トランプ大統領の対中関税攻勢、もはや後に引けない地点に到達
Brendan Scott、Enda Curran-
トランプ、習氏とも圧力を強める政治的な背景
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米国、8月下旬までに輸入中国製品のほぼ半分で価格上昇へ
トランプ米大統領が仕掛けた中国との貿易対立は、双方とも後に引けない地点へと到達しつつある。
トランプ政権は中間選挙を約2カ月後に控えた8月30日までに、2000億ドル(約22兆2000億円)相当の中国製品に10%の関税を賦課する用意が整う。すでに導入済みの500億ドル相当と合わせ、米国が中国から購入するほぼ半分の製品について輸入価格が上昇することになる。
中国は7週間の間に対応を決定する必要がある。厳しい対処を求める国内の政治的圧力に直面する習近平国家主席は相応の対抗策をとると宣言しているが、米国が今回打ち出した関税計画に匹敵させるとなれば、大幅に高い関税を課すか、購入予約の取り消しや米製品の不買呼び掛け、規制当局の審査厳格化など多くの混乱を招く措置しかない。それはトランプ大統領に事実上すべての中国製品に対する関税導入を決断させかねないばかりか、地政学的な支配を巡るより深刻な争いに火を付け、両国市民の間で互いを排斥し合う風潮を生む恐れもある。
トランプ大統領は11日、貿易を巡る自らの措置は有害な通商慣行から米国の企業と農家を守るため必要だと主張した。
大統領は訪問先のブリュッセルからツイートし、「他国の貿易障壁や関税が米国の企業を破壊してきた。私はこれまでで最も素晴らしい形で、これに風穴を開ける。ただ、あまり性急に進めることはできない」と指摘。「米国の農家が公平な条件を確保できるよう私は闘っている。そして勝つ!」と続けた。
調査会社アジアアナリティカのマネジングディレクター、ポーリン・ルーン氏は「すでに後に引けない地点を越えた」と指摘。「次に至る段階は貿易戦争や冷戦ですらなく、米中氷河期の幕開けだろう」と述べた。
原題:Trump Tariff Barrage Pushes China Feud to Point of No Return (4)(抜粋)