まずは5番・8番を聴く。
5番はフィナーレが最高。
第一楽章はやはり残響が甘ったるく、手堅くまとめた感じ。
この直前の大フィルのチクルスを実演で聴いている者としては、やや物足りない。
録音のせいかなぁ・・・と思ってたら、演奏は徐々に熱を帯びていく。
これぞ朝比奈の真骨頂。クライマックスは最後に取っておけ、と言わんばかりにオケを煽り出す。
フィナーレは金管やティンパニの強奏にも拘わらず、ハーモニーやサウンドが崩れず、実に懐の深い演奏。
情熱的なのに、かつ安らぎすら感じる、素晴らしい演奏だ。
特に展開部の終わりのピッコロの強調は、ラトル以上に効果を上げている。
とにかく、響きが充実して、素晴らしい。人間ドラマというよりは神の啓示だ。
8番もやはり録音の甘ったるさが気にはなるが、その響きのヒーリング効果は抜群だろう。
僕はベートーヴェンにはもっと興奮が欲しいのだが、こういう演奏があってもいい。
トータルではこのチクルス、やはりいい。
7番と9番がどう来るか、楽しみだ。