若い頃はみんなアニメで「人間」を描こう、と躍起になっていた。
どうすれば人間っぽく見えるのか?
どうすれば自分の絵に生命や感情が宿るのか?
『ハルヒ』辺りがそのピークだったと思う。
もうその頃には、言わなくてもみんな率先して思いの丈を原画用紙にぶつけていた。
みんなどこへやってしまったのだろう?あの時の気持ち。
なんかメンヘラキチガイばかり描くようになっちまった。
そんなもの描いて芸術家ぶってるのは、実に陳腐だ。みっともない。
もうこれ以上観る気にもなれない。
『WUG』ではどうしても作画に反映できなくて歯痒い思いをして、『薄暮』でリターンマッチというか、もう一度チャレンジしている。
何も人間の複雑さを描く必要はない。笑ったり泣いたり、キュンとしたり、誰もが味わう感覚を、絵に起こせばいいのだ。
でも今のアニメーターは、なかなかそういう絵が描けない。
感じることができてないのだろう。
「テクニックじゃないんだ、感情なんだ!まず感じてよ!あなたが嬉しかったり悲しかったりしなきゃ、何も出てこないんだよ!」
口酸っぱくそう言うのだが、みんな手癖でこなすことに慣れきってしまって、なかなか直らない。
困ったもんだ・・・。
『薄暮』では原点回帰、そういうところを丁寧にやりたい。
同時にパターンでしか描けなくなったアニメーターを、なんとか鍛えあげたい。