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中川でブッポウソウ営巣やめる 近くでリニア関連工事

 上伊那郡中川村の宮下健彦村長は12日、JR東海がリニア中央新幹線の関連工事として村内で進める県道の改良工事現場近くで、県天然記念物の渡り鳥「ブッポウソウ」が営巣をやめたことが確認されたとして、対策の検討のために、工事を直ちに中断するようJRに要請した。観察や保護に取り組む地元の「ブッポウソウの里の会」が同日夜、村内で開かれた村リニア対策協議会で明らかにした。

 同会によると、ブッポウソウは、県道松川インター大鹿線の四徳(しとく)大橋付近で1990年以降、毎年営巣している。今年も2組のつがいが営巣を始めたが、6月20日ごろにいなくなっているのを確認。これまでに巣を放棄したことはないという。

 JR東海は四徳大橋近くで、四徳渡(しとくわたり)トンネルなどの新設工事をしている。同会メンバーは、12日の協議会で「繁殖の大事な時期に何の配慮もされず、クレーンが動いていた」と指摘。付近では夜間も照明がずっとついていたとの発言もあった。JR側は「極力配慮したつもりだった」と釈明した。

 宮下村長は「工事を止め、早急に関係者で協議を持ってほしい」と要請。協議会後の取材には、県にも積極的な対応を求めた。

 JRは2014年に公表した環境影響評価書で、ブッポウソウについて「必要に応じて環境保全を検討する」などとしていた。

 一方、JRが残土で県道沿いの谷筋「半の沢」を埋め立てる計画を示していることについて、県は第三者の有識者に設計が適切かどうかや、将来も道路として維持管理できるかなどを聞く方針を明らかにした。宮下村長は、埋め立てた場所が崩落した場合に、影響を受ける可能性がある下流の渡場(どば)地区の住民から意見を聞いて計画を進めるよう、JRや県に要請した。

(7月13日)

長野県のニュース(7月13日)