六回の連載に貴重なご意見をお寄せくださいました。心より感謝します。
ご意見に共通する思いは、意欲を持って働き続けることが難しくなっているとの危機感です。日本の将来への不安です。
スウェーデンの労働政策に詳しい愛知県東郷町の猿田正機・中京大名誉教授(74)は「『日本的経営』も日本の労働・社会政策(社会保障・福祉)も非常な困難に直面して目標がみえなくなっている」と指摘します。
ファクスでも寄せられました。「これから加速度的に人口が減少、特に若者や就労者が著しく減っていく中にあって一刻の猶予はありません。就労者、若者が安心して暮らせる社会を実現することは少子高齢化に対しても一定の歯止めとなります」とつづっています。
町工場が多い東京都大田区からのはがきは、こうです。個人事業者と思われる方です。「保護の網」から漏れている現状を実感し「セーフティーネットは絶対必要だとつくづく感じています」と危機感を訴えています。
この思いを読者の方々と共有できたことを大切にしたい。
解決策を考える上で猿田さんは「北欧の働き方や経営、さらには労働・社会政策は日本に多くのヒントを提供してくれていると私は確信しています」。
そのヒントを指摘するのは千葉県柏市の司法書士佐々木利夫さん(75)です。
「救貧の社会保障から、人権としての社会保障とか、生きて国家を支えていることの配当としての社会保障とか、社会保障の発想の転換が必要ではないか」
日本の社会保障は、貧困から救う救貧や貧困に陥らない防貧の発想です。安心して働き続けられることは人が生きる基本です。それを支えられる社会に。そんな思いが伝わります。同感です。
北欧の取り組みはしばしば「小国だからできる」と言われたりします。そうでしょうか。名古屋市南区の服部朝子さん(69)から力強い思いが寄せられました。
「北欧の人たちも人間、私たちも人間、彼らにできて私たちにできないはずがないだろうとの自信を持ってほしい」
そして「この時、ジャーナリズムの果たす役割は大きい!」。叱咤(しった)激励です。
どうすれば社会は変わるのか。ともに考え続けましょう。私たちは書き続けます。 (鈴木 穣)
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