中国「貴族小学校」で二児犠牲のテロ、背景は

事件2時間後、卒業式は予定通り挙行された

2018年7月13日(金)

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中国・上海の小学校で男子児童2人が凶行の犠牲となった。

 上海市の“徐滙区(じょわいく)”に所在する“世界外国語小学”(以下「世外小」)は1993年に設立された民営の小学校で、教育水準が高い代わりに学費も高く、金持ちの子供しか入学できないので、“貴族小学(貴族小学校)”と呼ばれている。世外小は、“境内部(国内部)”、“境外部(国外部)”、“PYP融合部”の3部門で構成されており、“境内部”は戸籍あるいは居住地が徐滙区内の上海市戸籍の児童、“境外部”と“PYP融合部”は居住地が徐滙区内の外国籍児童(含香港、澳門<マカオ>、台湾の児童)をそれぞれ募集対象としている。なお、“PYP融合部”とは、スイスに本部を置く「国際バカロレア(IB)」に認定された国際的教育プログラムを採用した小学部門である。

 世外小の校舎は、“桂林西街101弄56号”に位置する“西校区”と“浦北路380号”に位置する“東校区”の2つに分かれていて、西校区は境内部が、東校区は境外部とPYP融合部がそれぞれ使っている。世外小には全部で55クラスあり、1500人の生徒が在籍しているが、その構成は、境内部が20クラス、境外部が20クラス、PYP融合部が15クラスである。小学校は5年制で、小学校を卒業すると、生徒たちは同系列の“世外中学”へ進学することになる。

 中国の学校は2学期制で、新学期は9月から始まるが、報じられているところでは、2018年9月からの世外小の学費は学期毎に、境内部:1万8000元(約31万円)、境外部:3万7000元(約63万円)、PYP融合部:5万2000元(約88万円)なので、年間では各々3万6000元(約62万円)、7万4000元(約126万円)、10万4000元(約176万円)かかる。但し、表向きの費用は上記の通りだが、入学時点で“賛助金”名目の入学金が必要らしい。

 調べた限りでは、2018年に境内部へ入学する場合の賛助金は、戸籍が徐滙区内にある生徒は65万元(約1100万円)、戸籍が徐滙区外の生徒は75万元(約1275万円)であった。たかだか小学校へ入学するのに、1000万円以上の入学金を支払う必要があるとは驚かされるが、徐滙区内にある他の貴族小学校でも賛助金の額は、生徒の戸籍が徐滙区内であれば55~58万元(約935~986万円)、徐滙区外なら65~68万元(約1105~1156万円)であり、賛助金が高いのは世外小だけではない。

 前置きはさておき、本題に入る。6月28日午前11時30分頃、事件は世外小・東校区の校門前で発生した。上海市公安局がネット上に発表した“警情通報(緊急事態通報)”には次のように書かれていた。

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北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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