上海市の“徐滙区(じょわいく)”に所在する“世界外国語小学”(以下「世外小」)は1993年に設立された民営の小学校で、教育水準が高い代わりに学費も高く、金持ちの子供しか入学できないので、“貴族小学(貴族小学校)”と呼ばれている。世外小は、“境内部(国内部)”、“境外部(国外部)”、“PYP融合部”の3部門で構成されており、“境内部”は戸籍あるいは居住地が徐滙区内の上海市戸籍の児童、“境外部”と“PYP融合部”は居住地が徐滙区内の外国籍児童(含香港、澳門<マカオ>、台湾の児童)をそれぞれ募集対象としている。なお、“PYP融合部”とは、スイスに本部を置く「国際バカロレア(IB)」に認定された国際的教育プログラムを採用した小学部門である。
世外小の校舎は、“桂林西街101弄56号”に位置する“西校区”と“浦北路380号”に位置する“東校区”の2つに分かれていて、西校区は境内部が、東校区は境外部とPYP融合部がそれぞれ使っている。世外小には全部で55クラスあり、1500人の生徒が在籍しているが、その構成は、境内部が20クラス、境外部が20クラス、PYP融合部が15クラスである。小学校は5年制で、小学校を卒業すると、生徒たちは同系列の“世外中学”へ進学することになる。
中国の学校は2学期制で、新学期は9月から始まるが、報じられているところでは、2018年9月からの世外小の学費は学期毎に、境内部:1万8000元(約31万円)、境外部:3万7000元(約63万円)、PYP融合部:5万2000元(約88万円)なので、年間では各々3万6000元(約62万円)、7万4000元(約126万円)、10万4000元(約176万円)かかる。但し、表向きの費用は上記の通りだが、入学時点で“賛助金”名目の入学金が必要らしい。
調べた限りでは、2018年に境内部へ入学する場合の賛助金は、戸籍が徐滙区内にある生徒は65万元(約1100万円)、戸籍が徐滙区外の生徒は75万元(約1275万円)であった。たかだか小学校へ入学するのに、1000万円以上の入学金を支払う必要があるとは驚かされるが、徐滙区内にある他の貴族小学校でも賛助金の額は、生徒の戸籍が徐滙区内であれば55~58万元(約935~986万円)、徐滙区外なら65~68万元(約1105~1156万円)であり、賛助金が高いのは世外小だけではない。
前置きはさておき、本題に入る。6月28日午前11時30分頃、事件は世外小・東校区の校門前で発生した。上海市公安局がネット上に発表した“警情通報(緊急事態通報)”には次のように書かれていた。
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