てることで、数学者が数式から感じる美しさに似たものを、プログラマーはプログラムから感じられるようになるのです。

また、そのような美意識を持つプログラマーが作るプログラムは、そうでないプログラマーの書くものとは、生産性やメンテナンス性、そして何よりプログラムとしての美しさにおいて、文字通り天と地ほどの違いが出てくるものなのです。

4.さいごに

ここまで、プログラマーという仕事がどのようなものか、どのようなことを意識しなければならない仕事なのかをお伝えしてきました。

プログラマーとして仕事をする上では、難しいことや大変なことは確かに多いです。苦労して身に付けた知識もキャッチアップやバージョンアップが常に必要で、しかも新しいプログラミング言語や方法論が次々と登場してくるので、毎日が勉強の連続です。

しかし、お客様が実現したいことが自分自身の書いたプログラムを通じて形になり、それを利用したお客様から「とても使いやすいシステムを作ってくれて、ありがとう」などとお声をかけていただいた時は、この仕事を選んでよかったと、心底思うのです。

もし、プログラマーという仕事に興味を持っていただいたなら、まずは何でもよいのでプログラミングを始めてみてください。

プログラミングとは、必ずしも難解なプログラミング言語を用いて、長々としたプログラムを作ることだけではありません。例えば、Excelで計算式を工夫して簡単に結果がわかるようにしたり、HTMLを書いてHPを公開することもプログラミングです。自身の作業や業務効率化の方法を色々と考えて試行錯誤するのも、広い意味でのプログラミングです。

そんなことが少しでも楽しいと思えるなら、プログラマーとしての素養があります。そこから一歩踏み出して、プログラマーを一生涯の仕事にしてみませんか? 私は、プログラマーはその価値がある仕事だと考えています。