イノベーションとは?
先日以下のようなシンポジウムに行きました(仕事休んで自費で個人として行ったので、仕事関係なく完全なプライベートです)。
情報科学芸術大学院大学[IAMAS]教授でもあり、「Ogaki Mini Maker Faire」では総合ディレクターを務める、尊敬する小林茂先生のお話があったのですが、その中で印象的だったのが、イノベーションに関しての話でした。
先生曰く、イノベーションは以下の3つの誤解があるとのことでした。
- イノベーションとは技術革新である
- イノベーションの成功確率は極めて低い
- イノベーションは斬新なアイディアが不可欠
詳しくは以下の小林先生のスライドを参照下さい(必見です)。
今回は上記スライドでも触れられている任天堂のことに関して少し書いて見たいと思います。
任天堂のイノベーションって実は凄いのでは?
任天堂って、ファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイ、Wii、Switchなど様々なヒット商品を生み出しています。最近だと「Nintendo Labo」の斬新なアイディアは記憶に新しいですね(商業的な評価はもう少し待つ必要があるかもしれませんが)。
Nintendo Labo (ニンテンドー ラボ) Toy-Con : Variety Kit - Switch
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その一方、ディスクシステムの通信システム、NINTENDO64、Virtual Boyなど商業的には振るわない失敗も繰りかえしています。でも必ず不死鳥のように蘇るのが素晴らしいですし、過去の失敗のアイディアも、失敗で終わらせず何らかの形で昇華させている点が素晴らしいなと思います。
イノベーションというと、すぐAppleで特にジョブズをありがたがる風潮がありますが、日本ではもっと身近な任天堂という例にもっと着目するべきなのではなと思っています。
今回は、特に任天堂の中でも特に「横井軍平さん」「岩田聡さん」という異なる個性の人物にフォーカスを当てていきたいと思います。
参考文献は、以下です。
- 作者: 井上理
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2013/06/07
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ゲーム界のトップに立った天才プログラマー 岩田聡の原点: 高校同期生26人の証言
- 作者: 岩田聡の記録を残す会
- 出版社/メーカー: スタジオスパーク
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特に2冊目の本は、岩田さんの高校の同級生が自主的に出版したというKindle本。素晴らしい試みですし、岩田さんの人柄が偲ばれますね。
小林先生のスライドでも触れられていた、以下の本も読みたかったのですが、現時点でAmazonで7000円弱という超プレミア価格…日本でイノベーションが起こらない理由、そういうとこだぞ!
決定版・ゲームの神様 横井軍平のことば (P-Vine Books)
- 作者: 横井軍平,草なぎ洋平,影山裕樹
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横井軍平さん
「枯れた技術の水平思考」という言葉で有名な横井軍平さん。「ゲーム&ウォッチ」「ゲームボーイ」といったヒット作品で有名です。あとは時代が早すぎた「バーチャルボーイ」ですねw 「任天堂“驚き”を生む方程式」の他、ネットで読める記事だと以下が面白いです。
山内社長と横井軍平さんの様々な逸話を知るにつれて、超ワンマンで超人的な直感と閃きを持つ山内社長と、発想豊かに確かな技術をもってアイディアを具現化する能力に長けた横井さんって、アップルの創業者のスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック(ウォズ)の関係に非常に良く似ているように思えます。
特にウォズと横井さんは、会社の初期の主力商品(Apple2、ゲームアンドウォッチ)を作っていますし、奇しくも二人とも退社の前後で大きな事故に遭っています。ウォズは奇跡的に一命を取り止めましたが、横井さんは残念ながらそのまま亡くなられました。生きていればまだまだ面白いものを世に出すことができたかもしれないことを思うと残念ですね。
ウォズに関しては、以下記事参照下さい。
以下の自伝や、スティーブズという漫画が非常に面白いです。個人的には、ジョブズよりウォズの方が尊敬できますし、学ぶべきところが多いです。
アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝
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- 作者: うめ(小沢高広・妹尾朝子),松永肇一
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岩田聡さん
岩田社長は「星のカービィ」「大乱闘スマッシュブラザーズ」「Nintendo Wii」「Nintendo DS」等の製品を送り出した社長です。なお、岩田社長は横井さんを見いだした山内社長により、外部から引き抜く形で社長に抜擢されています。こう考えると山内社長の人を見る目凄すぎですね。
岩田社長で、もっとも有名なのは「MOTHER2」というソフト開発を立て直したときの伝説的なエピソードでしょう。
以下のセリフは後々の語り草になっていますね。
「いまあるものを活かしながら手直ししていく方法だと2年かかります。イチからつくり直していいのであれば、半年でやります」
岩田社長が凄いなと思うのが、自身も超人的なプログラマなのですが、社員全員と一人一人向き合って話を聞くことや、開発のツールや環境づくりを最初に整備するという、一見地味だけど社員の力を最大限に発揮できるようなことに力をいれていたということです。たしかに、問題解決という観点で考えた時、岩田社長が一人でがんばるより、それが一番効率が良いのですよね。
岩田社長のこういった、問題解決に取り組む姿勢と考え方には非常に感銘を受けていて。違う分野ながら、自分も少しでも考え方を取り入れられるように心がけています(岩田社長のようになかなかうまくはいきませんが)。
岩田社長は、ジョブズともウォズとも異なる、日本的な理想的なリーダの姿を体現しているのじゃないかなと思っています。若くして亡くなられたのが非常に惜しいですね。
まとめ
イノベーションに関して、日本は任天堂に色々もっと学ぶべきでは?と思ったことをつらつら書いてみました。個人的には、ジョブズとは絶対働きたくないですが、ウォズや岩田社長となら一緒に働いてみたいなと思います。ジョブズばかり持て囃す風潮には辟易としているのですが、そういう人は自分の上司がジョブズになったらとかは考えたりしないのでしょうかね?
最近はめっきりゲームから離れていたのですが、Nintendo SwitchやNitendo LABOを買って、この歳になってもゲームって楽しいなと改めて感じますし、家族でゲームが遊べるというのも素晴らしいことですね。任天堂に感謝です。
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参考リンク
追悼:任天堂 岩田聡社長 HAL研究所の天才新入社員と高校2年生の思い出 by 藤本健 - 週刊アスキー
任天堂元社長・故岩田聡さんと開発したFM音源&MIDIインターフェイス、HAL研究所“響” : 藤本健の“DTMステーション”