西日本豪雨、死者は190人近くに 洪水の被害なお続く 

A car lies in mud as people rest in the shade of a house that is partially submerged Image copyright Getty Images
Image caption 1982年の長崎大水害以来、最悪の被害となった

西日本各地が豪雨に見舞われた日本は今も、過去30年余りで最悪の洪水被害に苦しんでいる。首相官邸によると、11日午後までに少なくとも190人近くが死亡した。

官邸が発表した被害状況によると(警察庁まとめ、未確認情報含む)、11日午後3時半現在で死者188人、心配停止2人、行方不明38人という。

猛烈な豪雨が、西日本各地で土砂崩れや洪水を引き起こした。800万人以上に避難指示・勧告が出された。

荒天は収まったものの、各地で政府・自治体や住民が広範囲に及ぶ被害への対応に追われている。

大雨による死者数は、1982年の長崎大水害以降で最多となった。

「思い出が全てなくなった」

日本全国で約27万世帯が断水しており、数千世帯が停電に見舞われている。

岡山県と広島県、山口県で被害が大きく、特に岡山県の写真では被害規模の大きさがうかがえる。

岡山県の祖母を訪れていた大阪在住の24歳男性は、「岡山はとても安全だとみんな思っている。こんなことが起きるとは誰も考えていなかった」とBBCに話した。

「食料が不足している。スーパーにあまり食品がないので、インスタント・ラーメンを食べている。冠水した道路や避難所、どこで食料が手に入るかの情報があまり得られない」

23府県で合わせて863万人に避難指示・勧告が出た。数千人が学校のホールや体育館などの避難所で暮らしている。

An elderly woman (C) is given assistance as people affected by the recent flooding rest at a makeshift shelter in Mabi, Okayama prefecture on July 11, 2018. Image copyright Getty Images
Image caption 大勢が避難した体育館。写真は岡山県真備町で7月11日に撮影

岡山県倉敷市真備町の岡田小学校には現在も約300人が避難しており、多くが体育館にブルーシートを敷いて寝泊りしている。

避難所にいる家族の中には、避難で疲れきって食べ物が喉を通らなくなってしまった娘を親類に預けるしかなかったという家族もいた。

別の夫妻は9日に自宅から持ち出せるものがないか探しに行ったものの、1階が全て水浸しになっていたという。

「家財道具などがなくなったのは仕方がないけれども(中略)思い出が全て無くなってしまったのがつらい」とこの女性は話した。

今回の大雨では子どもたちも犠牲となった。

愛媛県怒和島では6日、全校生徒6人の小学校に通っていた9歳と6歳の姉妹が、土砂崩れに自宅を流されて亡くなった。

またロイター通信によると、広島県で起きた別の土砂崩れでも3歳の子どもが亡くなっている。

A car lies upside down following heavy flooding, on July 8, 2018 in Kurashiki near Okayama, Japan Image copyright Getty Images

こうした中、明るい知らせもあった。岡山県倉敷市真備町では、介護老人保健施設で飼われていたミニチュアホースの「リーフ」が3日後に、民家の屋根にいるのを発見された。

「リーフ」は洪水が収まった後、救助隊によって救出された。

This handout picture taken on July 9, 2018 by the NGO Peace Winds Japan shows a miniature horse stranded on a rooftop due to the recent flooding in the Mabicho area in Kurashiki, Okayama prefecture. Image copyright AFP

リーフがどのように屋根に上ったかは定かではないが、目立ったけがもなく、救助隊がニンジンやキャベツを与えて落ち着かせた後に降りてきたという。

ただ、リーフの子ども「アース」は行方不明になっている。

消防隊や自衛隊を含む7万人の救助隊が救援活動に当たっている。

Soldiers and rescue workers check buildings destroyed by a landslide on July 8, 2018 in Kumano near Hiroshima Image copyright Getty Images

気象庁は、まだ新たな土砂崩れが起きる可能性があるとして警戒を呼びかけている。

タイミングの問題

安倍晋三首相は外国訪問を取りやめ、危機対応に当たっている。首相は11日に岡山県を訪問し、被害の状況を視察した。

Japanese Prime Minister Shinzo Abe (C) visits evacuated residents Image copyright EPA
Image caption 岡山県で被災者を見舞う安倍首相

ただし安倍首相は現在、豪雨がひどくなっていた5日夜に自民党の国会議員らと宴会をしていたことが複数の当事者ツイートなどで明らかになり、批判されている。

たとえば自民党の片山さつき参議院議員は5日夜、「今日は27回目の #赤坂自民亭 @議員宿舎会議室、若手議員との交流の場ですが、#安倍総理 初のご参加で大変な盛り上がり!内閣からは#上川法務大臣 #小野寺防衛大臣 #吉野復興大臣 党側は #岸田政調会長 #竹下総務会長 #塩谷選対委員長、我々中間管理職は、若手と総理とのお写真撮ったり忙しく楽しい!」とツイートした。

日本のソーシャルメディアでは、首相をはじめとする自民党政治家たちの行動を非難する声が相次いでいる。

ツイッター利用者の1人は「彼はニュースを読んで、大雨や土砂崩れについて報告されてないの? 彼の辞書に自重という言葉はないの?」と書いた。

「大勢が外で苦しんでいる最中に、この人たちは安全な屋内で酒を飲んでいた。議員たち、もっと国民のことを大事すると思ったのに」と投稿する人もいた。

(英語記事 Japan reels from worst flood in decades

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